英国地方都市薬局特集
なぜ英国で、なぜ地方都市で、なぜ薬局の香水なのか
1. Why UK, why small town, why perfumes in chemists
小学生の頃、作文で家族の仕事について書く機会がありました。小学5年生だった私は、当時大学生だった長姉のバイトについて書くことにしました。なんと姉は当時都内百貨店に出店していた今はなきわかばの販売員として日々香水を売っていて、小学生ながら作文のネタ的には使えると判断したものの香水についてなんの知識もない私は、姉のバイトがデパートで外国の香水を売る仕事、というのは理解していても、どこの国の香水かまでは姉に聞くこともなく、なんの根拠もなく自然発生的に「私のお姉さんはイギリスの香水をデパートで売っています」と書き、後日姉に「あんた、バカじゃないの?!香水と言えば、フランスに決まってるでしょ!!」と木端微塵にされたのを今でも覚えています。香水と言えばフランスに決まっている、というのは、実際わかばではフランス製品がメインだったのは間違いないにしても、イギリスの香水を売っていると書いて大学生にバカ呼ばわりされるほど、果たしてイギリスの香水は世に問えない代物なのか?と、私はそちらの方に長らく疑問を抱いていました。
あれから約40年、奇しくも今こうして香水について駄文乱文を撒き散らすようになるとは想像もしていませんでしたが、主宰するこのblog、LPTではオーモンド・ジェインを始めロジャ・ダヴ、グロスミスなど、意外に自分がイギリスの香水を多く紹介している事に気づき、そして2009年、ヴィンテージ香水をひとつひとつ集めるうちに、オークションサイト・eBay UKに出品されていた香水が縁で出品者である老夫婦と知り合い、吸い寄せられるようにご夫婦の住む英国地方都市へと足を運ぶようになりました。あの時「イギリス」の「香水」と筆が滑ったのは偶然ではなく、確かに「イギリス」と「香水」に縁あっての事、と信じています。
よくあるイギリスの風光明媚な田舎風景、でも実は全部人が耕して作った風景なんだよね
木の椅子に座って温泉へ上げ下げする治療器具、バクストン温泉史料館
滞在中、ご夫婦は普段の買い物ついでに毎回バクストンへお連れくださるのですが、その際ひときわ目を引いたのが、鉄枠のガラス窓とマホガニーの薬棚に荘厳された140年続く老舗薬局でした。一方、高級スーパー・ウェイトローズや国民的デパート、マークス・アンド・スペンサーを始めとした大型店舗からディスカウントショップや眼鏡店などがコンパクトに収まったショッピング・センター、スプリング・ガーデンズ・センター(このスプリングは春ではなく泉の意)には、イギリスを代表する薬局チェーン、ブーツが入っています。日本と比べイギリスには香水専門店が多くありますが、バクストンにはなく、バクストンでまともな香水を買うなら調剤だけではなく一般品の品揃えも豊富な薬局(Chemist)へ行く事になります。時が止まったようなビクトリア朝薬局と大手チェーン薬局、どちらも香水を取り扱っているのは前回までの訪問で目視済でしたが、どんな香水をおいているのか、どんなものが売れ筋なのか、ロンドンくらいなら案外誰でも取材するだろうけれど、全くもってインターナショナルではない、単なる英国地方都市の薬局を取材するのは常に主流を目指さないLPTの真骨頂と、威風堂々取材を決めたのでした。
Special thanks to :
Dave & Jill Whitnell, Barbara Swindlehurst, Carol Cox, all the stuff of C.R.Clowes & Son, Boots Buxton, The Japanese guide lady at Bakewell Old House Museum
C.R.Clowes & Son http://www.cloweschemist.co.uk/
Boots http://www.boots.com/
Bakewell Old House Museum http://www.oldhousemuseum.org.uk/