La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Strictly Private (2009)

立ち上がり:バニラ系の香りが目立ちますね。似合う人は似あうのでしょうが私には難しそう
昼:ベチバー系の香りに変わってきたかな?ただ今回の3点の中では一番香りが消えていくのが早いような・・・
15時位:昼と変わらずだがもはや汗臭さが勝る
夕方:消えてしまった・・・・微かに残る香りはバニラ系です・・・
ポラロイドに映ったのは:ソフトクリームを酷暑の中、溶ける前に急いで食べようとして2/3まで食べたところで地面に落下。呆然としてる短パン兄さん。
 
Tanu's Tip :
 
夏のバラ色ジェントルマン、安物買い編最終回の本日は、世界的大衆香水ブランド、ヒューゴ・ボスから独立したメンズブランド、バルデッサリーニのフレグランスラインから、ローズをメインにしたストリクトリー・プライベートをご紹介します。 
 
バルデッサリーニを生んだ、1924年創業のドイツを代表する高級紳士服ブランド、ヒューゴ・ボスは、現在は街中がアウトレットモールとして有名なドイツの地方都市、メッツィンゲンに作業着工場を立ち上げ、戦時中はナチス親衛隊やヒトラー・ユーグントの制服を手掛けますが戦後は業績が低迷し、1950年代にメンズスーツ製造へと転換。ここで勝機を掴み、1985年に初のフレグランスであるヒューゴ№1を発売。90年代にはレディスウエアにも進出しますが、一方でバブル最盛期の80年代半ばには日本の不動産会社、丸晶興産に買収されるも、丸晶興産の経営難で数年後にはイタリアのアパレルメーカー、マルゾットに売却、そのマルゾットも経営不振で子会社を次々切り離し、親会社が転々とする中現在はヴァレンティノ・ファッション・グループの傘下ブランドに落ち着きました。
 
ヒューゴ・ボスのフレグランスは、日本では想像できないほど欧米では高い人気を誇るドイツの大衆香水ブランドで、これまで立ち寄った空港でボスのコーナーがない免税店は見たことがありません。機内販売のカタログにも大概なにか載っています。そのボスから1993年に分派した、イタリア系オーストリア人デザイナー、ヴェルナー・バルデッサリーニ(73)率いるジェントルマンオンリーなブランドがこのバルデッサリーニで、フレグランスはドイツの大衆化粧品メーカー、マウラー&ウィッツがライセンス製造をしています。ちなみにジェントルマンの原点でご紹介したサー・アイリッシュ・モスもマウラー&ウィッツの1ブランドです。

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ストリクトリー・プライベート EDT 90ml テスターボトル
このストリクトリー・プライベートはディスカウンターでの実売価格が90ml25ドル前後とかなりのアフォーダブル系、かつ日本ではほぼノーマークのブランド作品だと思いますが、ヒューゴ・ボス名義(当時)だったとはいえ、バルデッサリーニ初のフレグランス、バルデッサリーニ(2002)が、ドイツの香水ブランドとしては初のFIFI賞(2003年)を獲得している実力派でもあります。
 
香りとしては、ローズを基調にアンバー、バニラ、レジンが割と薄口に流入するも、今回ご紹介した中では一番甘さのあるウッディローズで、非常に香り立ちが穏やかで肌なじみが良く、ローズとアンバーバニラを支えるベチバーやパチュリなどのウッディな表情に、なんちゃってウードウッド「風」の味付けもあり、ジュニパーやバジルなどジンのボタニカルにも通じる爽快感も感じる、バランスの良い香りです。ローズであれば多少の甘さが欲しい、けれどあまり重苦しいのはつけたくないという方にお奨めで、EDT90mlで20ドル台で入手できる抜群のアフォーダブル性に、内容一番でお選びいただきたい一本です。しっかりベースがありながら、何故か今回のローズ系香水では一番持ちが悪いのはご愛敬。逆に一番底力があったのはデクララシオン・ダンソワールでした。まだ四季を通じて使った事はないのですが、今の時期、すきっ腹に嗅ぐとこのベースの甘さが若干胃に沁みる感じがあるため、この感じだと、秋冬のほうがベースのアンバーバニラが上手く体温と相まって温かく香る気がしますので、夏のおすすめと言っておきながら持続も短いし、ローズで安いってだけで選んだろこのタヌキ!と石が飛んできそうですが、実際その通りなんで、まあこれで1本250ドルだったら謝りもしますが、25ドルですし、バーゲンで買った服が暑くてまだ着れないけど、お彼岸過ぎには似合うかな位のおおらかな気持ちでその辺に転がしておいてください。ジェントルマンのポラロイドに映った短パン兄ちゃんも、お楽しみはこれからというところでソフトクリームが落下、足元で液状化しているソフトクリームに別れを告げ、コーンだけバリバリ食べてどっとはらい。それでは、皆様にとって平成最後の夏が素敵な夏になりますように。後編のラグジュアリー編もお楽しみに!
 
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