La Parfumerie Tanu

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Warszawa (2016, sold exclusively by Quality Missala in Warsaw until 1 Nov. 2017) bulletin preview

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先般のオランダツアー・ピュアディスタンス社インタビューで、ヤン・エワルト・フォス社長より「12月8日までLPTに掲載するのを控えてほしい」と頼まれていた衝撃の隠し玉を、ようやくご紹介できる時がやってきました。
 
ピュアディスタンス社訪問の際、社長や社員の皆さんから、既出の香りや当時発売前だったシェイドゥナについて色々な話を伺いましたが、会話の途中、社長が「そういえば、ちょうど「あれ」が上がってきたんだ。彼女にも試してもらおう」と、ミーティングテーブルの脇からアトマイザーを手に取り、ムエットにスプレィして手渡してくれました。
 
ータイムマシンだ!!すごい、物凄いクラシックな香りですね。シェイドゥナ発売が控えていますが、個人的にはこのポーランド先行発売の香りにくぎ付けです。「ポーランド先行発売の新作で、タカサゴ(高砂香料)から決定分が上がってきたばかりなんだ。名前はヴァルシャーヴァ。ポーランドの首都、ワルシャワの古称だよ。クラシックだろう?1930年~40年のパリをイメージしたんだ。何故ワルシャワなのにパリかって?30-40年代は、ポーランドにとってドイツ侵攻など暗い時代だった。だから、同時期のパリにイメージをシフトして、いくらかでも明るいイメージの香りにしたんだ。ポーランドの人々が好むクラシックなイメージで、1年間はポーランド専売、1年経ったら世界発売する予定だ。調香はうちでブラックやホワイトもやってくれたアントワーヌ・リー(マスター・パフューマーとして名高いが、日本の高砂香料所属調香師でもある)に頼んだ。香料はタカサゴ、というわけで我々は日本経済にも貢献しているというわけだ(社長談)」もう、クラシック香水ガイドを標榜するLPTとしては、話題の中心はシェイドゥナのはずなのに、突然社長が話を割って試香させてくれた謎の新作に、頭が真っ白になってしまいました。しかも、ワルシャワではなく、ヴァルシャーヴァ。「Warsaw(ワルシャワ、ウォールソーに近い発音)では、音が弱いんだ。強いポーランド、強いワルシャワでなくてはだめなんだ。だから、昔の呼び名、ヴァルシャーヴァ(Warszawa)にこだわった。ヴァル、シャーヴァ!だ」社長は「ヴァルシャーヴァ」「ヴァルシャーヴァ!」と、必ずガッツポーズ付きで繰り返し発音してくれました。音も力強いですが、一番強そうなのはやっぱり社長でした。
 
そして翌日、フローニンゲン駅まで送ってくださり、ピアノで別れの曲まで演奏してくれた後に手渡されたもの、それは社長が自ら高砂の決定バッチから小分けした、ヴァルシャーヴァの5mlアトマイザーでした。

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ヴァルシャーヴァ 5mlアトマイザー 非売品

 
帰国後半月ほど経った10月のある日、通常なら担当のメアリさんから各種連絡事項をいただくのですが、期せずして社長から直々にメールが届きました。
 
「先日君に渡したヴァルシャーヴァだが、12月8日、パフューメリア・クオリティ・ミッサラ(ヴァルシャーヴァの専売先で、ピュアディスタンスをはじめハイエンドなニッチブランドなら何でも揃うの勢いで扱う、富裕層向け香水店。本年創業25周年、つまりソ連邦崩壊に商機を得て創業した成功店)の発売記念セレモニーが終わるまでレビュー掲載を待ってほしい。補足のため、セレモニー用に準備したプレステキストを送る」


David Bowie 'Warszawa'
1978年12月12日、NHKホール公演時、オープニングに演奏されたワルシャワ。この映像は当時NHKヤング・ミュージック・ショーで放映されました。手前味噌ですが、やっぱり1978年ってすごい年

ーそれは30年ほど前、ピュアディスタンス創業者ヤン・エワルト・フォスは、デヴィッド・ボウイの曲’ワルシャワ'(原題:'Warszawa')を聴き、いたく感銘を受けた。曲は勿論、ヴァルシャーヴァという音の響きに、心打たれたのだ。彼は長じてピュアディスタンス社を興し、頻繁にワルシャワを訪れる機会を得た。彼の香水はポーランドの人々に大変愛され、また彼もポーランド、特にワルシャワの街に大きくインスパイアされた。ポーランドにおけるピュアディスタンスの発信拠点、クオリティ・ミッサラのオーナーであるスタニスラヴァ・ミッサラは、美しくエレガントな戦前のワルシャワを擬人化したような人物だった。彼は決めた、ワルシャワのため、ポーランドのために香りを作ろう。円熟した美しい女性のための、心躍る香りをー(プレステキスト要約、原文は猛烈長い) 

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クオリティ・ミッサラ創業者、ミッサラ一家。真ん中の上沼恵美子みたいな方がスタニスラヴァ・ミッサラさん。若い男性二人は息子さん、女性はそのお嫁さん。商売繁盛*

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クオリティ・ミッサラ店内。超広角撮影だろうけど、西欧とは偉いセンスの差。旧ソのオーラが残ってる気がする 真ん中の白いのが浮いて発進しそう*

 

先行販売と言っていたけれど、随分な用心のしようだな、こんな極東の一般人にまで口止めを入れるなんて…と少々驚きましたが、実際オランダツアー原稿やその後のキャバレーLPTの準備に忙殺されていた私としても、まあヴァルシャーヴァは一息ついてからだな…と思いながらあっという間に時が過ぎた12月8日、Facebook上に転載されていた衝撃の投稿が目に飛び込んできました。それは社長が、ニューズウィークポーランド版でインタビューされている記事でした。勿論、ヴァルシャーヴァについて。ポーランド語なので当然さっぱりわかりませんから、グーグル翻訳で日本語にしてみたら「宇宙からのメッセージ」状態なので英語に翻訳して読んでみました。すると「ワルシャワを題材にした香水なのに、何故フランスで制作したのですか」という記者の質問に「ヴァルシャーヴァは、私のアイデアの中ではワルシャワ生まれだ!」と喝破した後「ヴァルシャーヴァは、私のワルシャワ滞在中、街からインスパイアされて生まれたプロジェクトだ。全てワルシャワから発生しているんだ。このアイデアを発展させ、ショートフィルムも制作した。香りのアイデアの最終段階を、パリの名調香師であるアントワーヌ・リーに託したのは、ワルシャワでは「街を具現化する」という私からの挑戦を受けてくれる、才能ある調香師が残念ながら見つからなかったからだ」など、相変わらずのキャラ立ち炸裂トークを繰り広げており、倍返しどころじゃない回答にのけぞるニューズウィークの記者の顔が容易に想像できますが、クオリティ・ミッサラの旗艦店があるワルシャワ・マリオットホテルで行われた、同店の創業25周年記念及びヴァルシャーヴァ先行発売セレモニーでは、クオリティ・ミッサラのコーポレートカラーでもあるイメージカラーのダークグリーンに呼応し、ワルシャワ生まれのアールデコ画家、タマラ・ド・レンピッカ(1898-1980)の「緑の服の女」が掲げられ、既出7作とは一線を画した、社長の個人的な思い入れも相当な熱の入れようが伝わってきました。

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社長も全身緑 セーターをズボンにイン、が世代だね**

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セレモニーのひとこま。社長、フォトショのボトルでかすぎ***

さてこのヴァルシャーヴァは、12月8日の発売から約1年間、2017年11月1日まで前出のクオリティ・ミッサラの完全限定販売で、ピュアディスタンスの公式ウェブサイトにも来年の世界発売まで掲載されません。しかも、ミッサラでもオンライン・店頭販売ともにポーランド国内限定、つまりポーランド国民しか購入できない徹底ぶりで、PD社も「これが本当の限定販売だ」と胸を張っているので、LPTとしても、来年の世界発売を待って、再度詳細な香りのご紹介をすることにしますが、9月にオフィスで試香させていただいて、まず最初に目に浮かんだのは天井の高い、文化と歴史を刻んできたヨーロッパの格式高いオペラハウスでした。そして、美しい芸術を、愛する人と共に楽しみ、家路につきドレッサーの前、またはシェーズロングに身を投げ出し、余韻をしみじみ味わっている瀟洒な女性の姿が見えました。香りは全然違いますが、近いイメージとしてはジョイ(1930)の持つ贅沢なアピールを持つ、古典的なフローラル・アルデヒド寄りのシプレフローラルで、ジョイの華やかさが宴の最中、まばゆい渦の中心だとしたら、ヴァルシャーヴァは、宴の渦を心に愛でる余韻の只中にいるような陰影差があり、同じ1930年代のパリに視点を向けながら、1930年、これから起こりうる激動の歴史を知る由もなく、ただ世界を目の前にして立つジョイと、2016年の今、すべてを知って歴史を背に立つヴァルシャーヴァとの、決定的な違いは「記憶」です。タイムマシンさながらの、良い意味で時代錯誤なこの香りは、1930年代へと遡る際身に受けた時空の圧力で生じる無数の傷を、カットガラスの煌きに昇華させています。 
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スタニスラヴァ・ミッサラさん。このおばちゃんのイメージ、かなあ やっぱり*

通常3サイズ展開のPD製品ですが、ポーランド専売の1年間は60ミリの1サイズ展開で、クオリティ・ミッサラでは通常価格295ユーロのところ特別価格245ユーロ(5mlアトマイザー付き)、ポーランド通貨では1,095ズロチ(約28,000円,2016年12月現在)にて提供するそうです。

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ヴァルシャーヴァ 先行発売サイズ 60ml

Puredistance Warszawa, sold exclusively by Quality Missala in Warsaw until 1 Nov. 2017
 

Now it's time to introduce Puredistance Warszawa, just launched in Poland on 8 Dec. 2016 & sold exclusively by Quality Missala in Warsaw until 1 Nov. 2017 as our bulletin preview prior to the world wide launch in 2017. The first impression of Warszawa is - when I tried it on, I had a vivid recollection of a ceiling of some magnificent opera house for some reason. Absolutely gorgeous time machine leading you to Warsaw as well as to Paris in 1930s. the golden era of perfumes. Very classic, flamboyant yet profound, Warszawa tells a lot to you. Can't wait for the world wide launch in 2017 !!

 

Ingredients:
Head notes: galbanum, grapefruit, violet leaf
Heart notes: jasmin absolut, broom absolut, orris butter
Base notes: patchouli, vetiver, styrax


Olfactory group: chypre
 
Pitcures : * provided by Monika Truszyńska (Quality Missala Press Office)
               ** provided by Puredistance
              *** provided by Jan Ewoud Vos