Subscribed unsubscribe Subscribe Subscribe

La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Camelia by L'Erbolario (2014)

f:id:Tanu_LPT:20150712002927j:plain
カメリアシリーズより、左:プロフーモ、右:ソープ

久しぶりに「お値段以上、それ以上」アフォーダブル香水をご紹介したいと思います。

LPTではすっかりおなじみ、お隣台湾までは進出するも、なかなか東シナ海を越えてここ日本までやってこれないイタリアの自然化粧品メーカー、レルボラリオから昨年末限定発売されたトータルボディケアライン「香りのシリーズ」の新作、カメリアシリーズのプロフーモです。
 
レルボラリオのフレグランスはこれまでアックア・ディ・プロフーモ、即ちオードパルファムとして発売されており(アイリスなど人気ラインにはEDTあり)、EDPとはいえ軽めのEDT程度の持続と香り立ちでライトに使えるのが良さでもあるのですが、このカメリアラインのフレグランスは堂々「プロフーモ」、パルファム表記でフレグランスとしての気合を感じます。当然「香りのシリーズ」の1アイテムなので、ボディソープやソープは勿論ボディクリーム、ハンドバターやクローゼット用サシェまで揃う充実ぶり。本国イタリアでは年始にエル誌のビューティアワード2015へノミネートされるほどの話題作で、こういう時中々ヒット作でもそうはいかないバスラインを、しかもフルラインナップで最初から打ち出せるのは、そのシリーズが「使える香り」だった場合、非常に強みとなります。
 
面立ちの派手なカメリア、即ちツバキという花には本来香りがなく、香料もないのですが(その代わり椿油に見られる良質な保湿成分や皮膚補修成分がツバキエキスには含まれています)、その姿形には常に芳しい印象が伴うのか、香りのモチーフに用いられる事も多く、近作ではアムアージュのライブラリー・シリーズのオパス9(2015)もカメリアをテーマにしています。
 
そしてこのカメリア、香りとしてはずばり「デパートの香り」。自然化粧品ブランドのフレグランスというクオリティを軽く超越しています。高級百貨店の化粧品売場に漂う香りの集大成というかそれ以上の出来映えで、きちんと大人が特別な場面でも使える香りがします。カシミアとレーヨンのごく柔らかい羽織もののような滑らかさと暖かさをまとった、きめが細かく女性らしいアンバリーフローラルで、フローラルな要素はあれこれ言わず「デパートフローラル」ということにして、香りの決めてはトンカビーンやアンバー、エレミ、ベンゾインといった深く温もりのある樹脂の香りが、シダーやゼラニウムで甘くなりすぎず、三竦みでデパートフローラルをふんわり支えています。この柔らかさがこれまでのレルボラリオ品にはなかった、透明感を伴ったフルボディの立体感に導いています。これまでのレルボ品から香り持ちは135%UP(当社比)、朝つければオフィスを出るまでタッチアップは不要です。

f:id:Tanu_LPT:20150712002928j:plain
植物図鑑的なパッケージも素敵なカメリア

こんな香りを出されたら、それこそブランドが売れっ子調香師をフル稼働させ春夏秋冬こぞって出す新作の存在意義とは何か問いたくなりますが、それはそれ、レルボラリオは化粧品のクオリティには揺るぎない自負がある一方、香りについては究極の「インスパイア系」メーカーとしてブランドネームも名調香師も無用、オリジナリティにも執着しないので、はなからモードを牽引するデパート香水とは戦う土俵が違います。いつも用意周到にトレンドを掴み、しかもそれが案外成熟した女性を納得させるテイストにフォーカスしてくるので、これからも目が離せません。どこのブランドの何っぽい、というのはないですが、確かにしいて言えば最近のシャネル、特にココヌワールに近いです。カメリアを試してからデパートに出掛けるのも楽しいと思います。カメリアだからシャネルっぽくしたのか、という気もしますが、邪推はこの辺までにいたしましょう。
 
よくデパートの香水って、ニッチ系が好きな人からはつまらないものの代名詞みたいにいわれますが、あんたたちだってその値段に見合ったもの作ってるの?と言いたくなるような法外な価格帯が最近はスタンダードになってきて、この頃ちょっと食傷気味でもあるため、逆にカメリアのようなデパートの妖精みたいな香りが非常に値頃な価格帯でさらっと出てくると、そもそもハレの買い物なんて、昔はデパートありきじゃなかったか?と誰もがアクセスできるラグジュアリーのベンチマーク=デパート、という高揚感を懐かしく思い出しました。