La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Bvlgari Black (1998)

立ち上がり:甘いーーーー!でも嫌な感じではない甘さです。
自分に似合ってるかどうかは別として。
 
昼:香りは大分落ち着いてきてますが甘さだけが突出してきてる感じが
します
 
15時位:大分落ち着いてきました。バニラ系のおやつを3時食べた?
という感じは残ってます
 
夕方:最後まで甘い!ぶれない!間違いない!
似合えば良いんですけどね・・・・
これが似合う50代の男ってあまり想像したくない・・・
というか同僚でいたら嫌かも・・・・
 
ポラロイドに映ったのは:甲高い声で正論しか述べないオジさん。美食系。酒、タバコはやらない。バツイチだな・・多分。
いや、良い香水なんですけど私には合いません。
 
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ブルガリ ブラックEDT40ml 並行輸入品で実売価格2,000円台
 
Tanu's Tip :
 
宝飾店としては、その昔「店内に入ると外から鍵をかけられる」という、確固たる購入の意思がなければ入店無用の喩えであろう、恐ろしい都市伝説とともに日本上陸したブルガリ。なぜか日本では、ちゃんとした輸入総代理店があり、デパートでは中庸の価格帯で春夏秋冬プロモーションをしていながら、有象無象の並行輸入品が実売価格を下落させ、高校生がドンキホーテで買う香水、というイメージがこびりついて離れません。海外ではそんな大廉売の憂き目にはあっていないのに、ブランド自体は超高級なのに、何故香水だけがこんな目に?この辺は、ファッションブランド香水の殆どはブランドの名前貸しで、名前を借りたどっかの工場がOEMしている産業生産品で、さらにはそのブランドの価値とは100%連動するものではない、としっかり頭に置くのが肝要です。
 
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ボトルの評価も高いブラック 確かにこれだけが「ブルガリ?」異質なイメージ
 
宝飾品としてのブルガリの価値観とは違い、常に最大公約数を狙ったメインストリームど真ん中の作風なのも手伝って、いわばニッチ系フレグランスの極北にいるようなブランドですが、その中でも異質の存在として、実験的要素が盛り込まれた意欲作として発売当時絶賛された異端児、ブルガリ・ブラックは「甘さの中にもゴムがある」という、スモーキーな正山小種(ラプサンスーチョン)やゴムいラバーノートがアクセントになったスウィートなウッディオリエンタルで、ボトルもゴムタイヤを腹巻きにしたインク壺のように未来的で、これも発売から20年近くになりますが、それこそニッチブランドから出してもブーイングの来なそうな個性を持った作品です。調香はこれまた著名な女性パフューマー、アニック・メナードで、古くはヒプノティック・プワゾンを手がけ、最近ではゲランのボワ・ダルメニや、毎年旧正月になると、爆買い中国人が伊勢丹新宿店に押し寄せ、根絶やしに買占め棚が空っぽになるルラボの東京限定、ガイヤック10も彼女の作品です。
 
メンズとして扱われていますが、むしろこれはレディス寄りのユニセックス系で、ボディのある香りがお好きな女性にオススメです。ボトルの見た目ほどゴムくないのでご安心を。メインストリームものでも、偏見を横に置き、値頃な価格でオリジナリティの高い、かといって個性が悪目立ちしない良作が見つかる嬉しい例だと思います。ジェントルマンには甘すぎたようですが、もしドラッグストアでメンズ香水安かったから買ったけど、こんなの使えないよ!と言っているパートナーがいたら、失敗は成功の母よ、香水の道に終わりはないわとか適当に慰めてビールの一杯でもおごってあげて、いそいそとそのボトルを取り上げてご自分用にお持ちになるのをお勧めします。
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レトロな蛇腹カメラを髣髴する外箱に入ったボトル、当然デパートにはもう店頭に並んでいませんが、一応廃番ではありませんので言えば出してくれるかも
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