La Parfumerie Tanu

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- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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I'm a Stranger in Arab 5 : Arabian Oud

Arabian mainstream house 5 : Arabian Oud (KSA)

アラビアン・ウードは1982年にサウジアラビアのリヤドで創業した比較的新しいメーカーですが、伝統的なウード原木やバフール、ウードオイル、ウードブレンドを中心にしたオーセンティックなラインナップと並行して、アルコールベースの香水にも全力を上げているハイエンド・ブランドです。2000年には主要アラビアン・フレグランス・メーカー初のイギリス直営店をロンドン・オックスフォード・ストリートに出店、その後も2004年にはパリ・シャンゼリゼ通りに、2011年にはロンドンでは3店舗目となる直営店を欧州最大の都市型ショッピングモール、ウェストフィールド・ストラットフォードシティーに出店と、群を抜いて欧州進出を果たしています。高級ニッチ路線が目に付く一方で、2012年当時で、すでに世界30カ国、50都市、全620店舗にて販売、業績的に見ても実は香粧品売上高世界ランキング第11位と、名だたる欧米メーカーに唯一食い込む恐るべし実力派メーカーです。価格帯が全般的に高く、カジュアルラインはありませんが、量り売りも多く対応しているので、ボトルで買うには手が出ないものも少量から試せるのが嬉しいところ、またパリやロンドンに足を運ぶついでに直営店で選べる数少ないメーカーです。
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12.Ghroob

皆さんにこのパッケージを見せたくて、本製品を取り寄せてしまいました!では箱から出しますよ!ドカーン!アラビアン・ウードを代表する中庸な価格帯のウードブレンドで、アラブ6大香料のハーモニーをフルーティなオレンジブロッサムやハーブが軽やかにまとめながら甘口のスパイスがピリッと弾ける、緩急バランスの良いブレンド。クリーミーフローラルな部分が女性にも親しみやすく、真っ向アラブながらアラブになり過ぎず、肩肘張らずつけられます。ウー度は星3つ(★★★☆☆)。


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13.LouLou

これはどうかと思いますね。名前が、80年代に大ヒットしたキャシャレルのルルのパクリですが、全然違います。ハニワ原人って感じで超怪獣っぽいですね。クウェートのショップさんに「売れ筋はなんですか」と聞いたら「ユニセックスで使える、これがいいよ!」と勧められたのでブラインドバイしたものですが、これがアラブっぽいのを期待したら大はずれ。ケーレックスばりのシトラスフルーティで、周回遅れも甚だしいですが、お店の人が売れ筋だというんだから仕方ない。このボトル、5年前にもあったから一応本当に売れているんだと思います。
ところで色々嗅いで感じたと思いますが、アラブの香りって甘ったるくないでしょ?。オリエンタルといっても、伝統的なブレンドにはベースにバニラやトンカビーン、クマリンみたいな甘さを出すものは入ってこないから、寒冷地に当たるヨーロッパのように甘さを強調すると、中東は日中が50度近いので、あまり甘い香りだと疲れるはずで、だから伝統の6大アラブ香料でも、ローズとサフランを組み合わせて爽やかさを出すんだと思います。かといってこれは完全時代錯誤な西向きですけどね。ウー度はゼロ。


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<Brand information>

Official website : https://www.arabianoud.com/

日本への発送対応:なし

日本からの購入方法:中東系オンラインストアまたはeBayの出品ストア

 

ここでLPT準弾丸特派員レポートです!

去る2月26日、LPT読者の方がロンドン訪問することになり、目抜き通りであるオックスフォード・ストリートにあるアラビアン・ウードのストアを取材してきていただきました。日本経済を支えるLPT読者はご多忙な方が多く、今回依頼した読者も2泊4日ロンドン滞在、活動期間は正味1日と大変タイトながらも仕事きっちり、店主タヌの指令を120%アカンプリッシュトしてくれました!

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アラビアン・ウード オックスフォード・ストリート店外観

さすがいち早く欧米進出したブランドだけあって、ユーザーのニーズに合わせて選びやすいよう、店内は中東で主流の香油カウンターと、欧米で主流のスプレー(アルコールベースの香水)ブースを二分しており、フラッグシップ店だけあって1ブランドだけのストアとしては結構な敷地面積に感じます。

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右:香油カウンター 左:スプレー(アルコールベース香水)ブース

アラビアン・ウードの香油は量り売りがメインの為、香油ブースには大瓶がずらり。ここからトーラ単位で購入するのですが、なんと値段交渉OK!準弾丸特派員は「旅の恥は掻き捨て」エンジン全開で「お店で一番高い香油を見せてください」と店員さんに依頼した後登場した、デナルウード・ヒンディ・マリキ(インド産エイジドウードの最高級品、英語表記の”D."はアラビア語のアルファベット表記、Dehn el = Agedの略)を見るなり値引交渉開始。何とも夢心地なハンドペインティングのルースオイルボトルにはきっちりテプラで価格が書かれています。1トーラ875ポンド(≒13万円)、航空会社によっては成田ーロンドン間の往復航空券代を軽く上回ります。銀座の高い寿司屋のように、客の足元を見て時価で言い値をつけるようなあこぎな商売をしないのは好感が持てますね。晴れて交渉成立、勿論見るだけではなくちゃんと購入するのが仁義。1/4トーラ購入の上、なんとこんな結構なものをLPTに謹呈してくださいました。この御恩は必ずレビューで返します!(追記:2019.3.22)

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デナルウード・ヒンディ・マリキ。有難いものなのでしっかり拝んで心眼に焼き付けてください






 

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