La Parfumerie Tanu

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Encre Noire à l'Extrême (2015)

A Gentleman Takes Polaroids Chapter Twenty Seven : Extreme Gentleman
 
立ち上がり:無印ENCRE NOIREに比べるとアンバー系の甘い香りがのっけから強いです。無印の方の苦い感じの香りが好きだったので少々違和感有り。これ自体は落ち着いてていい香りですが。
 
昼:甘い香りは背景に隠れ、ベチバー系の香りと無印ENCRE NOIREの香りが出てきました。
 
15時位:かなり無印ENCRE NOIREの香りに戻ってきた感じ。少しウッディーな香りが無印より強めかな。
 
夕方:15時くらいの印象と変わらず。香りのバリエーションが豊かなのでこれはこれで良いかなと思います。
 
ポラロイドに映ったのは:久しぶりに会う友人があまりに雰囲気が変わっていて驚いたが、居酒屋入って話してみると昔と変わらぬ訛りが出てきて一安心
 
Tanu’s Tip :
 
平成最後の正月が明けてはや1か月、来週は立春を迎えようとする1月最終週、2019年最初のジェントルマンコーナーをお届けいたします。今年の干支は己亥(つちのとい)、亥年といえば「猪突猛進」。時速50キロのスピードで突進しながらも、実はちゃんと角は曲がれるフレキシビリティを持ち合わせるイノシシに対し、猛烈な勢いで突っ込んだ壁を粉砕する位のエクストリーム感が本懐のLPT。そこで今年初のジェントルマンコーナーでは「エクストリーム・ジェントルマン」と題し、エクストリームを冠する香りがページを飾ります。

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アンクルノワール アレクストレム EDP 100ml
 筆頭はジェントルマンご贔屓・アンクルノワールの最新版ドジョウ、アンクルノワール・アレクストレム(もし日本発売したら、国内表記はアンクルノワール・エクストリームとなるはず)をご紹介いたします。調香はオリジナル版(2005)と同じくナタリー・ローソンが手がけています。アンクルノワールのドジョウは、唯一のレディス向けであるアンクルノワール・プールエル(2009、クリスティーヌ・ナジェル調香)、オリジナル版のライトバージョン、アンクルノワール・スポール(2013、ナタリー・ローソン調香)そしてこのアンクルノワール・アレクストレムと14年間でたった3作と、昨今のメインストリーム系ヒット作にしては少ない方ですが、いずれも2019年時点で廃番になっていない所が特筆すべき点でしょう。食の情報誌「DANCHU」で、10年続けば奇跡と言われる東京の飲食店業界において、10年以上営業している現代の老舗店を紹介するロングラン連載「東京で十年。」を思い出します。アフォーダブル度もエクストリーム級で、ディスカウンターでは100mlでUS$35程度、オリジナル版100mlがテスターボトルであればUS$25を切るか切らないかの大廉売なので、ドジョウのアレクストレム版ももちろん追随しています。
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香りとしてはジェントルマン曰く「アンクルノワールの尖ったところが丸まった感じだなあ」確かにアンクルノワールはまさに「淡麗辛口」というのがぴったりな、甘みがなくてキーンとくる、ドライビターなウッディベチバーで、そこを土台に甘さのあるサンダルウッドやエレミなどの樹脂系香料を積載し、アイリスやインセンスなど昨今流行のエレメントをちりばめたら、脱ぐとあばらが浮いているような痩せぎすに鋭い眼光がウリの男性に、あったか素材の服を全身着せたら、割とよくいる流行に敏感な普通の気の利いた青年になった、なんだか目が笑ってるよ、女性でいったらメイクした方が普通に見える、素顔が一番鬼気迫る人みたいな、どちらかというとエクストリームなのはオリジナル版の方で、アレクストレム版はレーダーチャートでいうとグラフが円形に近いバランスに仕上がっています。ただこの厚みを持った甘さはきちんと分をわきまえており、格となるアンクルノワールのビターなベチバーはしっかり主張しますので「アンクルノワール、好きなんだけどこの時期つけるとちょっと肌寒いんだよな」という方には、同じ型紙の肌着で綿麻→化繊入り毛混、位の温かさがありますので、春夏はオリジナル版、秋冬はアレクストレム版の使い分けもおすすめです。ジェントルマンのポラロイドにも、経年変化による識別不能な姿になったとはいえ、やがてじんわりと懐かしい故郷の訛が浮き出てくるような安心感が映り込みました。
 
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なんにつけ、ラリックのフレグランスは定価があってないようなもので、常にディープディスカウントされて流通しているので、アフォーダブル系ファンにとっては見逃せないブランドで「ボトルは一流、中身は二流」とは言うものの、100mlのEDTが3000円もしないで手に入るコストパフォーマンスを考え、何本も空にするほど愛用し、ストック分まで買っている人間(ジェントルマン)が現にいる事を考えると、リピートに値する良い仕事を十二分にしていると思いますので、もう定価はないものとして「アフォーダブル系の帝王、ラリック」と認定し、これからも一目置くことにいたします。
 
現在の輸入代理店はラリック・ジャパンで、ラリック公式オンラインショップではジュエリーやホームウェアだけでなく、フレグランスの取扱もありますが、フレグランスページにはアンクルノワールのシリーズが見当たらないので確認したところ「お問合せありがとうございます。お問合せいただいたLaliqueのフレグランス商品(Encre Noirシリーズ)は、現状では日本国内でのお取り扱いがございません。入荷予定は現時点では未定となっております。多大なご不便をおかけし誠に恐縮と存じますが、何卒ご理解をいただけますようお願い申し上げます。」(ラリック公式オンラインショップ、2019年1月24日回答)とのことで、今迄通りディスカウンターで購入する事をおすすめします。
 
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