La Parfumerie Tanu

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Vétiver Carven (1957) A Gentleman Takes Polaroids chapter four : Vétiver, Vetyver, Gentleman

立ち上がり:今ままでの同種の香水の中で一番鮮烈な青っぽい香り。かなり刺激的、微妙に柑橘系の雰囲気もあり
 
昼:はじめはあんなに鮮烈だったのにもうほとんど消えかけてます。体臭負けか?
 
15侍位:どこ行った?
 
夕方:朝のあれは幻影だったのか・・・・幻の映像(By Premiata Forneria Marconi)を思い出した。
 
ポラロイドに映ったのは:PFMの英国デビュー盤の表ジャケ
 
 

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カルヴェン ベチバー EDT 50ml 廃番だがデッドストックで入手可能

 
Tanu' Tip :
8月に「ジェントルマンのお気に入り」として紹介したゲランのベチバー、同じくゲランののアビルージュ(9月:秋のジェントルマン参照)同様女性でもお好きな方が大変多く、紹介したLPTもびっくりしたほどでしたが、香水の歴史にベチバーが香水の名前として本格的に登場した歴史は意外にも浅く、今回ご紹介したこのカルヴェンのベチバー、次回登場するジバンシイのベチバー(1959)、そしてゲランのベチバーが世界3大ベチバーと呼ばれています。3番目に登場したのが真打と言わんばかりに、世間の評価をかっさらってしまった感のあるゲラン版ベチバーですが、このカルヴェンのベチバーも再発・再処方を繰り返し、2009年版ル・ベチバー(何故かフィルメニッヒ社の「オリジナルの処方を忠実に再現しています)という保証書つきだがあっという間に廃番)、そして現在の2014年版ベチバーが最新モデルとなっています。今回は、2009年版がにぎにぎしく登場する前に、細々と生き残っていた「普通の」カルヴェンのベチバーがうまいこと入手できたので、そちらのご紹介です。オリジナル版の調香はエドゥアルド・アシュですが、同氏が他に手掛けた香りが見当たらないので、マ・グリフで大当たりしたカルヴェンが香水部門の委託先に適当に頼んだ、当世一代の一発屋なのかもしれません。それが今では世界3大ベチバー扱い、しかもこれがオリジンですから、もうちょっと歴史に食い込んで欲しかったです。
 
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Photos of Ghosts / Premiata Forneria Marconi (1972) 邦題「幻の映像」
 
ジェントルマンいわく「強烈な目眩し」とでも言わんばかりの持ちの悪さで、何度つけても「なんだかわからない」、しかもスプレィヘッドの破損による激しい液漏れで外箱は濡れ濡れ、全身から芳香を漂わせていた2009年版ル・ベチバー(普通のベチバーと同時購入)の方が良い香りだ、とまで言い出して、さっぱりポラロイド画像が映らず、ついにイタリアン・プログレの名盤(写真中央)が写ってしまいました。香りとしては、確かにトップのシトラスバーストの方が印象的で、あまり深みを演出する保留材が多くないのか、肌に残らない青臭さがスカッと香り、強い陽射しを浴びた後、部屋に入った時の「みどり感」が漂っています。ちなみにこちらのベチバーも液漏れこそなかったものの、スプレィヘッドがボトルキャップに癒着し、首根っこから折れて届き、もげた首をボトルの頭に乗せ、垂直に押さないとスプレイ出来ない不良品で、なんでカルヴェンのベチバーはどいつもこいつも頚椎損傷状態で届くんだろう、まあディスカウンターで購入した上、破損写真をショップに送ったら全額返金してくれたし、文句は言いっこなしなんですが、その辺もカルヴェンのベチバーに元祖ながら二流感が漂う遠因にも思えます。これが、元祖ベチバーだと知っておくので充分だと思います。機会がありましたら、ル・ベチバーの方もジェントルマンにポラロイド撮影を依頼します。
 

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首根っこ、ボキッ

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