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Frassaï live in Japan | the first Asian tour by Natalia Outeda

本年4月、フラッサイのオーナー、ナタリア・オウテダさんが初のアジアツアーに出発しました。友人でもあるナタリアさんのバディ調香師、イリナ・ブルラコヴァさんの住む香港を皮切りに、取扱店のある台湾、日本そして市場調査のために韓国を訪問する3週間のハイライトは、何といっても我らが日本。そして光栄な事に「日本のファンに会いたいから、キャバレーを一席設けていただけないかしら」とアポイントがあったのが昨年12月。年始から少しずつ準備を進め、遂にアルゼンチンの女神が降臨しました。日本訪問前から、ソウルへ向かうまでの貴重な2週間をレポートいたします。

1. Frassaï meets Taiwan

香港で数日を過ごしたのち、台北へ向かったナタリアさん。フラッサイはLPTでもたびたびご紹介している台湾最大のニッチ系香水店、NoseWayの姉妹店でナチュラル系ライフスタイルブランドを集め、台湾内で4店舗展開するPure by Nose Wayで取扱いがあります。まずは台北でスタッフにブランドの導入教育を行い、店舗実績などを調査。Pureでは売上の65%がエル・デスカンソというぶっちぎりの人気で、エル・デスカンソの年間販売予定数の半分近くが台湾で売れている事が判明。世界的な売れ筋とは一線を画す台湾のトレンドに、ナタリアさんも腰を抜かしたようです。

販売スタッフへの導入教育後は、高鉄(新幹線)で台湾第2の都市・台中へ。台中大遠百デパート内のPureに着くと、サプライズイベントが!店頭には天井近くまであるフラッサイのポスター(エル・デスカンソとキュイール・パンパスのツーショット)が立ち、直前の告知にもかかわらず多くのファンが集まり、当日のInstagramでは「本人光臨、超素敵感激!!」な投稿を多数見つけました。滞在中、移動は勿論お食事やショッピングまでNoseWayのチームがアテンドし「訪台前の打合せは特になかったんだけど、思った以上のリアクションでこんなに歓待されるとは思わなかった」とナタリアさんも喜んでいました。

2. Japan | Before The Cabaret

day 1 | 4月18日(木)

台北から成田入りし、第1ターミナルの到着ロビーにフラッサイ色のジャケットにリュック、スーツケースにボストン…と結構な荷物で単身現れたナタリアさん。これは何としてもホテルまで1秒でも早く、少しでも楽にお届けせねば、せっかくの来日が腰痛で台無しに…黒だかりの団体客をかき分け成田空港駅(始発)プラットホームへ急行、「ナタリアさん、今だ!」と荷物置場横の席になだれ込み(ここ大事)、次の駅である第2第3ターミナル駅から怒涛のように乗り込んでくる旅行客を尻目に、大門までの一時間強を利用して車中キャバレーの打合せをしました。直接お会いするのは今回が初めて。でも相手の緊張を解くようなナタリアさんの柔らかな雰囲気と、とにかく頭の回転が速く、うまく英語にならない会話も予測変換して汲み取ってくれて、車中大盛上り。下車後タクシーでホテルに向かう途中、限定色のインフィニティ・ダイヤモンドヴェールに輝く東京タワーに身を乗り出して喜ぶナタリアさんを見て「はて…今日は普段と色が違うけど、何の日なんでしょうね?」と尋ねるドライバーさんに、私も何故だかわからなかったので、

「そりゃ、ナタリアさんが日本に来たからですよ!!」「キャ~!!」

あっという間にホテルにつき、キャバレー用受け渡し品をいただき、早々に失礼したのが22時過ぎ。まずは無事ナタリアさんをホテルまでお届けする第一ミッションをアカンプリシュトする事ができました。

day 2 | 4月19日(金)

この日はプレス向け発表会。なんと会場はアルゼンチン大使館。海外ブランドの発表会としては最強のカードとなりました。会場ではアルゼンチン料理もふるまわれ、1年の大半を国外で過ごすナタリアさんにとって嬉しい望郷の味に舌鼓。終了後は取材陣から記事掲載のオファーが相次いだそうで手ごたえも十分感じたそうですが、なかにはフラッサイの発表会なのに自分の商品を誰それ構わず売り込んでいる招待客や、日本(だけ)で絶大な人気を誇る同郷ブランドについてナタリアさんに問い続けるジャーナリストもいて、ちょっと頭に「?」が浮かぶ場面もチラホラだったとか。日本国民たるもの、光栄にも駐日外国公館に招かれておきながら自国の恥を晒さないで欲しいですね。

day 3 | 4月20日(土)

この日は、午前中根津美術館の庭園を散策し、ノーズショップ渋谷店・新宿店・池袋店を駆け足で見学した後、午後から同麻布台店でグループコンサルテーションでした。5-6名x20分x4回しで、個別に香りを選ぶというよりは、1グループにつき簡単なブランド紹介と作品紹介をして、参加者から感想を聞いて写真を撮って…という流れだったそうで「セッション中、横には次のグループが待機して、終わったグループは別カウンターでもう一度香りを試して…と、なかなかシステマチックで動線もスムーズだった」と、ノーズショップの企画力に感心していました。

アルゼンチン大使館で開催されたプレス発表会にて、エドゥアルド・テンポーネ
アルゼンチン駐日大使とナタリアさん。 これを国の誉と言わずして何という
(写真:ナタリア・オウテダさん提供)
3. Cabaret LPT vol.15 | Frassaï meets LPT, 21 Apr 2024

day 4 | 4月21日(日)

遂にやってきたキャバレーの日。ホテルまでお迎えにあがりタクシーで会場入りしました。受付では、結界担当のハン1さんの横に並び、一生懸命日本語で「ようこそいらっしゃいました」「わたしはナタリアです」と一人一人にご挨拶するナタリアさんの神々しさに当てられたLPT読者が、驚いて何故かハン1さんの顔を見るので「なんでシズさんの顔を見るのよ!」と苦笑いでした。

一旦ドアクローズした後会場内にナタリアさんをお迎えしスタートしたトークセッション。今回は「これ以上何も書く必要はない」とTeam LPTが感動した読者レポートを原文ママでお届けいたします。
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ジェントルマンが選曲し、ナタリアさんが踊り出しそうになった、会場でのプレイリストをSpotifyでお聞きいただけます。最新作ドルミール・アルソルの「日向で眠れ」という意味にインスパイアされたThe Durutti Columnの'Sleep will come'で幕を開け、1970~80年代に登場したアルゼンチン・ロックに続き、フラッサイの作品名にちなんだピアソラの'ヴェラノ・ポルテーニョ'で終わる、ジェントルマン渾身のBGMをどうぞ

セッションの一コマ。予め何の香りかは明かされず、ナタリアさんから受け取ったムエットを試し、何が浮かび、何を感じたかを共有。その後作品の解説をするという双方向型キャバレーは今回が初の試みだったが、想像を超える楽しさだったと、参加者から多くの感想が寄せられた
上左) キャバレー終了後。全員での記念撮影後、ロビーでツーショットやサイン会のMeet & Greet
上右) 今回受付から降臨してくれたナタリアさんと受付のハン1さん。二人とも右の口元にお揃いの大きなほくろがあり「口のほくろは、ボスの証よ(ナタリアさん)」との事。ちなみにナタリアさんはタヌと同じ3姉妹の末っ子
下左) 一人一人丁寧にサインをするナタリアさんに、読み方を伝えるLPT男子 下中央、下右) 京都、新潟、長野など遠方からの参加者もあった女神降臨キャバレー、ナタリアさんに会えた感動で涙をにじませる方もいた

Meet &Greetでは読者から女神への御供物が相次ぎ、私が見聞きしただけでもお菓子や日本茶、お香、中にはおばあちゃんの着物をほどいて作ったトラベルスプレーケースや「菜太梨亜(うろ覚え)」と漢字で名前を刻んだお守りペンダントまで…ナタリアさんもプレゼントの山に「わーい、誕生日みたーい」とはしゃいでいたそうです(ハン1談)。今まで来日イベントは幾度か主催しましたが、ここまで沢山のプレゼントは初めて。中には感激のあまり涙ぐむ方もいて、ナタリアさんも「あの方は、どうして泣いていたのかしら…」それは、あなたに会えた感激で、感情が溢れてしまったからですよ、ナタリアさん!

4. 聖地巡礼リンク付!ナタリアさんといく秩父ショートトリップ

day 5 | 4月22日(月)

来日前「オフ日にどこか東京近郊に日帰り旅行したいのだけど、どこかお勧めはありますか?」とナタリアさんに聞かれました。しかしご存じの通り、現在日本の主たる観光地はどこも外国人観光客で長蛇の列&地面が見えないほど激混みな場所もあるため①都心から電車で楽に行けて②外国人観光客がまだ辿り着いていない③ナタリアさんが喜びそうな、歴史的建築物の残る場所…と考えて、穴場№1の秩父をチョイス。せっかくなので一緒に行く事にしました。

また秩父は国指定伝統的工芸品である銘仙の産地で、物産館で着物も借りる事ができるので「秩父で着物、着てみない?」とオファーすると「着る着る💛」とノリノリのお返事が。そこで①LPTの地元線・西武鉄道の特急ラビューで秩父へ行き②特産の蕎麦をいただき③ヴィンテージ着物を着て④ユネスコ無形文化遺産・秩父夜祭で有名な秩父神社をお参りし⑤昭和レトロ通りを散策…というプランを立てました。

あいにく今にも泣き出しそうな空模様でしたが、寸止めで雨に降られることもなく、着物を着て神社やレトロカフェに溶け込むナタリアさん、とても素敵でした。

秩父夜祭で有名な秩父神社にて。神社のそばに秩父銘仙の問屋を利用した物産館・秩父ふるさと館の中にあるレンタル銘仙イロハトリでヴィンテージ着物体験を楽しんだナタリアさん。お召の着物は戦後の小紋、フラッサイ色の帯も見つかって喜んでいました。秩父銘仙は身長140cmが基準で、長身のナタリアさんには丈が合わないため、お店の方が戦後品を勧めてくれた。日本女性平均身長のタヌは90年前の銘仙を着用したが、さすがにおはしょりは出なかった。顔が小さく上身頃が華奢なナタリアさんの横で、肩幅が巨大ロボット並のタヌ、残念
左) 蕎麦どころでもある秩父で、武蔵屋のごまだれ天せいろを大絶賛のナタリアさん 中央) 昭和初期から営業しているパリー食堂にて 右) 着物歩き中に偶然見つけた泰山堂カフェで一休み。店内はジャズが流れ、ナタリアさんが大変気に入っていました。パリー食堂と泰山堂は国の登録有形文化財

day 6-7 | そして京都

日本滞在の大ラスは、やっぱり京都。平日・休日を問わず激込みの京都ですが、憧れには勝てなかった…さすがは屈指の観光地だけあって、外国人観光客を喜ばせるツボ満載。ナタリアさんが予約サイトで探したホテルも、湯船付ユニットバス完備ながら、室内は畳部屋でちゃぶ台に座椅子、ウェルカムドリンクは抹茶に和菓子、寝るのは布団と日本の疑似体験が凝縮した「お宿」に大満足。そしてホテルの脇には、リサイクル着物ショップが!「当座のイベント衣装ができたわ!!」と羽織や訪問着を何着もゲット。本当は窯元も訪ねたかったけれど、さすがに時間切れ…1週間の前半はイベントづくめでしたが、後半はオフ日を満喫できてよかった…「必ず戻ってきます!次は1か月くらい滞在したいわ」と、後ろ髪を引かれるように、次なる訪問地・ソウルへと旅立っていきました。ありがとうナタリアさん、絶対また来てね!!

 

✒読者レポートでも登場した最新作ドルミール・アルソルは、世界発売の6月、今回の来日レポートでご紹介しきれなかった来日こぼれ話もあわせ、フルレビューをお届けいたします。お楽しみに!

 

 

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