La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Journey to all stores of Nose Way, Taiwan | in Taichung, Banqiao

台湾で5店舗展開するニッチ系香水店最大手、Nose Way。昨年8月に台北の2店舗を初取材して以来、本年2月には旗艦店である高雄店を訪問、そして7月末には未踏だった台中店、板橋店を訪問し、1年でNose Way全点踏破が叶いました。

Nose Wayのどこにそんなに惹かれるか?それは、オーセンティックな重鎮系ブランドから、宅香系インディブランドまでカバーするワイドな指向性と、どこの店舗を訪問しても存分な商品知識を土台とした、アットホームで激アツな接客。言葉の壁など簡単に蹴破り、こちらの懐にぐいぐい入ってきて、いつのまにか一緒に盛り上がっているーそれがNose Wayスタッフの基本姿勢。正直日本では味わえない、LPT納得の「王道がちゃんといる」豊かなラインナップと時を忘れるBAさんとの対話で、いつもあっという間に時間切れになってしまいます。

今回は、台北から台湾高鐡(新幹線)で約1時間の台中に南下、市内№1デパートの大遠百Top City店に入っている台中店へ。こちらは今年6月にピュアディスタンス創業者、ヤン・エワウト・フォス社長を迎えトークイベントが開催された、Nose Wayの中でもイベント開催に最適な大型店です。次に新幹線で台北の隣市にあたる板橋へ移動、板橋最大&最新デパート・大遠百Mega Cityに入っている板橋店を訪問しました。

 

youtu.be

Store 1 | Taichung, Top City

台湾第3の都市と言われる台中市。台北や高雄と比較して、開発が出遅れた事が幸いし、都市計画が一挙に進んだのか、さきの二大都市と比べて近代的で超大型のビルがバンバン立ち並ぶ街で、中心街は未来的ですらあります。大型デパート、大遠百Top Cityも超巨大で、デパート入店から北棟4FにあるNose Wayに辿り着くのにかなりの時間を要しました。店内は、横幅がありながら奥行きもたっぷりという贅沢な間取りで、今回は前回の高雄店訪問後に新規取扱の始まったブランドを中心にご紹介いただきました。

台中店でご紹介くださったのは、店長のウニさん。初めて自分のお金で買ったのがMDCIのペシェ・カーディナルで、そのよどみない情報量をもとにした激アツな接客は、高雄店のショーン店長直弟子というのがなるほど納得でした。盛り上がりすぎて写真を撮る暇がなく、台中店での写真は少なめですが、その分動画でご確認ください。

2024.3月以降の新規取扱ブランド:

・Almah Parfums 1948(スペイン)※動画内で紹介あり
・Olympic Orchids(アメリカ)※動画内で紹介あり
・Nissaba(スイス)
・Pantheon Roma(イタリア)

左から1)右方からの全景。最近イベントは台中店がメイン。ピュアディスタンス人気トップ3は①オパルドゥ②№12③ブラック、だそうで「先日のフォス社長来日イベントに招待された翡翠会員(年間約100万円以上購入する太客)は全員この2本は持っています」との事  2)左端にはMDCIのテーブルが 3)新ブランド、Almah Parfums 1948。1948年に創業した香料会社をジャウマ&ジョルディ・マグラン親子が継承し、2019年から息子のジョルディが調香を手掛けた香水も販売するようになった(らしい)、ドバイーバルセロナ2都市のブランド。旅がテーマなのは、先祖が旅行関係の仕事をしていたからだそう。 4)店長のウニさんとタヌ。翻訳アプリで文法的に中→日よりも精度の高い中→英で説明をお願いした。猛烈な情報量だった
- Almah Parfums 1948

Munnar Valley (2019) EDP
テーマはインドの旅。お茶系、しかもレモン強めでシャキッと美味しいレモンティ風味。後日公式サイトで確認した香調と全然体感が違うので要肌乗せ。

Maiestus (2019) EDP
テーマは聖なる旅。こちらもインドがテーマですが、同じインドでも神様にフォーカスし、聖木をイメージした、ピリ辛ゴリゴリウッディ。

Kyrie (2024) P

店長のウニさんお勧めの、パルファム・エキストレシリーズの新作。ブドウ畑への旅をイメージした香りで、ローズとジャスミンの王道フローラルにムスクとスパイスを重ねたシンプルかつ迷いのない香り。

- Olympic Orchids (part 1)

シアトルのらん園芸家、エレン・コーヴィ博士が2010年に創業した、宅香系インディブランド、オリンピック・オーキッズ。2015年、WoodcutがArt & Olfaction Awards Artisan カテゴリー受賞、世界に名が出たが、ボトルを見る限りでは、ブランドが大きくなるよりも永遠に我が道を行く①シンプル②手ごろな価格③パルファム濃度(20-30%)一択④珍獣系ナチュラルパフューマリー、という印象でした。Nose Wayでは現行36作から7作を取り扱っています。

ウッドカット(2014) P 30ml

Woodcut (2014)

店長ウニさん激推し、名前の通り斧で巨木をたたき割り、突貫でログハウスを作り、残りを薪にした後、まだ木に水分が残っているうちに一斗缶でいっぺんに燃やし、生焼け状態でバケツの水をザバーッ!とかぶせた「大木の一生」がフラッシュバックする、ウッディというよりは未加工の木が好きな人には堪らない一品。ウッディもここまでくると度が過ぎる気がするが、常に生木に包まれている感覚は天下一品。パルファム濃度なので持続も良く、ほんと最後の消えかかりにスモーキーバニラになるのが良かった。

Night Flyer (The Original, 2020)

ニッチ香水界の闇が詰まった問題作。もともとこの香りは、ズーロジストのオーナー、ヴィクター・ウォンの依頼で、エレン・コーヴィが調香し、BAT(2015)として販売されていたが、数年後コーヴィがBATの原料価格(一般的に独立系調香師に処方を依頼した香水は、増産時には調香師経由で原料となる香料を仕入れる)を1.5倍に値上げした為、怒ったウォンがBATを廃番にし、2020年にタイ人調香師、プリン・ロムロスに再処方させ、2020年エディションとして再発した。処方の著作権はコーヴィが所有しているため、ズーロジストのBATが廃番→処方変更で再発した際ガチンコでぶつけてきたのが、このナイト・フライヤー。The Originalとあるのは、上記の経緯を踏まえた元祖本家先祖的主張の現れ。ボトルには擬人化したコウモリではなく、本物のコウモリが書いてあります。店頭でナイト・フライヤー、BAT2000年双方を試香したが、どちらも基本は「土臭いバナナ」で、体感にあまり差がなく、正直、どっちでもいいかな…とお話だけ聞いておきました。

Blackbird (2013)

第一印象は「ブルーベリー消毒薬」。鼻から吸ったら肺がきれいになりそうな針葉樹の葉っぱ系ウッディに、物凄い量のブルーベリー果汁が入っているかの感覚に襲われる。めちゃくちゃ色が濃いので、白いシャツを着る時は要注意。

Store 2 | Banqiao, Mega City

今回初めて訪問した板橋。名前の由来はまさしく日本統治時代、東京は城北の住宅地・板橋からとったが、読み方はバンチャオ。台北市の衛星都市で、実際タクシーでも10分かからない「ほぼ台北」エリア。高鐵板橋駅とNose Wayのある大遠百Mega Cityは地下で直結しており、訪問が土曜の夜だけあって先が見えない位の買物客・飲食客でごった返していました。

Nose Wayの中では小さめの店舗ですが、立地を最大限に利用して、カウンターの前後に新ブランドやレギュラー陣がびっしり、かつ視覚的空間も確保した見やすいお店でした。昨年からLPTでNose Wayの紹介をしていますが、日本人のお客様は来ますか?と聞いたら「来ないですねえ」との事。まあ、台湾旅行で台北は当然行くにしても、隣町の板橋に香水を見に行く客がどれだけいるかと考えたら、まあ来ないですよね。逆に言えば、超穴場です。閉店22時までたっぷり遊んで、台北のホテルへタクシーで帰れる距離なのと、英語OKのスタッフさんは勿論、現在日本語勉強中のスタッフさんがおり、台湾旅行中、日本語でディープな香水体験ができるポテンシャルの高いお店です。

左)板橋店全景。小ぶりといってもこの位の空間はあるので見ごたえあり 右)Nose Way全店舗で取扱いのあるピュアディスタンス。先日のヤン・エワウト・フォス社長来台イベントでは、30名ほどの参加者がほぼ全員100mlボトルを購入したそう。板橋店でもテスターが専用シェルフで展示されていた。客が太すぎる
- Olympic Orchids part 2

オリンピック・オーキッズは板橋店でも新ブランドとして全面フィーチャーしていて、台中店では試さなかった、だいぶベクトルの違う香りを2種ご紹介いただきました。

Carosello (2018)

第一印象は「花束マスカット」。モスカートワイン(マスカットで作るフルーティで飲みやすい安価な白ワイン)のイメージとの事ですが、可食部多めのマスカットフローラルは、ベースの甘さがベンゾインなので、軽いばかりにならず、すきっ腹につけるとちょっと酔いそうなバランスです。Nose Way板橋スタッフ一推し。

Chevalier Vert (2017)

日本と同じ台湾の高温多湿にもってこいの、ルバーブ・トマトリーフ・ヨモギで体の熱が取れそうなシュヴァリエ・ヴェール。主役だけだと刺すような青みと酸味が爽やかすぎて落ち着かないところ、バイオレットとアイリスでちょっと粉寄せし、結果トロピカルフルーツを彷彿するフレッシュでスーパーローファットなフルーティグリーンに仕上がっている。ちなみにルバーブは近年日本でも出回ってきて、タヌも自作ルバーブジャムを毎年作りますが、もともと寒冷地の野菜なため、板橋店スタッフによると「台湾では見かけた事はなく、食べた事もない」そうです。まあ台湾にはルバーブ位入ってこなくてもどうってことない、マンゴーとか釈迦頭とか、おいしい果物や野菜が山ほどあるしね!

左より 1)オリンピック・オーキッズ。既にシュヴァリエ・ヴェールは店頭で完売していたので、テスターからショップオリジナルアトマイザー(5ml)に充填してくれた。日本では信じ難いサービス 2)前回訪問時の新ブランド枠にいたファブリッカ・デッラ・ムーサ。パリのSens Uniqueでもいい場所貰っていた 3)板橋店ピュアディスタンス売上トップ1はなんと№12、トップ2はM V2Q、次点がアエノータスとの事。ホワイト人気は過去の話に
store info

台中大遠百 北棟4F
地點|台中市西屯區台灣大道三段251號
電話|04 22543565
板橋大遠百 2F
地點|新北市板橋區新站路28號2樓
電話|02 29643643

Nose Way最新情報&おまけクイズ!

訪問する度に新ブランドが増えているNose Wayですが、冒頭でもお伝えした通り、やみくもに話題先行の最旬ブランドばかり呼んでくるのではなく、既に本国や欧米市場では評価がエスタブリッシュしている、キャリアの長いブランドを選んでいるのも特徴で、来年初めまでに4ブランドの取扱が決まっているとの事。これはもう衝撃で、ますます日本との差がつくなあ…と衝撃を受けました。具体的にはまだお伝え出来ませんが、ヒントだけ…

①日本撤退した、NYのライフスタイルセレクトショップオリジナルシリーズ

②15年前「世紀の復興」とBBCで特番が組まれた、元英国王室御用達ブランド

③ニッチブランドを牽引する有名香水店のオリジナルシリーズ

④刃物砥ぎの祖父母を持つ孫が4人で1996年創業した、イタリアの家族経営ブランド

こんなおめでたい激ヤバ情報も飛び出したNose Wayから、日本のLPT読者にプレゼントをいただきました!

オリンピック・オーキッズの香りをたっぷりスプレーした、ショップオリジナル扇子2種を、各1名様にプレゼントします!

写真の通り、黒にグリーンのアクセントが入り、結構大ぶりで男性でも使いやすいサイズです。

扇子1:Woodcut (2014) / Olympic Orchids

扇子2:Carosello (2018) / Olympic Orchids

【応募方法】2025年初旬に取扱開始の4ブランドを、①から④まで答えてください。結構難問だと思うので、全問正解でなくても、とりあえず全部埋めて回答してくれた方は、抽選のエントリー対象です!

✒ブログのコメント欄(応募コメントはブログ上では公開いたしませんので、ご安心ください)より、①~④の回答と、ご希望の扇子の香りをお書添えの上、奮ってご応募ください!

〆切:2024年8月31日(土)

※当選は景品の発送をもって発表に代えさせていただきます。

※当選者には、LPTより個別に連絡いたしますので、コメント時メールアドレスのご記入をお願いいたします。メールアドレスのご記入がないと、発送先の確認メールを送付できないので、残念ですが正解でも対象外とさせていただきます。クイズ回答時にメールアドレスの記載を忘れた場合は、別途コメント欄にてご連絡いただければ大丈夫です。

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