La Parfumerie Tanu

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La Collection M7 Oud Absolu (2011)

立ち上がり:甘い香りの中にウッドな感じが混じってますね。私もたいがいなオヤジですがもう少し年長者に似合いそうな感じです
 
昼:弱まった来ましたが少しシソっぽい香りが混じってきたような
 
15時位:大分香りが薄くなってきました。甘い感じは残していて少しオリエンタルな感じが出てきてます
 
夕方:微かに甘い香り、残り香も悪くないですけど印象が薄いかなあ・・・・
 
ポラロイドに映ったのは:定年直後のおじさん。月に数度はいきつけのバーに行く感じ(居酒屋やスナックではない)。死ぬときは朝起きてこないから見に行ったら死んでたという感じでお亡くなりになりそう。
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YSL M7 ウードアブソリュ EDT 80ml 日本未発売

 
Tanu's Tip : 
 
2002年、当時イヴ・サンローランのクリエイティヴ・ディレクターだったトム・フォードのプロデュースで誕生し、そのパワフルで獰猛なウードの印象で西側の香水ファンを震撼させたM7(エムセット)。調香はジャック・キャバリエとオリビエ・クリスプの共作という大作です。廃番になった後もカルト的人気が絶えず、ついに2011年過去のアーカイヴを永久欠番的にラインナップするラ・コレクシオン版として再発、名前も今回ご紹介するM7ウードアブソリュとしてにぎにぎしく再登場しました。

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このM7ウードアブソリュをオリジナル版M7の再発とする見方と、バージョン違い(ドジョウ)とする見方とファンの間では判断が二分しており、ウードアブソリュなどと王仰なミドルネームがつけられながらオリジナル版に比べ「かなり薄口になっている」というのが共通見解なので、答えとしては「オリジナル版の濃度違い」というのが妥当な所でしょう。オリジナル版はたった15年ちょっと前に発売されたにもかかわらず、ファンが余さず買い占めたのかデッドストックが出回らず、オークション市場でも桁が1個違うプレミアがついており入手困難なので、この場で比較できないのが残念ですが、カルト的な人気を誇った香りだから少し薄くして敷居を下げ、マニアじゃない一般購買層も取り込もうとしたメーカー側の皮算用が見え隠れしないでもありません。
 
何事にも黄金比率というものがあるもので、例えばカルピスは5倍釈、めんつゆはラベルの通り2倍釈とか3倍釈にしないと、多少濃いめの場合は「リッチだねー」「味がしっかりしてるねー」と人によっては賞賛の対象になりますが、薄すぎると最後まで物足りず不完全燃焼感が付きまとうのに似ていて、薄いから使いやすい、という事もないと思います。その結果ジェントルマンもM7ウードアブソリュは、世間を震撼させた問題作の再発をして「印象が薄いんだよね…」と一喝。確かに立ち上がりにはウード?風?な香りがしますが、程なくミルラとパチュリでちょっと土薬臭いただのウッディオリエンタルに落ち着き、数時間で消失します。ポラロイドにも映った定年直後のジオッサンのように、枯れた感じが上品なウッディノートは、これ見よがしな男☆オレオレ感溢れる下手くそなアロマティック系よりは遥かに好感が持てますが、これをウード、それも完全(アブソルート)なウード、と言われるとウードの名が聞いて呆れるというか「悪い香りじゃないが、ウードを売りにするな、アブソリュって言うな」と檄を飛ばしたくなります。メインストリームものでウードなんちゃらというと、インドカレーが好きで、一度は本場のインドカレーを食べてみたいと一念発起して渡印したものの、いざ食べてみたら本場すぎて口に合わない上にずっと下痢、みたいな事になるよりは、練馬や荻窪あたりで食べているのが本場の味と一生信じて美味しく食べている方が人間幸せ、というメタファーをすぐに思い浮かべるのですが、本物のカニよりカニカマの方が好きという人もいる位、高価なカニの代用品として生まれたカニカマも今では確固たる市民権を得ているのと同じで、西欧社会のなんちゃってウードブームも市民権を得て、そして時代と共に流行の1つとして消えていくのかな、と投げやりな気分になってきます。申し訳ございません。 

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ボトル右横にアコードの記載がある 参考にはなるが鵜呑みにはしない方が◎

ウー度:★★☆☆☆(最初の数分だけ)~★☆☆☆☆