La Parfumerie Tanu

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- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -


Le Galion, about to relaunch in Japan : Interview with Nicolas Chabot, the owner of Le Galion / ÆTHER

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昨年6月に拙LPTで特集した、2014年復活の新生ル ガリオン。国内発売が決定いたしました。7月21日より阪急うめだ本店にて先行発売、なんと都内での販売拠点及び具体的な時期は未定とのこと。東京人の店主タヌには「初物の先行発売は新宿伊勢丹と相場が決まっている」と奢った思い込みがあるため、発売が決まっても店頭での試香が自分の縄張りですぐに叶わない…という、いつも首都圏以外の皆様が普通に感じていらっしゃるフラストレーションをダイレクトに受け止め、こういう形でひとの心がわかる人間に一歩成長させていただきました(笑)とはいえ国内総代理店は超大手・インターモード川辺なので、そう時間のかかる話でもないのでは?と期待を胸に、6月28・29日の2日間、新宿にて行われたプレス発表会に参加して参りました。
 
ル ガリオンの歴史はこちら

しかし、なぜ市井の一般人である店主タヌが、業界の新作発表会に参加?野良狸のくせに招待なんかされんの?
それは、たった1週間前の事…
 
先月私は、アンチ・パフューム系の先進ブランド、エーテル(ÆTHER)のサンプルセットを公式ウェブサイトで購入したのですが、その後エーテル兼ル ガリオンのオーナーである、ニコラ・シャボ氏から
 
「週末日本に行くんだが、君は練馬で香水店をやっているのか?君のお店にボトルを届けたいんで、会ってくれないか?エーテルで取り扱いものがあったら、一両日中に連絡が欲しい」
 
という、吃驚仰天な連絡が来ました。当然LPTは実店舗はなく、店はあってもネットショップで、しかも主力商品はムエットだのアトマイザーだの、香水小分け部材ばかり。ニコラ氏には速攻で「LPTはただのブログで実店舗ではありません。ル ガリオンについては昨年拙ブログで特集させていただきました」と丁重にお断りしました。それから数日後、なんとプレス発表会の招待状が代理店から来たのです。代理店には縁故なし。これには、本当に驚きました。ル ガリオンの日本発売も知らなかったし、ニコラ氏来日の目的も聞いていなかったので、寝耳に大洪水状態の驚きでしたが、代理店経由での正攻法な面会希望に応えるべく、心して会場に足を運びました。
 
ルガリオン ラ・コレクシオン紹介(2014年初出の9作)

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プレス発表会の一コマ。220㎡もあるスイートルームにて、司会進行役の方とニコラ・シャボ氏(45) 背後の書籍は1000冊もの東京に関するものを集めているそう。1泊866,250円、ギョエー
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 プレゼンはニコラ氏が英語、司会進行役が日本語で訳しながら、途中香り付きカードムエットが配られる。通訳中の進行役に聞き入るニコラ氏
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豪華美麗プレスキット。たっぷり使える6.5mlサンプルアトマイザーは、日本の売れ筋厳選?ラ ローズ、イリス、ホィップ、222の4種。香りについては上記ラ・コレクシオンのレビュー参照。エーテルのサンプルボトルと同じ本体にスプレーヘッドをつけたもの。部材は共用がコスト管理の基本です
 
本日は、全く面識がない上、そもそもエーテルの件で問合せをしたにもかかわらず、ルガリオンの国内販売プレスレビューにご招待下さり、ありがとうございます。また、拙ブログLa Parfumerie Tanuは名前に「香水店(Parfumerie)」の文字がついている為、実在のショップと勘違いさせてしまい、それゆえご招待下さったのだと思いますが、誤解させてしまい申し訳ありませんでした。
 
ニコラ いやいやいいんだよ、それより是非ル ガリオンの発表会に来て欲しかったんだよ。来日前、昨年のLPTで特集してくれた記事を読んだんだ。きちんと紹介してくれてどうもありがとう。
 
- そうだったんですか。こちらこそ光栄です。そういいながら、今日はエーテルの香りをつけてきましたが(笑)
 
ニコラ ムスケタノールだね!もちろんわかったよ。
 
ル ガリオンのふんわりとしながらも洗練された普遍的な雰囲気とは違い、中々先進的な、エッジーな仕上がりですね。
 
ニコラ その通りだ、的確な感想をありがとう。ル ガリオンは、最高品質の天然香料にこだわり、洗練されたタイムレスなフレンチ・エレガンスを追及しているが、エーテルは全くコンセプトが違い、合成香料の限りない可能性を追い求めている。対極にあるコンセプトで双方成り立っているんだ。けれど、ル ガリオンも、ただ古いブランドを蘇らせただけ、昔の香りをそのままの形で再現しただけでは、将来的に長く愛されないだろう?そうではなくて、オリジナルのフォーミュラには限りなく敬意を表し誠実に処方を検討しながら、現代の香りとして生まれ変わらせたんだ。新処方に関しては、オーナー調香師だった実娘のドミニク・ド・ユレスティさん(1978年にメガラを制作後、サラ・リーにブランド売却するも、処方はすべて所持していた)にル ガリオンらしさがきちんと表現できているか、ひとつひとつ確認を取りながら、丁寧に再処方しているんだ。
 
確かに、和菓子でもそうですけど、老舗の味といったって、長い年月の間に、現時点の味覚で体感して「変わらぬ味」になるよう、ミリ単位での微調整を続けているからこそ、100年経っても変わらぬ味、と評価されるわけですからね、香りにしても、サスティナビリティがない復刻ものは、現代人の嗅覚に訴求せず一時の話題で終わってしまい、長く愛されない可能性がありますよね。
 
ニコラ まさしくその通りなんだ。今を生きる人に、タイムレスな魅力を、長く楽しんで欲しいんだよ。
 
ところで、新生ル ガリオンのご指南役であるドミニクさんは今おいくつなんですか。
 
ニコラ 75歳だ。いまだに現役で働いている方だよ。
 
75歳。まだまだお若いですから、今後も共同制作が可能ですね。
 
ニコラ そうなんだ。オリジナルブランドの関係者がご存命で、しかもまだまだ現役でアドバイスしてくれるというのは我々にとってラッキーなことだね。
 
今般の日本上陸について、一番の決め手になったのは何ですか。
 
ニコラ 自分は日本が大好きだし、アジアにはまだ販売拠点がないので、まず最初に日本で販売したかったんだ。これからシンガポール、韓国へと進出していく事になると思うが、まずはいの一番に日本、と決めていたんだ。
 
日本に対してそんな思いで上陸してくれて、一ル ガリオンファンとしても嬉しいです。そして国内販売価格が、ヨーロッパ流通価格が100ml140ユーロ(≒18,000円)と比較して、税抜18,500円と設定したのは、非常に良心的だと思うし、日本の購買者にとってアクセスしやすい価格帯でスタートしていただけるのはとてもありがたいです。
 
ニコラ どうもありがとう。そもそもル ガリオンは、かつて1960年代後半に日本上陸している。我々は日本に戻ってきたんだ。昨日の発表会では、当時日本で発売されたソルティレージュのヴィンテージを参加者の一人に提供してもらった。会場で回覧していた日本の業界誌は、初めて国内発売した際の紹介記事が掲載されているものだが、そこに当時の販売価格も載っているので、参考にしてほしい*。
 
私も、1960年代初頭に、イギリスで製造されたソルティレージュのオーデコロンを所有していますが、海外にライセンス製造拠点まで設けて流通させていたんですから、いかにソルティレージュが世界的に人気だったか推して知るべしですね。そのコロンを嗅ぐと、私の母方の祖母を物凄く思い出すというか、実際うちの婆さんはソルティレージュみたいな良いものなんか絶対使ってなかったはずなんですが、それでも婆さんの姿が目に浮かぶというのは、ソルティレージュがどれだけ当時の日本で流行っていた香りに影響を与えていたか、という事にもつながりますね。
 
ニコラ イギリス版のヴィンテージを持っているのか!それはすごい。そして日本ではソルティレージュが君のお婆様を彷彿とする、時代を象徴する香りだったというのも嬉しいね。
 
ただの婆さんでしたけどね。日本では滞在中どのようなご予定で?
 
ニコラ 日本には6/25に来たんだが、これから、大阪、京都、広島と幾つか都市を訪問する予定だ。
 
そうですか。あいにくの梅雨時期ですが、どうぞ残りの滞在を楽しんでください。本日は短い時間でしたが、お話を伺えて光栄です。今後、LPTでもエーテルとあわせル ガリオンの近作を都度紹介させていただきます。日本での再びのご成功を心より祈っています。ありがとうございました。
 
 
【お知らせ】昨年紹介した初出9作のレビューに続き、その後発売された6作品のレビューおよび今回のインタビュー実現のきっかけとなった、エーテルの5作品を近日中にご紹介いたします。どうぞそれまでお楽しみに!
 
*国内初上陸時の記事については、あいにく会場で手に取る事ができなかったので、もし後日確認できたらこちらのページで追記させていただきます。