ユズマン EDT125ml 税込11,880円(フォルテ オンラインストア)
九州地方を壮絶な豪雨が襲い、水の犠牲となった方々の捜索がままならない頃、東京ではすでに「お許しください!!」と命乞いをしたくなる猛暑到来、どう考えても梅雨明けしているのでは?と思いながらの1週間、海の日を過ぎてようやく梅雨明け宣言が出されました。個人的に、夏は一番つらい季節です。毎年夏が終わる頃、また一つ年を取った、命縮んだ…と真冬生まれにもかかわらず、命のすり減りを感じるのは私だけでしょうか。店主タヌ誕生の2日後、48時間以内に生まれたジェントルマンも同じでしょう。
温暖な気候を好む柑橘類の中でも、極東に自生できる数少ない中国原産のユズ。原産は中国ですが、日本が最大の生産・消費国です。英語でもユズと呼ばれ、エキゾチックなシトラスとして、ベルガモットやレモン、オレンジ中心のトップノートにかわり、ユズをメインに置くフレグランスが多くなってきました。中でもキャロンが21世紀に入り、当時の専属パフューマー、リシャール・フレッスが大々的に世に送ったメンズフレグランスは、その名も直球「ユズ」。ボトルに小さく「マン」と書かれているので、一般的にはユズマンとも呼ばれています。ひと吹きすると、ぱああ~っとユズの懐かしい香りが拡がります。何が懐かしいって?そりゃ、秋のサンマ、秋のマツタケ、冬至の柚子湯…って、あれえ?夏のジェントルマンじゃなかったの?そうです、もちろんそうですが、ユズの季語は秋。収穫も秋。柚子湯の季語は冬。でも大丈夫、ユズの花の季語は夏なので、あたらずと雖も遠からずです。
ユズマンのいいところは、爽やかなユズだけが主役ではなく、ユズが落ち着いた頃から顔を出す、何とも言えない優しい甘さ。イチヂクやピスタチオ、熱く乾いた風が吹く夏の夕暮れ、果物店から漂ってくる熟したプラムが放つ芳香にも似た「家庭の寛ぎ」にも通じる美味しい甘さ…「今日も暑いね、果物食べようか」と冷やした果物を家族でほおばる、そんな気取らないフルーティ・フローラルが、バジルやレモングラスなどのハーブやちょっとだけスパイシーなウッディノートに支えられながらふんわり香ります。ジェントルマンも、試香を始めた頃から、何気ない会話の中、急に「ユズマン、いいねえ、特につけて2時間過ぎたくらいからとてもいい」と言い出したほどの高評価でした。女性にも良質なサマーフレグランスとして年齢を問わずおすすめしたく、またこれから香りをつけたいというお子様へのプレゼントにも男女問わず最適だと思います。
しかしながらポラロイドに映ったのは、ウルトラ怪獣史上屈指の傑作、ダダ。なぜダダ?それはきっとジェントルマンはダダが大好きなのと、ユズマンが折々表情を変え、その度心地よく感じたことから「三面怪獣」であるダダを彷彿したのでしょう。いい香りを嗅いで、好きなものを思い出す。最高じゃないですか。決して香りがダダっぽい訳ではありません。
カネボウ倒産による日本撤退から数年後の2010年、現在の輸入代理店であるフォルテが、銀座三越を旗艦店に再上陸させたキャロンですが、残念ながらすでに三越店頭ではキャロンの扱いはなく、フォルテのオンラインのみで販売継続しています。一方でキャロンのメンズフレグランスは国内外ともに非常にディープなディスカウントで入手可能ですので、並行輸入品をお探しになるのも一案です。
人に尻を向けるダダ 今にも屁をこきそうです
銀座三越のフレグランスコーナーでは、キャロンは既に撤退。せっかく再上陸してくれたのに残念ですが、現在は代理店であるフォルテのオンラインショップで購入可能。銀座ではお目見えしなかったキャロンの真骨頂、ナルシスノワールやニュイドノエルのパルファムも取扱が始まり、却って良かったのかな、とも思ったりして