2年ぶりの再会を楽しんだブルックご一家との会食後、中古レコード店のあるソーホーへ驀進したジェントルマンと合流すべく、フォートナムズ&メイソンを後にした店主タヌ。ミーティングポイントはF&Mから歩いて10分程度のジョヴォワ・メイフェア店です。ピカデリー通りのF&Mからコンジュイト通りにあるジョヴォワへは、幾つかの徒歩ルートがありますが、おすすめはバーリントン・アーケードをぶち抜く金満ルート。
昨年開業200周年、高級宝飾店や時計店、靴店、ブティックが立ち並ぶ眩しい限りのバーリントン・アーケードには、右にロジャダヴ、左にマルちゃん、ペンハリガンやキリアンも出店しており、香水ファンにとっても眼福!週末のアーケード内は観光客でごった返しており、すいすい歩くのも容易ではないのですが、問題は、店舗内にお客がいる気配ゼロ!土曜の昼下がりだというのに!アーケード自体は人でいっぱいなのに!
ロジャ・パルファム、51バーリントン・アーケード店。ハロッズ店に次ぐフラッグシップ店だが客はなし
あっ人、と思うとそれは100%店員さん。しかも油断しまくっています。どこの店もドアで仕切られているため、店内を見たい場合、相応の決心をもってドアを開けて入らなければならないというのが「場外見ながら通過客」を増やす敗因なのでは、と思いますが、ヨーロッパでは香水店に限らず、洋服屋さん、時計屋さん、靴屋さん…どんな店の店員も「冷やかし客は相手にしない」のが基本です。さあさあ、見てって!なんてフレンドリーな店は、特にこんなアーケードには1件もありません。それゆえ客もますます場外&ベルトコンベヤー化するわけです。







相変わらずの赤と黒で統一されたシックな店内、入り口の右側には定期的に入替となる「今月の一押しブランド」シェルフがあり、訪問時はイタリアのプロフムーム・ローマでした。階段で地下に降りると、一番良い場所に鎮座しているのがピュアディスタンスです。
ジョヴォワでは、知識豊富な店員さんが丁寧に接客してくれ、買い物をするとバカスカサンプルをくれる(メーカーサンプルがない場合は、店員さんがフルボトルからアトマイザーに充填してサンプルを作ってくれる)のですが、
「どこから来たの?東京?お勧めのブランドを紹介するわ、ピュアディスタンスといって、知ってる?これが新作のゴールド。今月発売したばかりなのに、凄い人気なの」
ーありがとうございます、ゴールド、私も持ってます。
「まあ、早い!ピュアディスタンス好き?サンプルあげるわよ」
-あ、いえ大丈夫です、私日本でピュアディスタンスのオンラインサイトを運営しているんですよ。
「えっ!そうなんだ!!」
-今年の5月、社長が来日してイベントも開催したんですよ。
「ヤン・エワウトね。ナイスガイだわ!」
ジョヴォワのコリドー(階段の壁面)には、さながらフレデリック・マルの調香師一覧のように、取扱いブランドのオーナーやディレクターのポートレイトがずらりと飾られているのですが、いました社長!そして勿論先ほどお会いしたグロスミスのブルックご一家の肖像も。見ごたえありましたよ!


-あの、リリス・ド・ファットはもうありますか?うちの読者が発売後何回トライしても実物をお目にかかれなくて。
「あるわよ」
おお!なんと、インペリアルアンバーと一緒に、ガラスケース内に鎮座していました。
-パルファム30mlで£1,350ですか。しっかし高いですね…
「ホントよねえ、フフフ(苦笑)」
-試してもいいですか?
「もちろんよ!是非肌に乗せてみて!」


リリス・ド・ファットご開帳でひとしきり盛り上がった後、1階へあがるとドア脇のレジには男性店員さん、奥には店長のイネスさんがいらっしゃいました。イネスさんとは2017年訪問時お話する事はなかったのですが、突然「あなた、前にも一度来たわよね?」とこちらへ来てくれました。
-はい、2017年の9月、ブルックのお嬢さん方と一緒に伺いました。
イネス「そうよそうよ、覚えてるわ、よくまた来てくれたわね!」
-前回は、ジェサラさん*に大変丁寧に説明していただきました。
イネス「ジェサラは今産休なのよ。見てちょうだい、ジェサラの子供よ!可愛いでしょう~~~セリーヌっていうの、フランス風の名前よね、かわいいわあああ」
イネスさん、接客そっちのけでスタッフの子供自慢。まるで無差別孫自慢です。何枚スマホで写真を見せてくれたかわかりません。するとレジの店員さんが割って入り
「あの君、パリから取り寄せしていた人かい?」
-あっ!そうですそうです。
「デッチマ、届いてるよ」
ー連絡がなかったので、てっきり取り寄せ白紙になったのかと思いましたよ。ありがとうございます。
「ちょうどいいタイミングだったね」
ーいや、あの、ちゃんと今日伺うって連絡してましたが、まあそれでも良かったです。£換算でおいくらかも聞いてないですが、いただきます。
今回は、購入リストにきっちり入れておいたオリジナルシリーズの新作、トゥシェ・フィナーレと、このパリからやってきたデッチマの復刻版を購入しました。ショッパーにはイネスさんが、片手わしづかみ2往復でメーカーサンプルをボッカンボッカン投げ入れてくれて、さすが購入時サンプルが特盛で有名なジョヴォワ、貰ったサンプルはいまだに試しきれていません。
イネスさんと盛上りすぎて1階は殆ど見ませんでしたが、リリス・ド・ファット実装という大きな土産をいただいて大収穫のジョヴォワを後にする際、イネスさんが突然
「次また2年後なんて言わないで、すぐまた来るのよ!!」
と、私のほっぺたをむっぎゅうう~っと両手で挟んで、満面の笑みで送り出してくれました。イネスさん、皆さん、楽しい時間をありがとう。
隙のないハイエンドな空間からは想像できないアットホームなジョヴォワ。絶対また行く、行きたいなあ…あっでも何か買って帰るのは仁義ですよ!
*ジェサラさん…2017年9月訪問時、接客してくれた店員さん。詳細は過去記事でどうぞ。
ここで耳より情報です!
【ジョヴォワ・メイフェアは日本発送OKです】
次回、実装6,000円のリリス・ド・ファット、オリジナル新作のトゥシェ・フィナーレ、そしてパリから取寄せ&言い値で買った復刻版デッチマをご紹介!