La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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French Can Can(1936)

1936年発売、エルネスト・ダルトロフ作の濃厚でパウダリックなフローラル
シプレ。ベロージアのアメリカでの大ヒットから、アメリカ向けに企画されました。
名前の通り、ペチコートの中からピンクの粉を撒き散らすかのような躍動感に
あふれた香りです。
どことなく装飾過多な懐かしさに、ムーランルージュの煌きを感じます。
結構香り立ちが高いのでつけすぎにご注意を。残念ながら昨夏パルファン・
フォンテーヌのラインナップからなくなり、程なくイギリスの通販などで
入手が容易だったEDPも廃盤となりました。

以前オークションで取り扱っていた際、キャロンのファンではなく、方々で
「フレンチカンカン」という名前の香水を探している、という落札者様が
いらっしゃって、小分けをしたところ、まさしく彼女が10数年捜し求めた
香りだったとの事。なんでも、彼女が若い頃、ディズニーランドのダイヤモンド
ホースシューの名物、フレンチカンカンが大好きで、当時はダンサーがドレスの
スカートを客にばふっとかぶせたり、結構な演出だったそうで、その際にふわっと
香った香りが忘れられなかったそうです。そこで彼女は、ディズニーランドの
スタッフに訪ねたり、ダンサーさんに手紙を書いたりしましたが、ダンサーさんには
「香水はつけてない」との返事がきたり苦戦、その後方々で僅かな情報を
頼りに調べ続け、10数年後「フレンチカンカンという香水がある」という所まで
あたりをつけたのですが、当然日本では手に入らないので、地道にネットで
探したら、私の出品を見つけた、とのことでした。
小分けの香りはまさしくダイヤモンドホースシューで香った、懐かしい
パウダリックな香りで、既にパルファムは廃盤だったので、EDPの取寄せを
ご希望くださり、お届けしました。その直後にEDPも廃盤となったのですが
フレンチカンカンを求めて人生の半分近い時を費やした彼女にラストチャンスの
架け橋を渡せた事は、私にとっても良き思い出となりました。


【パルファン・フォンテーヌについて】

キャロンが1903年の創業より発売し、一般流通を終了した名香を含む
全12種類の大変希少なパルファム(香りによってはEDPもあり)を、
キャロンブティックにてバカラグラスのフォンテーヌからクリスタルボトルに
手詰め、量り売りしています。
ボトルのサイズは7.5ml、15ml、25mlと手ごろなサイズから大容量まで各種選べ、
特に小サイズのフラコンは手詰め後金の針金で封をしていただきます。

<現行アイテム>

・ネイメクモア(1916) P,EDP
・タバブロン(1919) P,EDP
・ナルシスブラン(1922)P
・ポワドサンチュール(1927)P
・アカシオサ(1929)P
・アナヴィオン(1932)P
・アルポーナ(1939)P
・ファルネシアーナ(1947)P, EDP
・ローズ(1949)P, EDP
・オルエノアール(1949)P
・ポワーブル(1954)P
・チュベローズ(2003)P

<廃盤>

※フレンチカンカン(1936)P,EDP
※クードフエ(1957)EDT
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