La Parfumerie Tanu

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sous le manteau | (live) love in Tokyo, the first presentation by Olivia Bransbourg

スーレマント創業者、オリビア・ブランズブールさん来日緊急レポート

今月12月1~3日に開催された、京都の香水店・ルシアージュ主催の香水イベント、香展にあわせ、スーレマントのオーナークリエイターであるオリビア・ブランズブールさんが初来日しました。日本で初めてSLMを紹介したというご縁で、今回単身の来日でワンオペ状態のオリビアさんを後方支援させていただく光栄に恵まれました。来日から香展特別イベント参加までの貴重な3日間をレポートいたします。

day 1|11月30日(木)

制作はすべてフランスで行っているSLMですが、今回は香展の前日である11/30に、活動拠点を置いているニューヨークから遠路はるばる日本上陸、成田エクスプレスで宿泊先の渋谷へ直行。日本は初めてですが、グローバルに活躍されているオリビアさんは日本に結構な数のお知り合いがいて、この日も日本で活躍するブランドの方がおでん屋さんで大歓待。欧米人の苦手な日本食ベスト3に常時ランクインしているおでんですが、オリビアさんはおでんの美味しさに感激。「特に大根が美味しかった」とおでんの洗礼を易々とこなしていたそうです。

day 2|12月1日(金)

NYから東京の時差は14時間、最短の乗継便でも16時間以上かかるハードな長距離便で、ロングフライトの疲れがどっと出て、この日は調整日に。お昼までは、特別イベントで使用するプレゼン画像の日本語訳をLPTの校正担当で仕上げ、その後は天気も良いし、まずは翌日に特別イベントが控える香展のルシヤージュブースやイベントブースの下見を兼ねて、表参道まで「歩いて」行きました。途中代々木公園や渋谷周辺をかなり歩いて、夜はプレゼンや販売ブースでお見せするヴィジュアルファイルを夜中の2時までかかって仕上げました。

day 3 | 12月2日(土)

前日頑張りすぎて、フライトで痛めた腰がかなりつらくなってきたオリビアさん。なんとか痛み止めで抑えながら、LPTとは15時にホテル集合。遂に店主タヌはオリビアさんとの初対面が叶いました。180㎝以上ある長身で、すらっとした知的な印象ながら、話したい事と聞きたいことが交互に飛び出して、移動中のタクシーでもどこを走っているか見失う位のハイテンション。結果、道に迷ったタクシーに適当に降ろされ、めったに来ない表参道の、しかも裏通り的なロケーションの為、地図アプリを見ても練馬人タヌは全く役立たず。オリビアさんに「向こうがオモテサンドウ・アヴェニューだから、あっちよ」と結局昨日歩いて来たオリビアさんに連れて行ってもらいました。

15:30過ぎに香展会場であるRAND表参道に到着すると、向こうが見えないくらいの大盛況ぶり。予約入場制なもののドアが全開だったため、鼻休め(または酸素の確保)にかなりの人が頻繁に出入りしていました。当初、SLMの特別イベントまでは準備時間に充てる予定だったオリビアさんは、告知では17:00からイベント、その後ルシヤージュのブースで香りのアドバイスをする予定でしたが、到着と同時にブースで接客を任されることに。常駐の通訳さんが会話をサポートする中、頭一つ抜けているオリビアさんに気付いた来客者が吸い寄せられるように切れ目なく集まり、どんどんイベント時間が近づいてきました。「これはまずい…人気すぎて場を外せない…」と、オリビアさんが会場で空き時間に作成する予定だった、特別イベント参加者へのプレゼント品である、セラミックのSLMロゴチャーム(通常は50mlまたは100mlフルボトルにセットされています)がついた黒いリボンのチョーカーを代理作成するという特殊任務が発生。そこに、顔見知りのLPT読者が運良く居合わせて、作業場所もない中デコレーションテーブルの一角を拝借し、1本45秒のスピードで作成、イベント開始10分前に完成しました。

香展は、仕切りのないひとつの大きな部屋に、壁側にはブランド単体のブーステーブルが7、前方には香調ごとの代表作を集めたイベントテーブル、中洲にはルシヤージュ直輸入ブランドを集めたブーステーブルがあり、特別イベントは会場奥にプロジェクター投影する一角(写真左)があり、販売エリアとの仕切りは着席用の折りたたみ椅子のみ。かなりの活況でお客様の会話が場内に反響して少々聞きづらい中、通訳を交えSLMファンも知らなかった「オリビア・ブランズブールとは」「スーレマントとは」をじっくり語っていただきました。

1) カルチャーマガジン・ICONOflyの活動(2006-2015)

ICONOfly(アイコノフライ)は、英仏2か国語で、毎号特定のファッションアイテムにフォーカスし、超絶深堀りするアートマガジン。寄稿者が信じられないくらい豪華で、発刊のたびにボンマルシェやプランタンで展覧会を行い、マガジン内で紹介したアート作品の販売や展示を行いました。

全7号発刊、発行部数は最大5万部で、中でも2011年に発刊された6号目の香水特集では、寄稿者がリシャール・フレッス(当時のキャロン専属調香師)、ティエリー・ワッサー(同ゲラン)、フランソワ・ドゥマシー(同ディオール)、ジャン=クロード・エレナ(同エルメス)、キリアン・ヘネシー、フレデリック・マル、セルジュ・ルタンス…と、これを「王手(チェックメイト)」と呼ばずになんとするの錚々たる内容です。

左よりアイコノフライ創刊号「旅行鞄(2006春発刊)」、5号「ブレスレット(2009年春発刊)」、6号「香水(2011年発刊、最大印刷部数5万部)」。海外オークションサイトでは1冊100ドル以上のプレミアがついている号もあるそう

主宰していたINOCOflyマガジンを紹介しながらトーク中のオリビアさん。
後半、ムエットでSLM全6種の香りを試しながら、香りの特徴を説明
2)スーレマント誕生(2016~)

2015年の最終号を発刊後、オリビアさんは香水のクリエイションに専念する事を決意。そして2016年、数々の媚薬処方が載っている19世紀の古書を発見したのがきっかけで、現代の感覚に再処方した媚薬を蘇らせたいーと、スーレマントが始動する事になります。

「皇帝の粉」「ハーレムの露」など、それだけでも効能が伝わってくる香水名は、元々はその古書に記載されていた媚薬の名前をそのまま、または少しだけ語呂良くアレンジして採用したそうで、媚薬を調べていくうちに、魔女と言われていた女性が、エッセンスを詰めた小瓶をコートのポケットに忍ばせ、枕の下などに振りまいて「惑わせた」-フルボトルのパッケージには、オリジナルの媚薬処方と、香りをスプレーしてカバンに入れたり枕の下に置いたり、魔女さながら媚薬の効果を願って、SLMの香りを楽しんで欲しい…との思いでセラミックのチャームが添えられています。

3)イベント終了後は長蛇の列

終了が次のイベント間際になってしまったため、SLMのトークイベントに参加した方へのプレゼントは、ルシヤージュのブースで行う事になりました。15名ほどの参加者でしたが、皆さん1列に整列し、オリビアさんは参加者と会話をしながらご希望の香りをチャームにスプレーし、ひとりひとりの首元にかけてあげていました。参加者は、きっとイベントを聞いて帰るだけ…と思っていた方も多かったと思いますが、オリビアさんがチャームで魔法をかけたかのように、2回、3回と並びなおしては再度話を聞いたり、ボトルを購入する方が続出。後半の盛り上がりようは凄まじく、ボトルにサインをしたり、購入者と一緒に写真を撮ったり、オリビアさんの体当たり大サービスにファンもすっかり禁断症状が抑えられず、媚薬をおかわり購入する方も登場、次のアポイント会場に移動する時間ギリギリまでファンとの対話を楽しみました。迎車が到着すると、嵐のようにタクシーに乗り込み「また明日来るわね!」とその場で決まった再来店を告げ、熱狂の香展イベント(続く)が終了しました。

チャーム授与風景。オリビアさんの熱視線に、将来慢性SLM中毒患者となるであろう男性も登場

おまけクイズです!

SLMのトークイベントで紹介のICONOfly第6号で登場した、2011年当時の錚々たる専属調香師の面々。それでは、2023年現在の下記ブランドの専属調香師をフルネームでお答えください。

①キャロン②ゲラン③ディオール④エルメス

🎁全問正解の方には、香展特別イベントで配布した、香り付きSLMロゴチャームチョーカーを、クイズに正解の先着6名様にプレゼントいたします。 長めに結んでペンダントに、しっかり結んでお色気チョーカーに。

✒ブログのコメント欄(応募コメントはブログ上では公開いたしませんので、ご安心ください)より、①~④の回答と、ご希望のSLMの香りをお書添えの上、奮ってご応募ください!
〆切:2023年12月10日(日) 終了しました。ご応募ありがとうございました。

※当選は景品の発送をもって発表に代えさせていただきます。
※当選者には、LPTより個別に連絡いたしますので、コメント時メールアドレスのご記入をお願いいたします。メールアドレスのご記入がないと、発送先の確認メールを送付できないので、残念ですが正解でも対象外とさせていただきます。(クイズ解答時にメールアドレスの記載を忘れた場合は、別途コメント欄にてご連絡いただければ大丈夫です👌)

【クイズ正解:2023年現在の各ブランド専属調香師】
①キャロン:ジャン・ジャック
②ゲラン:ティエリー・ワッサー、デルフィーヌ・ジェルク
(どちらか、または両方でも正解)
③ディオール:フランシス・クルジャン
④エルメス:クリスティーヌ・ナジェル

🎁今回は、全問正解者が4名と正解率は低かったのですが、せっかくご応募いただきましたので、不正解者の皆様も、チャーム増産で繰上げ当選にいたしました。

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