La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Entries from 2011-01-01 to 1 year

La Belle Helene (2011)

MDCIシリーズの最後を飾るのは、ブランドの最新作であるラ・ベル・エレーヌです。2011年3月の発売から立つこと8か月、もうすぐ2011年も終わりというのに、公式ウェブサイトにおいて紹介文が書きかけで終わっているのはどうかと思いますが、調香はパチュリ・…

Vepres Siciliennes (2009)

老舗コニャック、フラパンの香りを幾つか手掛けているジャンヌ-マリー・フォジールがMDCIのために手掛けた、ヴェープル・シシリエンヌです。1282年にシチリアで起こった住民暴動と虐殺事件であり、またこの事件を題材にした同名のヴェルディによるオペラ、「…

Le Rivage des Syrtes (2009)

MDCIの香りをレディスについては全紹介すると決めて始めた投稿ですが、こんな事を申し上げてよいのか、迷いの上紹介します。 ゲラン家の血筋である女性調香師でパルファン・ド・ニコライの主宰、パトリシア・ド・ニコライがMDCIの依頼にて制作した二つの香り…

Tom of Finland(2008)

2006年にエチエンヌ・ド・スワールが一流の調香師に腕を振るわせ、既成概念に縛られない自由なコンセプトの香りを生みだすべく設立したフランスのニッチ・ブランド、エタリーブルドランジュ(オレンジ自由州の意)が2008年に発売した、トムオブフィンランドで…

Bleu (2003)

アパレルから派生したアルビオン系コスメブランド、ポール&ジョー・ボーテから2003年、姉妹フレグランスであるブランとともに発売され、近年再発したブルーです。EDT1展開で、調香はピエール・ブルドンが担当しましたが、流行には敏感でも調香師にまでは…

Musk (1995) EDT

ウォモ、ドンナに続き、ロレンツォ氏が精力的に香りを発表していた初期作品の一つ、ムスクです。初期はドンナ以外はメンズやユニセックス系の香りを作っていて、このムスクもユニセックスに分類されていますが、つけた感じではムスクというよりはルーツは大…

Donna (1994) EDT

イタリアはフィレンツェの公称・孤高な香水職人、ロレンツォ・ヴォロレーシが1993年のウォモでデビュー後初めて作った女性用の香り、ドンナです。ローズのシングルノートであるドンナは、立ち上がりは大変青味の強いローズ香でスタートしますが、程なく代表…

Chanel No.5 EDP (1986)

時代が変わり、シャネルの専属調香師もアンリ・ロベールから現在の3代目調香師、ジャック・ポルジュへと交代します。ポルジュ氏はシャネルの過去の遺産を受け継ぎ、真摯な解釈で新しい濃度を展開していきますが5番も1986年初めてオードパルファムが発売され…

Chanel No.5 EDT (1960)

ご存知の通り、シャネル5番は1921年、エルネスト・ボーがココ・シャネルの依頼で調香し、世界を席巻して90年となりますが、当時は香水と言えばパルファムだけで、オーデコロンは別として(オーデコロンは香水として勘定しないのだと思います)濃度違いが同時…

sorry, decant service is no longer available

2010年11月のブログ開設以来、閲覧下さる方から紹介している香水の小分け、サンプル提供をご依頼いただく事がよくあります。 現在、香水小分けのオークション出品は行っておりません。 当方のブログは、香水に関して個人的な備忘として綴っているものです。…

Tea Rose (1972) vintage 'parfum' version with pink box

ティーローズは、パヒューマーズ・ワークショップ社初の香りで、同社が香料会社であるフィルメニッヒ社のジャック・モーウェンに対し「バラ園に迷い込んだような香りで、花びらから葉、手折った茎に到るまでバラのすべてを彷彿とする、そして香り持ちの良い…

Delire de Roses (2011) EDP

Delire de Roses (2011) EDP キャロンの最新作、デリールドローズのオードパルファムです。こちらはパルファン・フォンテーヌのラインナップで、パルファムとオードパルファムの2展開あり、パルファムはキャロンブティックでの量り売りのみとなりますが、ED…

Paco Rabanne pour elle (2003) parfum

カランドル、メタル、ラニュイといった、戦後の香水史に名を残す逸品を輩出したパコ・ラバンヌですが、日本では2009年末に倒産したわかばが国内代理店で、翌年川辺が業務移管したものの、移管の際パコ・ラバンヌはあえなく脱落。その後フィッツ・コーポレーシ…

Opus V / the library collection (2011)

アムアージュの最新作で、ザ・ライブラリー・コレクションの第5弾、オパス・ファイヴ(Opus V)です。前作のオパス・フォーは売上の半分を国際エイズ予防コントロールプログラムへ寄付するチャリティ性のある商品でしたが、今回は普通に新作です。調香は超売…

Detchema (1953) original version PDT

フランスの高名な毛皮商、レヴィヨンの戦後の代表作であるデッチマです。レヴィヨンはカルネ・ド・バル(1937)など戦前から香水を発売しており、戦後の復興期から長く愛されたデッチマはテレビCMを打って大々的にプロモーションされ、映画「ローズマリーの赤ち…

Shiseido domestic perfume lines

創業よりいち早く国産香水の生産に着手した資生堂は、日本を代表する化粧品メーカーとして数多くの香水を輩出し、ブランドを代表するホワイトローズナチュラル(1936)やすずろ(1976)といった高価なものから、街の化粧品店で誰でも手の届く値頃な定番品まで、…

Une Fleur de Chanel (1998/2005)

ニューヨーク・シャネルで7年に一度しか発売されない限定品の香りです。調香はジャック・ポルジュで、最初が1998年、次が2005年に再発、とくると来年は丁度再発から7年後の2012年ですが、3度目は果たしてあるのでしょうか。ニューヨークシャネルが他の香りや…

L'Heure Attendue(1946)

コロニーの2年後、1940年にデリスが発売されましたが、戦況厳しくなる中パトウも新作の発売は 終戦まで待たざるを得ませんでした。フランスはドイツからの解放後終戦を迎え、1946年に戦後初の 作品として発売した香りには「待ちわびた時」という、重みのある…

Colony(1938)

パトウの没年である1936年にヴァカンスが発売されてから2年後、フランスから遠い南方の 植民地に思いを馳せ、トロピカル感満載のコロニーが発売されます。 パイナップルをキーワードとしたクラシック香水としてはキャロンのアカシオサ(1929)が 最も有名です…

Normandie(1935)

大西洋岸に面する港湾都市であるル・アーブルとニューヨークを結ぶ新しいオーシャン・ライナー、 ノルマンディー号が1935年処女航海を行った際、大西洋横断速度の新記録達成時、ファーストクラスの 乗客へ進呈されたのが当時の最新作、ノルマンディーです。…

Divine Folie(1933)

1933年に発売されたディヴィーヌ・フォリーは、前年発売のアンヴィタシオンと多少類似点は あるものの、こちらの方がより女性らしく華やかで、立ち上がりにどっとクローブ香を感じ、 程なくふくよかなバニラムスクにスティラックスが交わるアンバーノートに…

Invitation(1932)

1930年、のちにブランドの看板となるジョイと並行してカクテルを上市した2年後に発売された アンヴィタシオンは、マ・コレクシオンと同時期に再発されたものの、12本入のミニチュアセット には入りませんでした(ちなみに同じ再発で選外だったものにDelices…

Cocktail(1930)

世界大恐慌が起こった翌年の1930年、ジャン・パトウが不況を嘲うかのように輩出したのが、 後世に残る名香、ジョイとこのカクテルです。サンフロランタン通りに面するパトウのメゾン には、ドレスを注文する女性に付き合いでやってきた手持無沙汰の男性が、…

Zibeline(1928)

毛皮ブランドのヴェイユが1909年に創立したパルファム・ヴェイユの看板香水、 ズィブリーヌのヴィンテージ・パルファンドトワレです。1997年まで長らく販売 後廃盤、2010年初頭に他の代表的な香りと共に再発売されましたが、再発品は 原料の都合もあり、オリ…

Moment Supreme(1929)

カルデアに続き発売された「至福の瞬間」の意であるモマン・スプレームは、 コレクシオン中最も特異な展開をする「一応」フローラルノートです。 まず、つけた瞬間はさわやかさが爆発するようなしゃきっとしたシトラスの アクセントがきいたラベンダーとゼラ…

Chaldee(1927)

トリロジーに続きジャン・パトウが発売したのは、香水ではなく世界初のサンオイル、 ユイル・ド・カルデアでした。まだ日焼けが富裕層のトレンドだった時代、蒼白な肌の 欧米人が憧れた、燦燦と降り注ぐ太陽に愛されて黄金に輝く美しい肌を彷彿とする、 古代バ…

Adeiu Sagesse(1925)

トリロジーの最後、アデュー・サジェスは、トップに少々かび臭い、それでいて 青々とも感じるさまざまな生花の香りが入れ替わり立ち代り立ち上った後は、 カーネーションを軸として甘くパウダリーに落着き、あまり展開せずにうっすらと ムスクが温かく長持ち…

Ques Sais-Je ?(1925)

【まえがき】 ジャン・パトウのマ・コレクシオンについて、総論と一部の香りについて簡単な解説を 述べましたが、その後所有するコレクシオンのボトルも増えましたので、今回より個別の 商品解説を時代順に追加します。香りのピラミッドは諸説ある中、アメリ…

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