Arabian Fragrance guide 6 : Swiss Arabian part 2

Fadeitak
ユニセックス、オリエンタルアンバー。

カシュハ、ノーラと並び、スイス・アラビアンの看板ヒット、ファデイタック。パッケージ品の価格帯は中の上で、アラブ系ファッション･フレグランスとしては強気の設定（その割に量り売りは良心的価格）。同じスイス・アラビアンのインスパイア系、ブラック・アフガーノ(後述)の同軸線上にいるが、出だしがかなりおっさん臭い点が大きく異なります。おっさんトニック臭が徐々に抜けると今度は至って滑らかなダークチョコレート様のウッディオリエンタルに変幻、西欧ではここ20年来不動の人気を誇るエンジェルの影響下にあるのは否めませんが、ベースのコアにあるのがバニラやトンカではなくウードやアンバーなので、同じ甘口でも寸止めでグルマンまで行かないところが逆にここ日本では心地よく、オリエンタルの華やかさとダークウッディの引いた美しさを両立。インスパイア系のブラック・アフガーノと並び、おすすめのひとつ。

これまたベタなファデイタックの広告、俺もおまえもエターナル・ラヴ。

価格　EDP 45ml $75 CPO 25ml $75 量り売り　100g $75
ウー度 ★★★☆☆

Noora
レディス、アラビアン･フローラルミックス。

カシュハやファデイタックが価格的に見てデパートのカウンターに並ぶランクだとしたら、このノーラはパッケージで15ドルと低価格帯に入りますが、さすがのトレンド･セッター、スイス･アラビアンといえど限られた予算で良いものを作るのは大変で、このノーラも中庸な価格帯のカシュハの1/3で、いかに最大公約数的な人気を勝ち得るか、相当考えて作られた感のある「アラビアンなフローラルで、ウードを入れずにウード感を出す」事に焦点を絞り、結果として勝負に勝った人気作。まとまりはありますが、アラビアンフローラルという渾然一体としたプラスチック様のケミカルな香りの塊に感じます。このケミカルさ加減か、またはアラビアンなさじ加減がローカル･アラビアンにはたまらないものがあるのだと憶しますが、門外漢の異邦人はそのメーカーの中庸価格帯から余りに外れた低価格帯の香りは、中庸以上の香りの出来が良いメーカー品でも要注意で、それなら相対的に庶民的な価格のメーカー品から中庸なものを選んだほうが間違いがありません。ラストノートでようやく数年前流行したピーチュリ系（パチュリベースのピーチ系）に落ち着きます。

価格：CPO 20ml $15 量り売り　100g $75
ウー度　★☆☆☆☆

Zahra
レディス、アラビアン･フルーティベリーフローラル。

低価格帯の中で人気のザーラ。パッケージで1本15ドル程度の香りは、いくらジボダン香料を使っているとはいえ、予算に限界を感じます。人気の香りですが、ベリー類が中心のミックスフルーツ香料が積載されたガムを噛んで吐いた息を自分の鼻で嗅いでいるような食品香料系です。これもノーラと同じくケミカルな押しが全面に出てしまい、アラビアン香かケミカル香、どちらかに心酔していなければ中々馴染めません。1本数千ドルもするような産地限定のウードもその魅力を実感するには嗅ぎ手の熟練も要しますが、廉価帯の香りもある意味同じで、人気といえど異邦人には入り口が見つかりません。こちらもラストはベリーが薄れてピーチュリ風になります。

価格　EDP 50ml $15 CPO 30ml $15 量り売り 100g $75
ウー度　☆☆☆☆☆

JANNAT AL FIRDOUS
メンズ、アラビアン・シンセティックグリーンウッディ。

スイス・アラビアンブランドで最も安いジャナット・アル・フィルドウスは1本6.5ドルですが、ここまで安くてなお方々でコピー品が出回り「偽物に注意」とわざわざ謳うのはどういうことでしょうか。しかも他社のほうが高い場合も多々あります。「至上の楽園」を意味するジャナット・アル・フィルドウスと「湾岸のバラ」を意味するザーラ・アル・ハリージは、アラビアン･フレグランスでは安物の代名詞です。初めて嗅いだ時、鋭いケミカル臭にのけぞりました。まるで超音波を発しているような破壊力のあるアラビアン･ウッディグリーンで、これだけ嗅ぐと基材臭を香料でマスキングしきれていない強力洗浄剤のようです。ミドル以降、数時間経ってようやくメンズ様グリーンフローラルに落ち着くものの、たとえお土産にあげても相手が在日アラビアンでもない限り、一度嗅いだら二度目はないと思われる位、日本人には難易度の高い香りです。