昼:まだまだ強力だ。サバトの場に意図せず紛れ込んだような気分。興味はあるんだけどその場に居合わせるのはちょっとなあ…書籍とかwikiで調べるくらいで十分です。という感じ
15時位:ちょっと落ち着いてきた。コリアンダーぽい匂いが出てきて少し安心。カルト団体からオカルト研究会レベルに落ち着いたか?いや・・・・もしかして80年代の大学によく潜んでいた「社会問題研究会』とかいう名前で実は新左翼組織のフロント。という感じの危険さもまだ秘めているが
夕方:レザー系やらスパイス系も良い具合に落ち着き。ようやく少し仲良く慣れそうな雰囲気。しかし関係を深めるには既に時間が無い。「私たちもっと早く出会ってれば良かったね」などど葉が浮くセリフを言いながら退場。いや悪くはないし良い香りだとは思うのですが私には荷が重い「ジュテーム」とか「 セラヴィ」とかするっと言えるような人たちならいいのではないかと。
ポラロイドに映ったのは:BLACK SABBATH 1stのジャケット
マルキド・サド、サド侯爵。斜めった文学的嗜好性を自らの名刺代わりにしたい方はともかく、作品を読んだことがなくても名前くらいは耳にした事があると思います。いや、ないっすよ?と言う方、今時の言葉でいう「ドS」のSはマルキド・サドのSです。じゃ、ドSの反対語は?そんなのドMに決まってんじゃん!じゃドMのMってなんだべ?オーストリア貴族、レオポルト・マゾッホです。私の浅識では、サド侯爵を題材にした香りは、この1740と、カンタン・ビシュ作のアタッキィ ル ソレイユ マルキ ド サドがありますが、そういやマゾッホを題材にした香りって、聞いたことがありません。もしご存知でしたら、是非LPTにご一報ください。
1740は、イストワール・ド・パルファンで最も人気のある香りで「香りのライブラリー」として各時代のアイコニックな人物とその年代をモチーフにしたシリーズの中でも、ブランドの名をあげた作品といっても過言ではありません。今から15年以上前、日本初上陸した当時のサンプルセットにも代表作として入っていましたが、LPTなどまだ影も形もない、経験値の浅い当時の私には大変ヘヴィに感じ「世の中には、こんなゴリゴリの香りをわざわざ作って売って買う人がいるのか」と後ずさりしたものです。
第一印象は「汗ばんだ革手袋」。路線としては、旧M(ピュアディスタンス、2010)と同軸線上にある、甘露なスパイスとレザーの戯れ系で、このレビュー用にノーズショップから現行バッチ15mlを買ってきたにも関わらず、肌から登ってくるのは、ちょっぴり痛んだオリエンタルシプレ系ヴィンテージ香水の風情があります。夜間飛行がお好きな方には、寒い時期など案外ミートする気がします。
ポラロイドに映ったのは、ブラックサバスのデビューアルバムで、こちらは性的倒錯というよりは悪魔的倒錯。なんか接点があるようでないようで、でも香りによる個人の感想として、視えてしまったものは仕方ないですね。そこに「セラヴィ」と「ジュテーム」を絡めてくるジェントルマンの倒錯ゲージには「愛をためらわない度」も併走しており、つくづく彼は人も香りも淡麗辛口がお好みなのがわかります。
昼:ああ重い、甘い、メタリックな感じは減りましたが。70年代初頭はハードロックやってたのに70年代後半からは甘々なバラードをコテコテなアレンジでやってヒットしたバンドみたいだ。そういうバンド昔から嫌いなんだよな。
15時位:ちょっとグリーン?モス系の香りが出てきたかな。薄まるのは今回の他の2種と比べると早いですね。
夕方:ここまで来ると大分落ち着きましたね。なんとか我慢できる。これは悪くはないんでしょうが私には合わないかな。普段からちゃんとスーツ着こなしてる人なら似合いますよきっと。私多分人生でスーツ着た回数3桁行ってないもんでして。
ポラロイドに映ったのは:朝の通勤電車の中、スーツ姿のサラリーマンの皆様でいっぱいの車内で泥酔して小汚いジャンパー姿で網棚で寝ながらうなされてる私(実体験ではそんなことはしておりません。くれぐれも...)
ちなみに、今回ご紹介した3作は、すべてゴリゴリのメンズ向けですが、共通点としてベースがクラシック香水の系譜を踏襲しているので(特にルダンディは1925年作のリメイクなのでクラシック枠です)、クラシック香水がお好きな方は、冬季限定で女性がつけてもベースのレザーやスパイス、リキュールの表情が体温と重なってふんわり立ち昇るので、案外いい感じだと思います。また、やはりこの3作、いずれもカジュアルな香りではなく、スーツでビシッと決めた男性が、決めの一発に使うシーンを想定して作られていると思われますので、家ではエニタイムパン1、お出かけはベンシャーマンとドクターマーチンがデフォルトのジェントルマンが使う場面は、最初から用意されていないため、今回の残念な結果になったのだと思います。もしご自身が、お出かけは三つ揃い、ご出張はピカピカに磨いたチャーチのドレスシューズに革のスーツケースがお供、というスタイルなら、仕上げの一滴にお似合いです。