La Parfumerie Tanu

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Sampaquita (2004)

Sampaquita (2004)

オーモンド・ジェインの女性向け香水はフローラルシリーズ(5種)・フローラルオリエンタルシリーズ(3種)・ウッディ(1種/オーモンド・ウーマン)と大きく3つの香調に分かれており、いずれもシンプルなネーミングなため、特にフローラル系はシングルノートのように見えますが、実際香ってみると複雑なノートに下支えされたブーケになっているのが特徴です。

今回紹介するサンパキータもその一つで、フィリピンの国花をタガログ語読みしたジャスミンの謂いですが、ブランドとしても「サマーフレグランスとして外さない逸品」と謳っているとおり、ジャスミンと聞いて思い浮かべる若干生臭い肉感的な表情は全くなく、非常にさらりとしたローファットなフルーティ・フローラルに仕上がっています。ライチやベルガモットといった、水分が多く甘味のない南方系果実のバーストにグラスオイルが折り重なり、そこにオーモンド・ジェイン共通の柔らかいグリーンフローラルベース、「OJトーン」が溢れた後に、スズランやフリージアなどボディのある球根系のフローラルとジャスミン・アブソリュートが現れますが、完全なサマーブーケなのでジャスミン単体という体感はありません。果物でいったら丸かじりではなく丁寧に包丁でむいて皿盛りにフォーク、花でいったらジャスミン丸抱えではなく「ジャスミンも入っている」各種洋花のブーケ、と言った所です。合成香料で延命したしつこいフレッシュノートのような持続はなく、汗や体温と共に美しく温まり、美しく消え入るので、さわやかでしつこいノートに悩まされることもありませんが、逆に重ね着を余儀なくされる冬場には衣服を貫通してまで香る底力はないので物足りなく感じるかもしれません。

サンパキータを初めて試したのは汗と冷房の狭間に疲弊する8月の終わりでしたが、つけ始めの爽快感、ふとした体の動きに呼応するようなきめ細かく優しい香り立ち、何事もなかったかのような消え入り方に疲れた体が慰められる、そんな寛ぎを感じ、今日も、また今日もと手が伸びました。オーモンド・ジェインのフローラルシリーズの中では、そしてサマーフレグランスとしていの一番にお奨めしたい香りです。また、こういう上質な香りはプレゼントとしてもいい意味で相手を選ばず、香水初心者のお若い方にも敷居が低く、鼻の肥えた手練れも楽しめる、ありそうでなかなかない秀作だと思います。

 
サンパキータ新パッケージEDP
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