立ち上がり:名前の通りアイリスの香りが強い、背後にうっすらベチバー系の香りが潜んでます
昼:アイリスの香りとベチバーの香りが半々くらいで主張してきます。この酷暑の時期、大体の香水は昼までに汗で飛んでしうまうのですがかなり持ちが良い。ただ汗を大量に出すと汗の匂いと混じり微妙なところもあるのですが
15時頃:ベチバー系の香りが強くなってきました。まだまだ持ちが良い。昼以降冷房の効いた室内に潜伏できれば問題なし!午後も営業なんかで外出するとなると汗との混合が心配になるレベルで強い。
夕方:ベチバー&モスという感じでようやく落ち着いて来ました。外気温もそれに比例して落ち着けば良いのですが今年は夕方~夜でも34-32度とかいくしなあ・・・早くシャワー浴びたい。この季節だとリモートワークor 会社通勤で駅から数分でオフィス行けて外出も無い人向けかと。秋~冬にもう一度試したいです。香りは好きなんですがいかんせん汗と張り合うように主張されると厳しいかも。
ポラロイドに映ったのは:酷暑の中、三つ揃いのスーツを着て昆虫を追いかける香川照之。
Tanu's Tip :
今年の5月、友人の結婚式に参列するためヘルシンキへ行きました。フライトの都合でパリに寄ってから移動したのですが、短い滞在でしたがパリでは沢山の方にお会いし、幾つかの香水店に寄る事も出来ました。
パリに行くとだいたいここは通るんじゃないかという位有名なリヴォリ通り。東京だと銀座のある中央通りみたいな感じでしょうか。ヴァンドーム通りからルーブル美術館に行く途中もリヴォリ通りを通りました。すると、偶然パルファン・ディヴィーヌのパリ店が出てきてビックリ。しかも日曜定休で見れない。これは残念…と、日を改め2日後の平日に出直しました。
全景は上記動画をご覧いただくとして、小ぶりですが1ブランドのショップとしてはかなり贅沢な空間をもったパリ店。ディヴィーヌの世界観を凝縮したような、白を基調とする中、差し色の赤がとても効いていました。店長さんはアンディさんという中華系の方で、とても物腰が柔らかく、初めて来ました!と伝えたところ、大変喜んでくれて、それじゃ香りの説明をするわね、フランス語がいい?英語がいいかしら?とアンディさんの目力が強くなるのを全身で感じましたが、あいにく次の移動まで10分位しか時間がなかったので「ディヴィーヌは全部持ってます」と話の腰をボッキリ折って、お店で一番売れているのは何ですか、と伺ったところ、ランファント(2001)との事。結構旧作ですが、香水初心者や若い方にも親しみやすいフローラルブーケなので納得です。
店頭では、2022年からスタートした限定サマーフレグランス、ディヴィーヌ・レテも販売されており「レテは今年の夏、4番目の赤ちゃんが誕生するのよ。楽しみにしていてね♡」と別れ際、アンディさんに予告いただき、帰国後しばらくしてたまたまディヴィーヌの公式サイトを見たら、出来立てホヤホヤの4作目、クレール・ディリスが発売開始していました。
クレール・ディリスは、過去作のオランジュ・ルージュ(2022、シトラスコロン系)、ナルギレ(同年、アンバー系:完売)、フルール・ドランジュ(2023、シトラスフローラル系:完売)に続く数量限定のサマーフレグランスシリーズ、ディヴィーヌ・レテの第4作で、本年は単品およびオランジュ・ルージュとのペア購入が出来ます。調香は、ディヴィーヌ・レテではナルギレを手掛けたセルジュ・ド・オリヴェイラです。
香りとしては、長らくLPTをやってきて、なかなかの既嗅感を感じ、何度かつけて見てハッとしたのが、パコラバンヌのメタル(1979)。国産香水で言うとインウイ(1977:オリジナル版)の雰囲気に似ています。ざっくり45年のタイムワープ。21世紀も四半世紀を過ぎようという2024年に、70年代後半に登場した、知的で抑えた色香のあるグリーンフローラルシプレを突っ込んでくる、イボじいの時代錯誤感が最高です。お若い方には数週回って結構新しく感じるのでは。時代感のアップデートとしては、メタルの金属感がないメタルフリーな事で、アルデヒドが入ってない分カキンコンカンなトーンはないですが、その分モッシーノートがより浮上してくるので、そこがまた良い意味でタイムマシン感のある香りです。
香料の主軸は、名前にもなっているアイリスではなく、フランスの街路樹として国民に愛されるリンデン(菩提樹)。資生堂も並木通りに咲く菩提樹のオマージュでザ・ギンザ(2021)を出している位、街から漂う親しみやすい香り筆頭みたいに言われますが、そうなんですか?家の近所では一度も匂ってきたことがないのでわかりませんが、クレール・ディリスはこのグリーンフローラルのリンデンにマットなシプレノートがどっかり重なり、アイリスの粉スッキリ感が若干はじき飛ばされ気味になり、ジェントルマンも感じたように、結果としてあまり盛夏向きではないサマーフレグランスとなりました。ディヴィーヌでアイリスだったら、エスプリ・リーブル(2021)の方がクリスタルクリアで夏向けじゃないかなと思います。
レイヤリングについては、現行販売のあるオランジュ・ルージュで試したところ、双方の主軸が強調されて若干うるさ気味に感じました。また完売ですが同じセルジュ・ド・オリヴェイラ作のナルギレと重ねたところ、これが不思議とクレール・ディリスのアイリスっぽさと、ナルギレのアンバーが上手く引き立てあって、フローラル感が高まったパウダリーアンバーになるのでおすすめです。
ちょっと気になるのは、(キャンドルや仕様変更などは除き)ディヴィーヌは3年前からユニセックス系の限定サマーフレグランスしか出していないのは、何故なんだろう。定番として残すほどの納得のいく作品が上がってこないんだろうか。来年もレテだけだったら、さすがに少し心配になるので、次回は満を持して大型新人の登場を期待します。
私がつけると汗にさっさと負けて、朝つけても昼にはいないクレール・ディリスですが、ジェントルマンの肌ではリンデンよりもアイリスが前面に出たうえ底力が強いらしく、文字で見ただけで暑苦しい情景がポラロイドに映りました。香川照之は、この人が画面に映り込むだけで、磁場が乱れるような圧があって、非常によい俳優さんでしたが、不祥事で役者人生に大きな影が落ちてしまい、近影を見るとすっかり憑き物が取れたように老け込んでしまい、残念です。
ジェントルマンとお盆に帰省しテレビをつけると、たいてい「香川照之の昆虫すごいぜ!」の特番(再放送かも)がやっていて、東南アジアまで昆虫を探しに行ったり、それを映像コンテンツ化するNHKも物好きだなあと感心していましたが、ご本人のXでは虫だらけなので、どうにかカマキリ先生だけは彼のためにも復活して欲しいです。