立ち上がり：ラムレーズンアイスみたいな香りが強烈。甘いー 男には合わないような気も、NIRVANAだが「SMELLS LIKE TEEN SPIRITS」という感じからは百万光年離れてる
甘さが大分落ち着いてスミレにような落ち着いた香りが前面に、これならいいかな。
15時位：白檀みたいな香りになってきました。香りの印象が刻々と変わっていきます
夕方：最初の印象からは考えられないくらい落ち着いた香りで終了
ポラロイドに映ったのは：最初はナヨナヨした奴と思いきや、実は初老の紳士を思わせる落ち着いた知人。しかし、あまりに取っつきどころが無くて話しかける話題が見つからない。いつも穏やかに笑っているが目は笑っていない・・・
Tanu's Tip :
サンダルウッド特集、続いてはアフォーダブル系からご紹介します。双子の子役からファッションデザイナーに転向し、赤ん坊時代から稼ぎまくっているオルセン姉妹が、2007年に立ち上げたファッションブランド、エリザベス＆ジェイムズのフレグランスライン、ニルヴァーナシリーズのニルヴァーナ・ブラックは、調香にアムアージュの近作（イミテーション・フォー・ウーマンやライブラリー・コレクションVII、VIIIなど）やE・ゼニアのエッセンツェシリーズなどを手掛けたフィルメニッヒのピエール・ネグランを起用し、オードパルファムの他にパフュームオイルやドライシャンプーなどトイレタリー展開も行われた代表作で、2018年にハイエンドブランドのディフュージョンラインを多く抱えるアメリカのデパート、コールズのプライベートブランドとして集約されて後、ニルヴァーナシリーズも終了しましたが、デッドストックがまだまだ普通に流通しており、NHKでも放映されたテレビドラマに出演していたオルセン姉妹のネームバリューも手伝ってか、国内ECモールの香水店でもよく見かけます。
香りとしては、パッケージに「サンダルウッド、バイオレット、バニラ」とご丁寧にキーノートが書かれている通り、バニラで親近感をまし、バイオレットでクラシックなパウダリー感を演出した（ただしこの演出はあまり効いていない）ちょっとレザリーなサンダルウッド、まあその通りです。人によってはバイオレットとサンダルウッドが前面に出て甘さが引っ込み材木レザー感が増長したり、バニラが前に出過ぎてただの薄甘いスキンセントに変わったりと、割とつける人によって差があるみたいですが、共通するのは香り立ちの弱さ。特に生地貫通力に乏しいのが寒い時期には物足りなさを半端なく感じます。成仏して涅槃に行くには後背が弱すぎる、そんな木彫仏のようです。私が実装した時、７プッシュしたはずなのに、確かにスプレーした部位に鼻を近づけると、微かにサンダルウッド＋バイオレット＋バニラ＋何かの香りはするんだけど、着衣の状態だとほぼ何も香って来ないので「コロナウイルス感染による嗅覚の損失」を疑い、恐る恐るジェントルマンに聞くと「ああ、ニルヴァーナ・ブラックは弱いよね〜」服を着るとさっぱりわからなかった、と言うので、もしこの香りを満喫したいなら、薄着になって肌に風が通るのが心地よい季節になるまで待つか、肌には乗せず、思い切りムエットにスプレーして胸ポケットにでも入れた方が良さそうです。
甘さは控えめでローファット、「黒い涅槃」と言う程の迫力は微塵もありませんし、そもそもニルヴァーナだのブラックだの、マーケティングで拾ったようなストロングワードが出てきたり、ブランド名であるエリザベス＆ジェイムズも、オルセン姉妹の実姉弟の名前をくっつけたとはいえ、人物の名前を＆で繋ぐのもここ10年くらいの流行だったので、その辺もブランディング先行で作ったのが伝わってくる作品ではありますが、薄さが怪我の功名で案外気軽につけやすいサンダルウッド、と好意的に解釈したいと思います。
ポラロイドに映ったのは、私には心当たりのない、ジェントルマンの知人。脳内知人かも知れませんが、確かに目は笑っていない、アルカイックスマイルも浮かべていない、男性といえば男性、女性といえば女性。もちろんカート・コバーンではありません。私やジェントルマンと同い年で同じ2月生まれのカート・コバーンが1994年4月5日に亡くなって、今年で27回忌。来週の日曜は祥月命日です。ニルヴァーナ・ブラックはティーンエイジ・スピリッツの香りはしないけれど、社会現象にまでなり、結果彼の身を滅ぼしてしまった大ヒット曲のPVを観て、カートの冥福を祈りたいと思います。って、何の話だったっけ？
