立ち上がり:最初からいい香りだ!鉛筆削った時の香りがする。いや、私こういうのい好きなんですよ
昼:鉛筆の香りに加え、雨降りはじめの雑草が茂ってる空地の香りもしてきた。これはなんだ?私を小学生時代の郷愁に誘う香りか?
15時頃:大分すっきりしたグリーン系の香りになってきました。普通にいいです
夕方:微かな甘さが残ってますが嫌な濃厚さはない。これは最後まで良いですね。常用したいです。
ポラロイドに映ったのは:子供の頃に年取ったらかくありたいと思った大人の人の理想像。年齢は否が応でも大人になりましたが現実は厳しいですね…
Tanu's Tip :
ディヴィーヌのメンズ作特集最終回は、ディヴィーヌだけでなく2016年から始まった男性向け香水紹介コーナー、ジェントルマンコーナーことA Gentleman Takes Polaroidsを通して、おそらく最高評価ではないかと思われる、ロム・アンフィニをご紹介します。ご多分に漏れず、香りのコンセプトは「無限の男には夢がある。それは、未来を創ることだ」(イボじい談)と∞マークが大きく空に浮かぶ壮大なスケールです。
ロム・アンフィニが発売された、今から10年前の2012年は、すでにウードが西欧の香水トレンドを席捲し、もはやアラブの珍香ではなくなってきた時代で、タイムレスな作風が身上のディヴィーヌも、時代の空気感は大切にしたのか、若干遅まきながらウードをアクセントに用いたウッディアロマティックの香りが登場します。とはいえ、別に中東進出をにらんでいるわけでもなく、2022年現在でも中東・ロシア・アジアに一切進出してせず「世界を目指さない」ディヴィーヌ流ウードとは、まったくのわき役で、香調に乗っているから入っているんだな?と思う程度で、主役はエレミとベチバー、引き締め役はブラックペッパー。シトラス香料を用いず、エレミとコリアンダーのシトラス要素でバーストをかけ、引き立ての黒胡椒のような爽快感と乾いたベチバーとシダーウッドが立ち上がった後は、すっきりと持続していきます。
しかも、ただすっきりしているだけではなく、絵画で言ったら、画用紙にさらっと鉛筆で素描した人物画のデッサン力がバカテクで、眼下には淡い色味付き&描いてもいない背景までが、しかも動いて見える、その「下地の凄さ」を担っているのが、ギリギリまで淡く、かつどこまでも並走する樹脂系香料で、甘さはほとんど出てきません。素人考えで、ベースにアンバーとベンゾインが来たら、ラストは甘さを引っ張るかな、と想像しますが、そこが端麗辛口好きのジェントルマンに「年を取ったらかくありたいと思った、大人の理想像」と言わしめた絶妙な匙加減なのだと思います。
ジェントルマン生涯の友(春夏版)であり、サイプレス・ベチバー・カシュメランというシンプルな構成のアンクル・ノワールを、もっと複雑に表情付けをして、キリっと辛口のスパイスで仕上げた感じでもあり、ジェントルマンが嫌いなはずがありません。
ジェントルマンコーナーは今回で40回目になりますが、ポラロイド用に依頼する香りの大半は悶絶要員で、勘弁してくれと無言で囁きながら、辛抱強く経時変化を記録しています。真夏は汗かきでポラロイドを撮る前に香りが飛んでしまい何度もやり直したり、冬でもつらい濃厚な香りを押し付けられてホヤが見えたり、それは苦労が絶えないのですが、今回「最後までよい。常用したい」という言葉が出て私物に昇格したのは、アンテウス以来ではないかと思います。お願いしている私としても、高評価が出ると嬉しいですし、ましてや私物に昇格する作品が出た時は、香水ブログを続けてきてよかった、と喜びのあまり小躍りを通り越して猛踊りしてしまいそうです。
今回ジェントルマンコーナーにてご紹介したディヴィーヌのメンズ作品サンプルは、LPT読者向け会員制コミュニティストア、agent LPTでお試しいただけます。
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