A gentleman takes Polaroids chapter eleven : Gentleman in mainstream
立ち上がり:最初は「おっ!さっぱりとして良い感じ」と思ったが、すぐ後に80年代季節スポーツ系サークル大学生がつけるような香りになって辟易。
昼:まるで自分がエリ立てたポロシャツ着て腰にサマーセーター巻いてる気分だ
15時位:むー きつい安っぽい。でも30年前こんな香り良くかいでいたような記憶が。
夕方:懐かしい香りでした。懐かしいけど楽しくない記憶を思い出すね。
ポラロイドに映ったのは:わたせせいぞうの漫画を八王子郊外の学食で読んで楽しそうにしてる連中。
Tanu's Tip :
1988年の日本といえば、昭和末期、バブル真っ盛り。そしてその頃大流行していて、いわば時代の顔ともいえる画風で一世を風靡した漫画といえば、ハートカクテル。あの漫画に出てくるこざっぱりとカッコいい男、それに寄り添うオシャレな女、いい車、素敵な街並み、素敵なディナー、ネオンの煌めき…どれひとつ、私の青春にはなかった風景です。たぶんジェントルマンも似たり寄ったりでしょう。彼はハートカクテル全盛期の時代、六大学の郊外校舎に通いながら都心にある本校で音楽サークルに参加し、指から流血しながらギターを爆奏していたような男です。
クールウォーター 75ml
このダビドフのクールウォーターもまた、それまでのメンズフレグランスの潮流を大鉈で水路変更し、重さと厚みを徹底的に排除し、かつ破壊力を増した「冷水」の名の如く「薄くて、軽くて、きつい」アロマティック・マリンフレッシュ系という新ジャンルを確立した、いかにも80年-90年的な香りですが、私の世界には存在しなかった香りです。発売後無数のフォロワーが出て、世の中の男は一時みんなこの手の香りをしており、そこにスポーツフレグランス的なジャンルが合流してきたため、男性用香水に対しすっかり食わず嫌いになりました。そして今、齢50にして失われた時を取り戻すべく、それではならぬと必死にメンズフレグランスのレビューを書き続けているのですが、とにかくクールウォーターは私にとってもジェントルマンの言う「懐かしいけど楽しくない」の一言に尽きます。
調香師とは、もちろんブランドの依頼でイメージ通りの香りを作る職人ですが、これとルタンスのフェミニテデュボワとか、マルちゃんのイリスプードルなどが同じ調香師、ピエール・ブルドン作というのが、ある意味すごい腕というか、ジャンル問わず依頼主の予算と意のまま、何でもできるから名調香師たる所以なんだなあと納得します。お好きな香りだったら申し訳ありません。
ボトルはとても端正ですね このガラスの色と脇のカットが美しい