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Aldehyde - IMO

アルデヒドとは、合成香料の一つで、他の香料をうまくまとめ、拡散させる
力が強く、相互作用でアルデヒド特有のパウダリックな甘さが強調され、
独特の香り立ち(リフト)が心底好きという方は内外問わず多いと思います。
今流行の香りではありませんが、時代によっても下記の様に特徴的な
香りがあります。全くの私見ですので、異論はあろうと思いますが、
参考にして頂けると幸いです。

A.戦前(1920〜30年代)少し重めで正装感のあるフローラル…
 No5、No22、フルールドロカイユ、レーマン、ジュルビアン

B.終戦〜戦後(1940〜50年代)甘くてパウダリックなフレンチ・シック系、
 ベビーパウダーっぽい…
 アンティロープ、ルディス、バガリ、ランテルディ、カリプソ

C.高度成長前期(60年代)グリーンが加わりながらもまろやかさもある香り…
 黎明期としてマグリフ-クリマ、カランドル

D.高度成長後期(70年代)グリーンとアルデヒドの強さが最大限開花して
 主張する女性のイメージが加わったスタイリッシュな香り…
 アンフィニ、リヴ・ゴーシュ、ファースト、ホワイトリネン

80年代以降は急速にアルデヒド系の新作は衰退します。
最近の作品で、ディヴィーヌのラムスールは突出したアルデヒド系の
傑作ですが、ジャンル的にはB.の香調です。

C.からD.にかけては、戦後まもなく発売されたマグリフにルーツを見出す
(マグリフ自体はアルデヒドが際立っているわけではないが)グリーン・
フローラル・アルデヒドの発展段階として、下記のようなイメージが髣髴します。

1.クリマ(1967)男性の庇護のうちに開花する自立、みたいな、まだ自分以外
の後ろ盾のある強さが見える、社会に出ようとしている女性のイメージ
 ↓2年後
2.カランドル(1969)その彼女が仕事を始めて、主張も通さなければならない場面で、
めりはりのある化粧も身支度も覚え始めた女性のイメージ
 ↓2年後
3.リヴゴーシュ(1971)その彼女が今ではお化粧もスーツもばっちり着こなして、
目力もめっきり強くなったけれど、まだ何となく可愛げがある女性のイメージ
 ↓4年後
4.ファースト(1976)その彼女が問答無用で強く美しくなり、時には優しさすら
感じられなくなった、隙がなく主張の強い女性のイメージ

番外:アンフィニ(1970)
微妙に不思議テイストが加味されていて、何を考えているか分からない部分がある。
相当主張は強いけれど、かといってバリバリ仕事をしそうでもない。何を主張して
いるかはヒ・ミ・ツ♪

ちなみに、オンブルローズ(1981)、ルーテス(1984)はジャンルとしてはA.とB.の
中間に位置します。
タンドネージュ(2000)はアルデヒドを使用していないようですが、やはり路線として
A.とB.の中間になります。

一口にアルデヒド系といっても、かなりテイストが違いますので、お好みの逸品を
見つけて下さい。
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