リュバン ムエット④⑤、⑥⑦、⑧
4) Nuit de Longchamp (1937, Pierre Prot) / Lubin
5) Nuit de Longchamp (2008, Thomas Fontaine) / Lubin)
6) Gin Fizz (1955, Henri Giboulet) / Lubin
7) Gin Fizz (2009, Thomas Fontaine) / Lubin
8) Black Jade (2011, Jean Louis Fargeon, Thomas Fontaine) / Lubin
4) Nuit de Longchamp (1937, Pierre Prot) / Lubin
5) Nuit de Longchamp (2008, Thomas Fontaine) / Lubin)
6) Gin Fizz (1955, Henri Giboulet) / Lubin
7) Gin Fizz (2009, Thomas Fontaine) / Lubin
8) Black Jade (2011, Jean Louis Fargeon, Thomas Fontaine) / Lubin
それではお待たせしました、実際の香りについてですが、今回は特別ゲストをお迎えします。といっても写真だけですが、去年の11月、フォートナム&メイソンに行ったんですよ。目的は、グロスミスのブルックご一家にお会いする事と、今回のキャバレー用に、日本からだと海外通販で入手困難なウビガンのエッセンス・レア復刻版を購入する為だったんですが、ブルックさんと別れた後、香水売り場に行ったら、フォートナム&メイソン限定品のコーナーがあって、そこにウビガンのコレクシオン・プリヴェもあったんで、エッセンスレア、エッセンスレア…と探していたら、店員さんに声をかけられたんですよ。この人。


「奥様、フランスのクラシック香水はお好きですか?」
-はい、好きですけど?
「本日奥様に、特別にご紹介したいブランドがございます。こちらへどうぞ」
-はあどうも。何でしょう?
フォートナム&メイソンの香水売り場ってすごく広くて、幾つか半個室空間みたいになってるんですね、奥の奥まで香水売り場で。で、一番奥まで案内されて、くるっとこっちを向いたと思ったら
「こちらでございます」リュバンなんですよ。一通りリュバンのカウンターがあって、壁面はメートル・パフュムール・エ・ガンティエでしたけど、店舗限定の高いシリーズの他に、イドルとかモダンなシリーズがいくつか、でも一番フィーチャーしてたのはやっぱり復刻系のクラシックシリーズでした。ここでミコちゃんが、ありったけのリュバンの歴史を語りはじめまして、どこどこ王室ご用達、だれだれご贔屓…と、まあその辺は公式サイトにみんなあるんで、右から左に聞き流してたんですけど、そこでミコちゃんが一歩前に出まして
「奥様に、おすすめの作品を3つご紹介いたします。まず最初が、このブラックジェイドです」
順番が逆走しますが、ムエット8番ですね。
-え、そんな香りが残ってるの?
「マリー様は、この香りをギロチンにかけられるまで獄中でもご愛用でした」
ーホントなの?
「はい…よもや21世紀の今、ご愛用の香りがレプリカとして蘇り、ここフォートナムズで売っているとは、マリー様もさぞ驚いていることでしょう、フ フ フ…」
-ゾゾー!何なのよ、そのフフフって!
いやもうほんと、ゾゾゾーでしたよ。でもそういう話ってだけで、処方か書付かなんか出てきたのかもしれないけど、実際に作ったのはトマス・フォンテーヌですからね!トマスさんらしい、出過ぎない上品なウッディムスキーなフローラルで、2011年の作品です。ストーリーの後付け感が半端ないですが、一応公式サイトでも調香ジャン=ルイ・ファジョン、トマス・フォンテーヌ復刻、となっています。
「次におすすめなのが、このジン・フィズです」
-あ、これアンリ・ジボレが作って、戦後大ヒットしたやつでしょ?
「奥様、お詳しい…ジン・フィズは、シトラス系といわれて居りますが、ジン・フィズの真髄は、そのフローラルノートでございます。軽やかでいて、奥が深い…」


「最後にご紹介するのは、私が個人的に一番好きな、ニュイドロンシャンです。戦前の大ヒット作で、フローラルシプレの香調になります」
-ああ、これ私ボトルで持ってる。ニュイドロンシャン、私も大好きです。
「奥様、さすがお目が高い」
-持ってるけど、日本で嗅いだ時より、骨格がしっかりと香りますね。やっぱり、おすすめだけのことはありますね。
「恐れ入ります…」


最後にリュバンの経営状態ですが、直近の決算を開示していないのでちょっと古いですが、2014年の資本金- € 193,800(約▲2,400万円)。資本金がマイナス!そして2020年度には201万ユーロ、2億5千万円まで増資しているので、なにかの大ナタが振るわれたんだと思いますが、この辺はちょっと運営が心配です。増資した年の売上が、€ 714,000 (約8600万円)、年商1億に届きません。LTピヴェの1/5です。うち7割が輸出で、フランス国内での売上は3割。2018年の純利益マイナス- € 258,300 (約▲3,100万円)、社員数名と、これだけ熱い心でいい仕事をしているのに、字面の経営状態が心配です。ぜひリュバンの一足後に復興し、10年で消えたドルセー(2007-2014最後の作品、アルキミヤシリーズ発売)のように、公式サイトごと閉鎖、なんて話にならない様願います。
それでは、ここで10分間の休憩に入ります。よく新鮮な空気でリフレッシュしてお戻りください。