去る2020年4月4日、東京都に緊急事態宣言が発令される直前の夕方配信したLPTのインスタグラムライブ、LPTVにてLPT初登場にも関わらず、大反響だったアルゼンチンのニューブランド、フラッサイ。5年後、10年後も読み返す価値のあるブログを目指すLPTとして、きちんと特集という形にして残したいー久しぶりにその想いに駆り立てられたブランドが登場しました。その流麗な熱量を持った繊細な香りは、どこから生まれるのか。オーナーのナタリア・オウテダさんが、日本よりも早く本格的な外出自粛が始まり、不自由な生活を強いられている中で、インタビューに応じてくださいました。
ーはじめまして、昨年La Cour des Parfumsのリアンヌ・ティオさんに教えていただいて、すっかりフラッサイのファンになりました。ジュエリーデザイナーご出身とのことですが、現在のお仕事は、ジュエリーと香水ブランドのどちらに比重を置かれているのですか。
ナタリア ジュエリーに携わるずっと前から、香水業界にはいたのよ。
ーあ、そうだったんですね。フラグランティカにはジュエリーブランドに括られていたものですから。失礼しました。
ナタリア ニューヨークに住んでいた頃、長い間香水会社に勤めていたの。世界展開をしているブランドの商品開発をしながら、香りのエキスパート達から香水作りというものを学んできたわ。独立する直前まで、ロレアルに勤めていたんだけれど、ラルフローレンのポロ・レッドとビッグ・ポニー4をオリヴィエ・ギロタンと、キールのオレンジフラワー&ライチをヤン・ヴァスニエと共同制作したの。ちなみにオリヴィエはティアン・ディを、ヤンはブロンディーヌを手掛けてくれた調香師よ(注:ラルフローレンは香水部門をロレアルに委託。1851年創業のキールは、2000年ロレアルが買収)。
ー素人は、とかく香水というとブランド、またはブランドディレクターと調香師が作るもの、と近視眼的に考えますが、香水に限らず商品企画には表に出ない沢山の方が関わっていますよね。メインストリーム系ブランドなら尚更縁の下の力持ちが活躍しているということですね。
ナタリア ロレアルを退社して故郷のブエノスアイレスに戻ったんだけれど、そこでジュエリーをやってみることにしたの。香水を入れる小瓶でペンダントを作りたくって。それが2013年、フラッサイの始まり。
ー面白い順序ですね、香水瓶のペンダントをデザインしたから、その次に入れる香水を作ろう、と。なるほど、だからフラグランティカではNY時代のキャリアをすっ飛ばしてジュエリーブランド扱いになってしまった、というわけですね。それでは、本題に入りまして、フラッサイの香りについてお伺いします。現在の作品をすべて試香させていただきましたが、非常に丁寧な作りで、奥行きがあり、フラッサイの香りは先進性というよりは普遍性に重心があり、どれも「控えめながら、うちに激しい情熱を秘めた美しい女性」のようでした。過去作で言うと、初期のアニック・グタール作品や、所々戦前のクラシック香水にも通じるふくよかさも感じます。そのため、個人的は、リニアで軽い香りに慣れた若い世代や、ニッチ香水ファンにありがちな、珍獣探しに熱を上げる層にはアピールしづらいと思うのですが、ご自身としてはどのような層に楽しんでいただきたいですか。少なくとも経験豊富なLPT読者にはジャストミートだと思います。
ナタリア 私は、いつも自分の直感で行動しているので、フラッサイの香りはおのおの成り立ちが違うのよ。私は香りのストーリー作りが本当に好きなの。秘密がひとつひとつ明かされるように、肌の上でどんどん香り立ちが変わり、様々な表情を見せるようにね。だからいつもタッグを組むそれぞれの調香師の強みを生かして作っているわ。どの調香師も得意な香料や香調があるから、作品のコンセプトと彼らの腕がなるようなマッチングを考えるのが大事よね。
ーそれは、長らく調香師に近いところで活躍されてきたナタリアさんならではの強みですね。単なるコンセプトメーカーというだけでなく、頼む方の「手癖」まで理解して調香師を選べるブランドオーナーは、あまりいないのではないでしょうか。
ナタリア それに、半ば飽和状態のこの業界では新参者のフラッサイにとって、品質とクラフトマンシップにこだわるのは大切な事よ。私の歩んできた道程が反映する、非常に個人的な感覚が生み出す香りの美学というものを常に振り返るようにしているわ。
ーフラッサイの作品はどれも素敵ですが、創業から一番の売れ筋を教えてください。私はティアン・ディが一番のお気に入りです。
ナタリア ティアン・ディは私も大好きよ。中国語で「天地」を意味するティアン・ディは陰と陽、収縮と拡張から生まれた香りよ。私がやっている太極拳と、崑崙山脈に伝わる道教の伝説に登場する、3000年に一度だけ花が咲き実をつけるという、不滅の桃の木にインスパイアされて作ったの。
ーす、すごいコンセプトですね。確かにティアン・ディのキーノートはピーチですが、そこまで深淵な思いが込められていたとは。
ナタリア この香りは、暖かさと冷たさ、アイリスとスパイス、心を鎮める木々の香りのコントラストでできているの。すごく特別な感じだけど、エレガントで季節を選ばないわ。そこに決め手のちょっと美味しそうなピーチがアーシーなインセンスとウッドのコントラストも重なっているのよ。
ー香りの雰囲気は、さすが作者の解説だけあって全くその通りですね。
ナタリア はっきりと言い切るのは難しいけれど、フラッサイで一番人気があるのはブロンディーヌ、その次がティセンドゥ、鼻の差でア・フエゴ・レントが三番人気、というところかしら。ブロンディーヌは、フランスのお伽話にインスパイアされたフローラル・オリエンタルよ。官能的でムスクの効いたクリーミィなフローラルで、包み込むように心地よく香るの。ティセンドゥはウッディレザーだけど温かくて寛げるおいしい香りで、私の祖母が焼いてくれたブラック・ウェルシュ・ケーキ(トルタ・ガレサ)にインスパイアされて作ったんだけれど、このケーキのレシピは、かつてポルト・マドリンに辿り着いたウェールズ移民がパタゴニアに伝えたものなのよ。
ーアルゼンチンに、ウェールズの人々移住した歴史はフラッサイを通じて初めて知りました。ブラック・ウェルシュ・ケーキのレシピを探しましたが、黒糖でコクを出した、ラム酒漬けのドライフルーツたっぷりの焼き菓子なんですね。ティセンドゥ、本当に神経のゆるむおいしい香りですが、グルマンというよりは、体が欲しがる安心感の甘さですよね。ところでアルゼンチン発の女性オーナーによる香水ブランドとのことですが、ブランド起業に当たり、一番苦労した事は何ですか。
ナタリア ブエノスアイレスとニューヨークを行ったり来たりしながら活動するというのは、時に困難も伴うけれど、ブエノスアイレスに住みながら、とても楽しくコンセプトや香り作りをしているわ。アルゼンチンでは、ニッチ・フレグランスはまだまだ海のものとも山のものともつかないアーティスティックなもの、と思われていて、理解してもらうのに一から説明しないとならないのよね。こっちでは、香水は免税店かドラッグストアで買うもの、と思われているから。私は、地元の人が今使っっているものの代わりに普通に手に取れる、斬新で素晴らしい品質の作品を作っていきたいの。アルゼンチンのマーケットは、アメリカやヨーロッパと比べたら、とても小さいから。
ーニッチ香水、それって食えんのか的反応は、ブランド信仰の強い日本も大した差はないと思うので、お気持ちはよくわかります。5年後10年後、アルゼンチンの人なら誰でも知ってる身近なブランドになれますように。ところで、香料会社のエヴァリュエーターをされていたとのことですが、ご自身も調香学校ご出身なのですか。またご家族の方に香水業界出身の方はいらっしゃいますか。
ナタリア 私は香水業界の家庭出身ではないし、調香学校にも行っていないから、自分を調香師だとは言えないわね。
ー独学のオーナー調香師がやってるブランドなんて掃いて捨てるほどあるし、ちょっと香料に詳しいだけで調香師気取りの人間も多いのに、香料会社に勤めた上、独学で調香を理解していながら、学校で履修していないから調香師を名乗れない、とは随分謙虚ですね。
ナタリア 私が調香を勉強し始めたのは、香水業界に入ってからー2005年、クエスト・インターナショナルに入社してからよ。クエストは、のちにジボダンに買収されてしまうんだけれど、当時のクエストにはこの業界で才能と経験がどちらも備わった、最高峰の調香師が揃い踏みだったの。私はクエストで、どんな作品も努力と情熱の賜物で産まれることを学んだわ。私の最初の仕事は、当時急成長していたバス&ボディワークス部門での製作で、それはもうすごい量のボディローションやシャワージェルの濁流に飲み込まれなら働いたわ。そこでの経験が、調香技術の理解と更なる嗅覚を磨く良き砥石になってくれた。
ーおお。アメリカのおうちには必ずあるバス&ボディワークスで原石、磨きはじめってわけですね。
ナタリア 2007年、ジボダンに移って、エヴァリュエーターになったの。そこで仕事内容がより調香師寄りになったんだけど、どの調香師からも必ず学ぶ事が沢山あったし、自分でも独学で一生懸命調香を勉強したわ。現場で学ぶというのは時に怖い場面もあるけれど、満足度も高いのよね。だって作品作りに没頭できるし、直接クライアントとやりとりしながら成長できるんですもの。
ーなにごとも実弾演習ありき!現場で覚える、大いに賛同します!調香師と言えば、現在5作品を発表されていますが、これまでオリヴィエ・ギロタンやヤン・ヴァスニエなど、ジボダンの経験豊富なパフューマーに依頼していましたが、新作ティセンドゥで初めて比較的若手の調香師、ロクサーヌ・カークパトリックに依頼しています。大御所と制作するのと若手とでは、コンセプトの疎通に違いはありますか。
ナタリア 今まで依頼してきた調香師は、ジボダンのエヴァリュエーター時代に共同制作をして、一番腕の分かっていて、かつ現在ニューヨーク在住の方に依頼した、と言うのが答えになるかしらね。キャリアの長短ではなく、私のコンセプトを理解してくれる方は誰か、が大事ね。あと永く香水業界にいて、一緒に働いてきた人達だから、人柄もよく知っているのも強みよね。私たちは、香料についても熟知しているから、天然香料や高品質の原料を自由なアイデアで取り入れる事ができるのは、アドバンテージが大きいと思うわ。
ーディレクターと調香師のタッグ、というと、とかくディレクター、および調香師のキャラ立ちが目につきますが、ナタリアさんの場合、少なくとも日本の香水ファンからしたら、ダークホース的存在ですよね。こんなに凄いキャリアからブランドを興して、バックには長年の付き合いがある入魂の調香師に頼み放題。しかも相手をよく知っているから、調香師も原料一つ手を抜けない。なるほど、フラッサイの作品はどれも完成度の高さと素材の良さが感じ取れる訳です。
ナタリア フラッサイは、アルゼンチン初の女性オーナーによる香水ブランドなの。そしてティセンドゥは私の祖母という、ひとりの女性のストーリーから生まれたので、女性調香師に依頼するというのは大事な鍵だったの。しかも、キーワードであるブラック・ケーキがどんな香りか、先入観なしに飛び込んでくれる開けた女性でなくてはならなかった。実際彼女は素晴らしい腕を見せてくれたし、ロクサーヌはベストセラー香水の陰には、名前こそ表には出ないけれど、情熱と創造性に満ち、技術的知識も豊富な若い調香師が、黙々とスターパフューマーの元で働いているのだ、という好事例のような人よ。作品作りはチームワーク、いかにクリエイティヴなディレクションを双方向でできるか、が一番大事よね。
ーかのゲランも、かつては沢山の女性調香師が腕をふるいながらもすべて歴代のゲラン家の作品として、ゴースト処方を行っていましたが、今やその方々が独立、またはハイブランドの専属調香師に就任するなど、ようやく正当に評価され始めました。さて今後は、ジボダンの他の若手調香師、または他社や独立系の調香師とコラボレーションする予定はありますか。
ナタリア 現在、マーネ(MANE)とコラボレーションしていて、年末には公開したいと思っています。ここ数ヶ月で、フラッサイの次なる旅を皆さんとシェアできたら嬉しいわ。ブランドができてまだ2年だけれど、これからもっと冒険できるなって感じているのよ。
ーフラッサイは絶賛現在進行形、可能性は未知数というところですね。今後がすごく楽しみですし、ぜひLPTでもフォローアップさせてください。ナタリアさん、これは作品とは直接関係のない話ですが、世界的に香水の国際発送は厳しくなる一方で、ほとんどの香水ブランドや香水店は日本に向けて危険物扱いの香水を発送してくれないのですが、フラッサイはフルボトルなら送料無料、サンプルでも非常に良心的な送料で日本発送対応してくれていて、感謝しています。これは、どのような企業努力をされているのですか。
ナタリア 日本へ自分のフレグランスを紹介できて、すごくワクワクするわ。私はフラッサイの製品を、世界中どこからでも手に取っていただけるように努力しているの。そこにフラッサイを試したい、という方がいるなら、香水が禁止品でない限りどの国へも喜んでお届けしたい。そんな思いからフルボトルの送料は無料にしたのよ。そしてまだアジアへの扉が開かれていないから、直接お客様にお届けできる手段は大事ね。
ーナタリアさんの思い一発で、世界送料無料!究極の企業努力ですね。まだアジアへの扉が開かれていない…確かに現在、フラッサイはまだ日本に代理店がありませんが、日本からのアプローチはありますか?また個人的に訪ねたことのある場所や、行ってみたい場所はありますか。コロナウイルス感染症問題が収束してから、の話になりますが。
ナタリア 私ね、日本が大々大好きなの!文化も、国民性も、そして人々も。まだ行った事はないけど、勿論訪問リストの筆頭に入っているわ。多分、2021年には仕切り直しで世界へ旅ができるでしょうね。さっきも言った通り、まだアジアへの扉が開かれていない、つまり日本を含むアジア全域にフラッサイは未踏なんだけれど、是非アジアでも展開したいわね。
ーNetflixで世界配信された、テラスハウスの大ファンだそうですね。結構あの番組で日本贔屓に拍車がかかったという話をよく聞きます。先日の、LPTコンフィデンシャルセールのリアクションを見ても、日本未上陸ブランドとしては最も売れたのがフラッサイだったので、凄いポテンシャルではないでしょうか。そう言えばアルゼンチンの香水ブランドというと、日本ではフエギア1833(2010年創業)が一部のメゾンフレグランス愛好者に絶大な人気を誇りますが、同じブエノスアイレスのニッチブランドとして、フエギア1833はご存じですか。ご存じの場合、ブランドとは交流はありますか。
ナタリア まだニューヨークに住んでいた頃、彼らは2010年ブエノスアイレスにオープンして、ストアに行った事があるわ。面白そうなコンセプトのブランドね。
ーナタリアさんが初めて使った香水を教えていただけますか。
ナタリア プレゼントしてもらったクリスタル(シャネル)が私のファーストフレグランス。その後自分で買った初めての香水はイザティス(ジバンシィ)よ。
ーおっ、だいぶ路線が違う2作ですね。それでは、好きなクラシック香水やブランドがあったら教えて下さい。
ナタリア シャネル19番、クリスタル、シャリマー、マスト・ドゥ・カルティエ、他にも沢山あるわ。最近の作品だと、マルタン・マルジェラのアンタイトルドと、プラダのインフュージョン・ディリスが大好きなの。
ー最後に、香水以外に何か最近ハマっていることがあったら教えて下さい。
ナタリア 外出自粛で自宅から中々出られない今、いかにこの状態を健やかに生きるか、かしら。家で気功や読書をしたり、今まで時間がなくてできなかった事を色々やっているわ。
ー今日は、沢山貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。まだまだコロナウイルスの猛威は続いていますが、ぜひナタリアさんもお元気で、いつか必ずブランドと共に日本に来てくださいね!
フラッサイ 公式ウェブサイト https://www.frassai.com
公式オンラインストアではUS$100以上で送料無料
※2020年5月1日〜10日、LPTコンフィデンシャルセールにフラッサイ再登場!しかも前回のセールと同じく、公式価格改定前の特価&送料無料で登場します。
次回、フラッサイ現行作品の全点踏破レビューをお届け。本日のナタリアさんご本人解説と合わせてお楽しみください!
Original interview text in English (excerpt)
1. The official bio tells us that you are also a jewelry designer alongside the owner of FRASSAÏ, a niche perfume house. Which is your main activity these days ?
Natalia Before jewelry came fragrance. I worked in a fragrance house while I lived in New York City. I spent many years learning the craft of perfumery from experts and developing creative ideas for global brands. The last account I worked on was L’Oreal. I was part of the creation of Ralph Lauren Polo Red and Ralph Lauren Big Pony 4 by Olivier Gillotin (Tian Di) and Kiehl’s Orange Flower & Lychee from Yann Vasnier (Blondine).
Upon returning to Buenos Aires in 2012, I decided to experiment with jewelry. I wanted to create a fragrance flacon necklace to carry perfume.That is how FRASSAI was born in 2013.
2. I have tried the whole creations of FRASSAÏ and already bought 4 bottles from the official webstore for myself. I realised all creation is skillfully well crafted with deep and rich harmony, very authentic and timeless, rather than modern and edgy. They are like a lady who is understated and thoughtful yet very passionate inside. They remind me of early creations by late Annick Goutal in the 80's, also remind me a bit of vintage perfumes in 1930s such as Je Reviens by Worth , Joy of Jean Patou, Caron (maybe thanks to carnal Jasmine note). Having said that, I would say FRASSAÏ might not appeal to young generation who used to light and linear scents or people who only searching for something with strong personality. What type of people do you want to enjoy your perfumes ? At least LPT readers definitely love FRASSAÏ for sure !
Natalia I normally follow my intuition and each fragrance is a different experience. I really like to tell a story so many of these fragrances display many facets and unveil secrets as they evolve on skin. For each of the fragrances I I played with the strength of the perfumer that I collaborated with. Each nose has a signature or olfactive theme they enjoy more, so that was important when deciding who to work with.
Also, as a newcomer in an overcrowded market, it was important for me to focus on quality and craftsmanship, always maintaining a sense of olfactive aesthetics that is very personal and reflects my journey.
3. What is the best selling FRASSAÏ perfume ? I love Tian Di best, of course I am quite hard to choose the only one from your creations because all of them smells divine !
Natalia Tian Di (Heaven and Earth) is one of my favorites too. It’s the idea of balancing yin and yang, contraction and expansion. It was inspired by my practice of internal martial arts and the peach tree of immortality in Mount Kunlun, which according to a Taoist legend blooms and bears fruit every 3000 years. This fragrance has a contrast of warmth and cool with notes of iris, spices and calming woods. It is quite special and I find it that it’s elegant and seasonless. The peach elixir allows for a slightly sweet mouthwatering piece that contrasts with the earthiness of the incense and woods.
The ones that are most popular are Blondine and Teisenddu, and A Fuego Lento is a close third. It really varies, so it’s hard to tell.
Blondine, a beautiful floral oriental inspired by a French fairy tale. It has a sensual creamy floralcy with musks that is enveloping and very pleasant. Teisenddu is warm, comforting, delicious yet leather and woody. It was inspired by the black welsh cake (torta galesa) that my grandmother baked, a recipe that was brought to Patagonia Argentina by the Welsh settlers who arrived in Porth Madryn.
4. What was the hardest thing for you to establish FRASSAÏ, as FRASSAÏ is the first woman-owned niche fragrance house from Argentina ?
Natalia Working between Buenos Aires and New York is challenging sometimes but I truly enjoy developing my concepts and fragrances from here.
In Argentina niche perfumery is a new concept and as anything that is artisanal and new, you have to explain it a bit more, as locally most consumers buy their fragrance at the duty free or in pharmacies.
My desire was to create something fresh, of exceptional quality, and that would offer locals an alternative to what they find here. The market is still very small compared to the U.S. and Europe.
5. I have heard you used to be an evaluator at a perfume ingredients company. Have you ever studied at a perfumer school ? Are you from a family involving in perfume industry (perfumers, chemists, ingredient companies) ?
Natalia I do not come from a fragrance background and I did not go to perfumery school, so I do not call myself a perfumer. I started learning about fragrances when I began working in the industry, at Quest International New York in 2005, which was later acquired by Givaudan. At Quest I encountered some of the most talented and knowledgeable people in this industry. I learned about the work that goes behind each creation and the passion necessary to carry it through. My first steps were in the fast-growing Bath & Body Works account. I was surrounded by an overwhelming amount of scented lotions and shower gels. It was an incredible learning experience which allowed me to connect further with my own sense of smell as well as understand the technicalities of fragrance.
When we moved to Givaudan’s office in 2007 I started working in evaluation, much closer to perfumers and I learned from each and every one of them plus I did a lot of self-study. I think learning on the job is scary sometimes but very complete because you are immersed in the creation and dealing directly with clients.
6. Why have you collaborted with experienced perfumers in Givaudan and firstly collaborated with Roxanne Kirkpatrick, a jenior perfumer of them for Teisenddu ? Do you need to change your way of collaboration between senior and young perfumers ? Do you have any plan to collaborate other Givaudan perfumers or independent perfumers in future ?
Natalia Perhaps I collaborated with the perfumers I knew best from my work as an evaluator, and also the ones that still remained in New York. Regardless of their seniority, I look for the person who can best carry out my vision. I was also very lucky because I had been working with these noses for many years, so knowing them personally gave me an advantage. We used a lot of naturals and high quality ingredients and had total freedom to share ideas.
Frassaï is the first woman-owned perfume house from Argentina, and Teisenddu is the story of a woman, my grandmother, it was important for me to work with a woman and also with someone who would be very open, without preconceived ideas of what this black cake would smell like. She did an incredible job and knowing that a young perfumer is behind one of the best-selling fragrances exemplifies that it’s about passion and creativity as well as technical knowledge. The importance of teamwork, creative direction and collaboration that are necessary.
I am currently working with Mane on a new collection which I hope to unveil by the end of year. I hope to share more about this new journey for FRASSAI in the next few months. Now that the brand is 2 years old, I find I can play a little more and I will be doing things that are a bit different.
7. FRASSAÏ ships the whole products including perfumes worldwide including Japan, while most of perfume houses and perfume stores around the world exclude Japan as their countries to ship. Plus FRASSAÏ charges no shipping fee for sending eau de parfum bottles to Japan. Why FRASSAÏ do ship perfume to Japan while others don't ? Your service is absolutely fantastic and encourage Japanese perfume fans.
Natalia I am excited to be able to offer my fragrances to Japan. I try to make the products available in all countries, unless there are local restrictions, I am delighted to offer my fragrances if customers want to try them. This is why I made the decision to offer free shipping. As I do not have doors in Asia, it is important for me to reach customers directly.
8. FRASSAÏ has not ever launched in Japan yet so far. Have you ever been contacted with Japanese distributors or journalists to inroduce / launch FRASSAÏ in Japan ? Have you ever been to Japan personally, or where do you fancy to visit if you got a chance to come over to Japan ? I would recommend you not to visit now though, wait until the virus is gone !
Natalia I absolutely love Japan, its culture, customs and people. I have not had the opportunity to visit but it’s definitely on my list. Perhaps 2021 will bring a renewed sense of travel in the world.
As of yet, I have not discussed distribution with anyone in Japan or in Asia, but I would be delighted to enter the market.
9. Have you heard about Fueguia who is also from Buenos Aires, established in 2010 ? They have been quite popular among some specific niche perfume fans in Japan lately. In my eyes, they seem to be sort of 'BIG IN JAPAN' brand, honestly speaking as none of my fragrant friends in Europe knows them.
Natalia I have heard of them and visited the store in Buenos Aires when they opened in 2010 and I still lived in New York. They seem to have an interesting concept.
10. What was your first perfume to buy yourself, or someone gave you ?
Natalia I would say the first memorable perfume was Cristalle (gifted) and Ysatis (purchased by me).
11. La Parfumerie Tanu is a perfume blog introducing classic and modern classic (would-be classic in future) perfumes since 2010. Would you recommend your favourite / respected classic perfumes for us ?
Natalia Chanel 19, Cristalle, Shalimar, Must de Cartier. There are many. From modern perfumes, I really enjoy Martin Margiela Untitled and Prada Infusion d’Iris.
12. What are you into these days, except creating perfumes ?
Natalia I’m focused on well-being while we remain home due to the quarantine. I practice qigong and have been doing some reading and catching up on all those things we never have time to do!
Special thanks to : Natalia Outeda, Frassai