La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Paco Rabanne pour homme (1973)

立ち上がり:緑香る感じだが背後に甘い香りが潜んでる。これも少し前の時代の香りがするがCool Waterのような「?」な感じにはならない
 
昼:甘い香りがやや全面に出てきました。ウッディーな感じも全面に
 
15時位:昼の印象のまま落ち着いてきました
 
夕方:かなり落ちついた大人な感じの香りで微かに甘さよりウッディーな感じが強くなっています。これなら今でもOKかな?
 
ポラロイドに映ったのは:湿気の少ない季節にサファリジャケット着て顎鬚生やした男が石神井川沿いを散策してる
 
Tanu's Tip :
 
1969年、カランドルを引っ提げ香水界に登場したクチュリエ、パコ・ラバンヌ。その後80年代後半までは、非常に先進的でスタイリッシュな香りを出す、いわば「とんがった」イメージがありましたが、いつしかチャラいモデルにエロい恰好をさせ、微妙にチンピラっぽいコンセプトで大衆香水をリードしてゆくメインストリームブランドへとシフトしていきました。アーティスティックとか高級感とか、そういう路線は決してメインストリームでの成功をつかみ取る必須条件ではない事を証明しています。個人的には、デパートなどで誰でも買える大衆香水の中にも、適正価格で使い心地のよい製品はきちんと探すことができますし、昨今のニッチ系とメインストリーム系の香水を比べて、価格帯の乖離はクオリティの乖離と必ずしも比例していないし、むしろメゾンフレグランスの価格設定のほうが「図に乗りすぎ」という気がしないでもないです。何度も言いますが、適正価格、適正品質、適正容量でお願いします。ちなみにパコラバンヌのフレグランス部門は、立上げ当初から現在に至るまで、スペインの大手代理店、プッチが親会社であり、プッチ自身もパコラバンヌの成功を契機に、スペインのドメスティックな化粧品会社から、数多くのインターナショナルブランドを抱える世界企業へと飛躍する、大いなるカギを握ったとも言えます。
 
話が大幅にそれましたが、パコラバンヌ初のメンズフレグランス、プールオムは、フローラルシプレの逸品、オリジナル版アザロ(1975)や、ジュールス(1980、ディオール)を手掛けたジャン・マーテルで、19世紀に登場したフジェール・ロワイヤルに始まるフゼア系ジャンルの、ラベンダーやハーブ類の部分を増し増しにして、よりアロマ効果の高いブレンドに仕上げたアロマティック・フジェールのはしりになりますが、ジェントルマンのいう「緑香る感じ」というのは、手折ったようなグリーンにラベンダーやセージ、ローズマリーの詰まった胸糞もスッキリなまさにハーバル・アロマティックのトップノートを5文字で的確に表現しており、そこからウッディーモッシーなフゼア系のジオッサンな胸板がもんわりと顔を出し、シャツの胸元からチリチリした胸毛が見え隠れします。ちょっとこのアロマティックな部分に、のちのクールウォーターのような路線の橋渡しをした功罪も感じますが、きちんとムスク、きちんとウッディ、甘過ぎないアロマ、ちゃんとモッシーなこのシヴいオッサンテイストは、21世紀のお若い方には少々重たいかもしれませんが、この世は現在のパコラバンヌが起用する胸をはだけてタトゥ上等みたいな若い男のためだけにあるわけではなく、この位40余年の時を経た、落ち着きのある男の香りが必要な世代も生きているし、若くてもこの魅力がわかる、または似合う「いい男」もまだまだいる気がします。日本では終売したものの並行輸入品で入手可能ですし、世界的に見てパコラバンヌ・プールオムが普通に(欧米では)デパートの定番香水として生き残ってくれているのは頼もしいです。
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