1941年に逝去した、調香師エルネスト・ダルトロフが遺した調香ノートを元に、
2代目専属調香師ミシェル・モルセッティが1949年に作り上げたオルエノアールは、
「金と黒」の名の通り、強い光を浴びたベルベットのような深紅のバラが放つ光と
影を、それは見事に再現しています。
キャロン公式HPによると、同年発売された「ローズ」が、早暁に摘んだバラの
つぼみであるなら、この「オルエノアール」は満開に咲き誇る馥郁たるバラである、
と定義しています。濃色ながら濁りのないガーネットの塊のようなどっしりした
シプレローズで、絵に描いたようなかわいいバラはそこにはありません。
バラはダルトロフが調香の根幹にすえた香料であり、このオルエノアールを作るに
あたり、生涯のパートナーであったボトル・デザイナー、フェリシエ・ヴァンプイユ
は、最も貴重な香料を使うようにと固持し、当初は全面に金箔を施したバカラの
クリスタルボトルで発売したそうです。