昨年、デリールドローズと共に発売された、専属調香師リシャール・
フレッス作のアコード119です。デリールドローズは同時期に発売
されたメンズの新作、ユズマンと共にフォルテの取扱いがありますが、
こちらは日本未発売です。公式ウェブサイトは更新が大変遅く、
2011年の新作はユズマンしか紹介されていません。海外向けには
フェイスブックなどで散発的に拡散するだけで、その際もどういう
規格でどこで手に入るかハッキリとした記述がなく、問い合わせて
漸く詳細が出るようなキャロンの新作ですが、こちらは一般流通品
扱いではなく、キャロンブティック専売品のようで、販路限定品です。
パルファムとオードパルファムの2種類あり、量り売りでなく限定店舗で
販売される場合は、量り売り用汎用ボトル(長方形で四角いストッパーで
金線縛り、またはキャップがついたスプレィボトル)を使用しています。
香りとしては、レディ・キャロンやプールユヌファム辺りと香りのイメ
ージがかぶるオリエンタルよりのフルーティ・シプレで、旧作との違いは、
パチュリが前面に出ている所で、遠くの知合いにエンジェル(T・ミュグレー)
がいそうな雰囲気です。クラシック感はありません。
立ち上がりがよそでもよくあるパチュリピーチ系にブラックカラント
やラズベリーなどのベリー系酸味が加わり、適度に酸味が抜けた後、
ジャスミンやウッディムスクが出てきて消える、という、アジマルなどの
中東ブランドがせっせと輩出しているアラビアンフレンチ系にも近似値が
ありますが、その割には弱腰というか、控えめで柔らかい香り立ちで、
リニアな香り方はしません。その辺が、天然香料を多用しているおかげか、
ややもすると押しつけがましく時折下品に転びがちな両刃の刃的モダン系
フルーティ・シプレとは一線を画す事ができていますが、もう一歩、これで
なくては、という決めの一手が見当りません。
レディキャロンやユヌファムに若干古臭い肩パッドの雰囲気を感じて、
食指が動かなかった方にはお奨めします。ここはやはり、キャロンの作品
ですので、パルファムも試してみないと真価は分からないと思います。