必須:香水は、良い香りでなければならない(ギィ・ロベール)
1. 国内外を問わず、基本価格3,000円、送料などの諸経費込みで5,000円以内におさまること。容量は国内で最多販売容量が30ml(≒その香水で最も容量の少ないボトル)のところ、30mlサイズは欧米では「お試しサイズ」の部類に入るため、設けていない香水も多い。そこでその上の 50ml~60ml(1.7~2.0 fl.oz)を基本とする。
2.上記価格は実売価格とし、定価・ディスカウント価格を問わない。定価から市場価格が著しく下落しやすい、いわば「価格管理の甘い」メーカーの商品は、アフォーダブル化しやすい。もちろん、定価がアフォーダブルでも良質な香水は探せば結構ある。
3.廃番直後より市場から消失するまでの「デッドストック流通期間」も、アフォーダブルを探すのに有効である。
4.香調が、メゾンフレグランスやクラシック香水に著しく似ている場合、その品質が納得のいくものである場合「ジェネリック香水」としてアフォーダブル認定。アフォーダブルを探す際「にせもの」「パクリ」「コピー商品」という無粋な表現及び観念は捨てる。
Iris by L'Erbolario
イタリアの最大手自然化粧品メーカー、レルボラリオは、定価が身の丈な部類の代表格で、アフォーダブル香水の模範となるメーカーと言えましょう。前回のメアレスに続き、今回のアイリスは、イタリア人のこころが還る場所、タルコ系(タルカムパウダーを髣髴する、直球粉物系)のストレートな香調で、アイリスとい うよりはまんま「タルコ」です。レルボラリオ香りのシリーズでもイタリア本国での人気ベスト3にランクインしており、香りのシリーズとしては唯一香水の濃度がP、EDP、EDTと3展開あった(現在Pは廃番)事からも人気の程が知れましょう。豊富なバスライン、デオドラントがメアレス以上に揃っています。
レルボラリオは自然化粧品メーカーですので、各商品に効能のある植物エキスを添加しているのが売りで、一応このアイリスシリーズのボディラインには抗酸 化作用やメラニン抑制作用のあるアイリスエキスが添加されていますが、オードパルファムにいたっては、通常思い浮かべる「冷涼でどこかすった墨のような清浄感のある」アイリスは殆ど感じられず、アイリスの優しい粉っぽさだけを押出し、そこにホワイトムスクやローズ、ヘリオトロープなどが重なり、ノスタルジックな天花粉を彷彿とする難しくない綿菓子のようなふわふわした白い甘さが拡がります。
と、ここまでお読みになってお気づきの方も多いと思いますがこのアイリス、レルボと同じイタリアが世界に誇る名調香師、らりるれおじさんことロレンツォ・ヴィ ロレーシの代表作にして、ヨーロッパでは21世紀問答無用のベストセラー、タンドネージュを思い浮かべずに入られません。さすがにアイリスはタンドネー ジュに比べると香料の間引き感は否めませんが、結構しっかり香り、包容力も持続力も通常のレルボ品より粘りがありますので、適当に嗅ぐ分には、そして周り の人には案外見破れないかもしれません。実際、メアレス同様欧米の香水コミュニティでも比較スレに花が咲いています。尤も、タンドネージュにはムスクラバ ジューvsメアレスほどの価格差はなく、EDT50mlで定価70ユーロなので、香水コミュニティで反感を買うどころか、アイリスとの比較が逆に引立て役となり、いかにタンドネージュが欧州で愛されているかがわかります。
まあ、1本21.5ユーロのアイリスにそこまで望むのも酷な話ですし、品質は確実にお値段以上の優秀アフォーダブル香水ですので、タンドネージュのジェネ リック香水としては勿論、パウダリーノートがお好きで、かつてはオンブルローズなども愛用していた方には胸を張ってお奨めします。
アイリスEDP、香水石鹸。この石鹸がまた強香で秀逸、かつEDPと香りの同期がきちんと取れている点も特筆