La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Fiori Scuri (1998) by L'Erbolario

Fiori Scuri (1998)

お値頃価格でお値段以上の仕事をしてくれる質実剛健優良香水をご紹介するコーナー、ジ・アフォーダブルでは常連のメーカー、レルボラリオのイタリア国内での人気ベスト3に堂々ランクインする、フィオリスクーリ(ダークカラーフラワー)です。ユーロ高及び現地価格値上げでそろそろアフォーダブルとは言い難くなってきたレルボラリオのアックア・ディ・プロフーモ(オードパルファム)ですが、そこはまあ、1回おやつを我慢すれば賄える程度のはみ出しですので、許容範囲内といたします。

ダークレッドのベルベット・ローズ、紫色のヒヤシンス、深い青と黄色のアイリス、茜色のカーネーションといった文字通り濃色の花々だけを選んで束ねたフィオリスクーリは、しっとりとしたモスがクリーミー感を引き立てるディープなフローラル・シプレで、ホワイト・フローラルの魅力が強い光を放つ眩しさだとすれば、ダーク・フローラルには光を吸い込む底なし沼のような抗いがたさがあります。善良な家庭の食卓に盛られた花籠が期せずしてむせ返るような生々しい艶香を放つような、社会経験のないまま若くして家庭に入り年齢を重ね、むっちりと色白もち肌な昭和の良き奥様(40代)が、実は心の中で不実にも憧れているような、少しだけ悪徳の匂いもする濃厚なフローラル、これはちょっと最近ありません。かといって、こういういいとこの奥さんがおかしくなってどんどん男を滅ぼしていく、そんな安っぽい展開が見えるほどあからさまないやらしさではなく、あくまでそんな「妄想」が見え隠れするだけの寸止め加減がつけごこちもアフォーダブルです。 40年前にもあってしかるべき往年の香水らしいクラシック感も伴わせているのが「女」をきちんと脳内に描ける香りがいまだに根強い人気のイタリアで支持される所以でしょうか。幻の名香、グッチNo.1(1974)亡き後の代打としてもお奨め。 朝つけて夕方までしっかり香りが持ちますが、割合食事とぶつかる香りなので、朝、お出かけ前につけるなら食後が良いでしょう。フィオリスクーリにはEDPの他にボディミルクやボディシャンプーも揃い、ミニマムなトータルコーディネイトも可能です。

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