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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Sheiduna (2016)

ついに叶ったピュアディスタンス社・フォス社長vs店主タヌの激突放談をこってりお楽しみいただいた後は、お待ちかねの新作、シェイドゥナをご紹介します。訪問した9月中旬時点では、まだ発売前なうえ、いつもの理化学機器的魅力満載の試験管サイズ(17.5ml)と養毛剤2サイズ(60ml及び100ml)もボトリング委託先から届く前で、新規格のリフィラブルアトマイザー5ml(公式オンラインショップなどでボトルを購入すると、ギフトとしてもらえる)にシェイドゥナの中身を小分けして託してくれました。
 

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社長と調香師さんの豪華サイン入り 訪問時、本製品の仕上がり前だったので、
試香用にと、バルクから詰替えできるこのアトマイザーでご用意くださいました

 
ピュアディスタンス創業以来の大ヒットとなったホワイト(2015)から1年半、7番目のラインナップとなるシェイドゥナはアラビア語でプリンセスを意味するシェイカ、英語で魅惑する意のセダクション、女性名の接尾音、ナを巧みに編曲し、オリエンタルな響きの女性を彷彿する名を与えられた、同社にとって初のオリエンタル系で、ピュアディスタンスとは初タッグのセシル・ザロキアンが手掛けています。毎週毎週、あの社長から調香指示書がハガキで届くというどえらい追い詰められようで一生懸命作った試作品がオリエンタルど真ん中だったため、オリエンタリズムととフレンチシックの融合を目指していた社長のイメージに合わず全ボツ、一からやり直したところ2度目はバッチリゴーサイン、本年9月フィレンツェで行われたメゾン系フレグランスの一大見本市、ピッティ・フラグランツェにて晴れてデビューとなりました。
 

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シェイドゥナ 左から100ml、17.5mlボックス入、17.5ml本体 やっぱり理化学機器っぽい

 

メゾンフレグランスを中心に、パルファムMDCIのニュイ・アンダルース(2013)以降の新作もすべて担当している若干32歳のザロキアンは、若きオリエンタル系の名手と異名を持つだけに、このシェイドゥナも一発でザロキアン作とわかる、ディープかつモダンクラシカルなオリエンタル調に仕上がっています。製造はパリ北部に工場を構え、シャネルを始めメゾン系ブランド(具体的社名は社外秘)の作品を多数委託製造しているステフィド社に依頼、ピュアディスタンスの作品の中でも天然香料をふんだんに使用したそうで、ブルガリアン・ローズやバニラオイルは勿論、クマリンは使わずトンカビーン・アブソリュートを、通常は合成調合香料で済ませるアンバー香料にはアンバーグリス・インフュージョンまで加える念の入れよう。毎回パルファムとしても賦香率がかなり高いピュアディスタンス製品ですが今回は27%と若干控えめのように見えるものの(ホワイトの賦香率は38%)ザロキアン曰く「この香調でこれ以上の賦香率は不可能」との事、これ以上の過積載はIFRAの関所を抜けられません。
 

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この若さで独立系、でも会うと「すごくシャイで、全然調香師らしくない(PD社員さん談)」セシルさん。
よく見ると、香料棚にカメラ構えた社長が写ってる(右上) これ公式写真だけど大丈夫かな

 

日中は30度をゆうに超え、100年に一度の晴天に街中が歓喜した、9月のフローニンゲンで試香した際の第一印象は「ホワイトの、手足の長い黒髪の従姉」。帰国後、頂いたサンプルを使い切るまでまとってみましたが、抑制の効いた、しかしじわじわと湧き上がる静粛な美しい香りで、ビターなシトラスとゼラニウムがアルデヒドのリフトで立ち上がった後は、甘みのない果皮の香りとドライでハードなベチバーやパチュリが表層に、バニラやラブダナム、アンバーなどの深い甘みが深層に現れる二層構造を持っており、砂金の煌めきにも似た表層の硬さと、肌に接した深層のとろみのある甘露なアンバーバニラの二面性が、かすかに情緒不安定な、だからこそ抗えない魅力を持った、言葉少なげで伏せ目がちな女性が目に浮かびます。ユニセックス向けフレグランスとされていますが、7:3で女性向き、しかもお若い方には少々経験値が必要だと思います。
 
これは私が実際肌につけて感じた印象ですが、試香がてら勤務先でつけていたところ「今日は外国の女性がみたいな香りがする」と突然同僚に声をかけられ、わけを尋ねたところ、同僚は独身時代長らくアメリカで暮らし、現在も実姉一家が在住しているため、日米の往復や欧州への渡航は勿論、米国内でも広い国土を移動する手段で飛行機にはよく乗ったそうですが、シェイドゥナの香りは数々の空港や搭乗した機内に漂うあの香りー国境を超えた、様々な女性がまとう香りが空気となって彼女を包み「ああ、これから私は海を越えるんだ」という、究極のエキゾチズムである異国への旅を喚起する胸騒ぎ、そして心の解放ーを感じるのだそうで「いつまでも嗅いでいたい、ああ癒される…」と事ある毎に褒めてくれました。
香り方も、自分でつけている分には、オリエンタル系のパルファムにしてはかなり控えめな、かつ終始硬さのある香りに感じるのですが、前出の同僚には、私がふわふわの雲にやさしく包まれているように香っている、情緒不安定な感じなどない、というので、つける自分と香る相手の記憶や背景的経験値まで呑み込んで表情を変える、まあ香水とは大なり小なりそういう性質のものとも言えますが、シェイドゥナはその幅がかなり広い、多面性の香りと言えましょう。
オリエンタル系が好きだけれど、肌に乗せるとベースノートの甘さが際立ってつけ飽きるので中々出番が少ない、という潜在的オリエンタルファンにはシェイドゥナの乾いた温かみは特におすすめです。
 

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17.5ml 175 euros
60ml 295 euros
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