La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Golden Chypre (2012)

A Gentleman Takes Polaroids Chapter Twenty Eight : Golden Gentleman

 

立ち上がり:シトラス系なのかな?少しベチバーいっぽい香りなのですが 奥の方にうっすらとスパイスぽい感じも潜んでます

昼:印象はつけ始めと変わらないのですが ベチバー系の感じは背景に引っ込んできたように思えます

15時位:スパイシーな感じが残っています。これ女性用ですか?かなり男っぽいような。

夕方:持ちが結構いいです。最後まで良い香りでいきました。でもこれは梅雨時期ではなく初秋あたりが似合いそうな香りです

ポラロイドに映ったのは:夏でも長袖シャツを着ているが暑苦しく見えない瓜実顔のお兄さん。音楽はホワイトレゲエが好き、UB40とか。

 

Tanu's Tip :

 

皆様お久しぶりです。半年間のブランクを終え、ジェントルマンコーナーが帰ってまいりました。この半年間、ジェントルマンは決してLPTから遠ざかっていたわけではありません。ある時はキャバレーLPTの音響担当、ある時は業務超過時期のLPT e-store発送作業、またある時はLPT annexでマンプク宮殿連載と、陰に日向にLPTを支え続けていました。東京のピュアディスタンス来日イベントでは、動画撮影やムエット配布など、イベント全般をサポート。要は、同じくLPT annexでネタバレ上等映画レビューやトンデモ旅行記を刻み続け、イベントでは正邪峻別の関所として長年受付を担当しているハン1と共に「店主タヌのオーバーフロー分すべての受け皿」として、この半年間目にも止まらぬ忙しさで生きていたのです。

忙しい中にもジェントルマンは日々の香りをたしなみ、この半年間で出番の多かった香りベスト3(タヌ鼻識別ランキング)は

①グリーンウォーター(ジャック・ファット、リニューアル前版)
②アエノータス(ピュアディスタンス)
③ベチバー(ゲラン)

特にアエノータスは、5月に60mlボトルを使い始めてすでに1/3以上消費しているので、四半期ベースで言ったら堂々1位。この勢いだと確実に年内には使い切るでしょう。勤務先のそばに来る移動弁当屋さんが、アエノータスをつけている日は必ず褒めてくれると大喜びです。

さて、ここ東京は長かった梅雨もまさに本日明け、ジェントルマンコーナーの復活と共に眩しい、そして暑い暑い暑い夏がやってきました。今月は「金色ジェントルマン」と称し、黄金に輝く玉のように眩しい…目がかすむほど清々しい、軽やかなシプレを3作ご紹介します。第1日目の本日は、今月のタイトルに相応しく、グロスミスのゴールデン・シプレの登場です。グロスミスは今年復活10周年。ゴールデン・シプレがコンテンポラリーシリーズの1作として登場して早7年。そろそろ新作の声が聞こえてきても良さそうですが、逆に言えば、復刻3種ブラック・レーベル、そして王室もの2作の出来が半端なかったので、同等もしくはそれを上回るものを作り出す諸々…が充ちてこないのでしょう。グロスミスは復刻系としても高額で、販路もかなり限られているので、購入する側も1本1本が勝負になり、揃えていくのは大変です。私自身、5年かけてクラシック・コレクションをコンプリートした後、先日開催したLPTコンフィデンシャルセールで、晴れてブラックレーベルの中で一番気に入っていたゴールデン・シプレのフルボトルを手に入れることができました。一昨年のグロスミス特集で試香用サンプルを堪能して以来の再会は本当に嬉しく、フルボトルから全身に惜しみなくスプレーした時の充足感は言葉では現しきれません。

 

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ゴールデン・シプレ EDP 100ml

ロベルテの調香師、トレヴァー・ニコルが手掛けたゴールデン・シプレは、シプレ系の鼻祖、コティのシプレ(1917)の流れをくみ、ベルガモット・ベチバー・オークモスといった王道の骨格でしっかりとした酸味のあるクラシックなシトラスシプレを踏襲しながら、コンテンポラリーな美しさをふんだんに湛えたシトラスアロマティックシプレです。1920年代に登場したジャン・パトゥのクセジュ(1925)やコロニー(1938)といったフルーティシプレ系から、戦後のイグレック(1964)やジバンシィIII(1970)、そしてディヴィーヌ(1986)へと流れていく作風に、しなやかなレザーやたおやかなローズやヘリオトロープが重なり、知的でスタイリッシュながら、人肌に温められ胸元から溢れる香気には、人間が生まれた時から持ち合わせている優しさや温かさをふんわりと感じます。性別を超えて楽しめる21世紀のライト系シプレを代表するといって良いでしょう。グロスミス作品の中では、王室や親族など明確なモデルが居るわけではなくテーマ的に地味なゴールデン・シプレですが、心地よさはブラックレーベル随一だと思いますし、ジェントルマンがつければ「かなり男らしい香り」、そして私は2年ぶりにつけて、こんなに女性らしいフローラルシプレだったかなあ?と驚きまして、ユニセックスと簡単に言い済ませるには勿体ない、要は「その人の持つ魅力を猛烈に底上げする名脇役」がこの黄金に輝くゴールデン・シプレに贈るささやかな讃辞です。

 

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このキャップが、見た目通りずっしり重くて荘厳です

男性のイメージでいうならば、きっとこの人のお母さんは、若いころ猛烈に美人だったんだろうなあ、と容易に想像がつく、若干細面で涼やかな美青年(成人男性。決して少年ではない)という感じで、ポラロイドに映ったのが「瓜実顔のお兄さん」だったので、珍しくジェントルマンと見えた情景が一致し、非常に嬉しかったです。ただしジェントルマン曰く「ちょっとニヤニヤしてる感じなんだよね」…それは聞かなかったことにいたしましょう。香り持ちが弱いのが玉にキズですが、1969年特集のオードランコムでも言いましたが、この系統の香りで持続にこだわるのは邪道です。消え失せたらタッチアップしてください。よろしくお願いします。

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