【オーデコロン】
シャリマー発売から12年後の1937年に発売されたオーデコロンは、現在アメリカを中心に販売していて、公式ウェブサイトでの紹介もありませんが、とにかくアメリカで根強い人気があるため、商品としてはしっかり現存していて、デパートなどでの販路とは別枠で、ドラッグストアなどでも販売されているようです。実売価格は75mlで40ドル前後です。
シャリマーが1995年から2000年に採用していた「tail bottle テイル・ボトル」と呼ばれる、縦長で筋のあるオードトワレのボトルデザインをそのまま継続使用しています。
左の写真は30年くらい前のヴィンテージボトルで50mlのスプラッシュ型です。アトマイザーは装着していません。オーデコロンは、昔の映画でも手にくぼみを作って、そこにバシャバシャ注いでビシビシ体にはたきつけてましたよね。こんな量、欧米の人なら瞬殺だと思うんですが、このヴィンテージなんか殆どお試しサイズだと思いますけど、オーデコロンは香水じゃないんで、風呂上りや起き抜けのリフレッシュ用なので、持続する必要がないんですね。さらに香料を簡素化して、ひたすらリフレッシュに徹した結果、チャートで行くとシトラス度が満点。でも、パウダリー感は死守しています。
オーデコロンはシャリマーのパウダリーな部分にフォーカスしていて、シトラスでリフレッシュというよりはパウダーでお肌サラサラ系のアプローチですね。あとは全般的に簡素化しています。実際つけると、ぱーっとベルガモットやマンダリンが香った後、すぐにうっすらバニラのパウダリー感が出てきて、そこが長い。ああいい風呂入った、という心地よさを存分に味わえます。
パルファムとレーダーチャートを比べても、すでに同じ形じゃないですね。それでもちゃんとシャリマーの体裁は保っていて、クラシック感も充分です。
【オードパルファム】
オーデコロン発売から50年経った1980年後半は、芸術性が高く、価格も高いパルファムの人気に陰りが出てきて、一方オードトワレは手ごろだけれど持続が弱い、間はないのかというニーズが高まってきて、香水とオードトワレの良さを併せ持ったパルファムドトワレという中間濃度の香水が加速度的に増えた時代です。ゲランも、それまではナエマ以外パルファム、オードトワレ、オーデコロンの3濃度いずれかしか作っていませんでしたが、1987年、一気にパルファムドトワレ濃度を追加していきます。シャリマーは一足お先に1986年パルファムドトワレが加わりまして、のちにオードパルファムと表記が統一されます。
さすがはパルファムとオードトワレのいいとこどりで生まれただけあって、見てくださいこのバランスの良さ。レーダーチャートもほぼ円形です。パルファムと比較すると、パルファムの個性的な部分を丸めた感じですね。オードパルファムもオードトワレと同じくらい売れ筋なので、スケールメリットの恩恵で結構値崩れしていて、実売価格は同じ容量でオードトワレの1000円増し位で手に入ります。
香りとしても費用対効果というか、満足度が高いので、初めてシャリマーを使うなら、パルファムが手に入ればそれに越したことはないですが、オードパルファムもおすすめです。
これで、スタンダードな濃度違い4種すべてご説明いたしました。明日はバージョン違いを4種ご紹介します。