La Parfumerie Tanu

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- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Alahine (2007) *original extrait version, now discontinued

立ち上がり:これは今まで嗅いだことのない香り、甘さがある香りなのは他の2つと一緒ですがそれ以外にとても複雑な香りが混じりこんでる。説明できない未知の世界だ
昼:落ち着いてきたけどとても複雑な香りだ。これはこれで私には荷が重そうだ。良い香りですが
15時位:印象変わらず
夕方:最後まで強く複雑な香りが続く。これは凄いけど私には扱いきれん
ポラロイドに映ったのは:宇宙人にさらわれ未知の惑星に連れていかれ「君は人類を超える存在になるのだ!」とか言われるけど全然うれしくないし「人類超えるよりインコになりたいわ…」とか思ってる不埒な私。
 
Tanu's Tip :
 
過去、LPTで確かに紹介したはずなのですが、ブログエンジン移行の際消失したらしく、ご紹介ページが見つからないので、とても良い香りですしもう一度ジェントルマンと共に、ブランドの背景も併せてご紹介したいと思います。

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アライーン パルファム15ml 廃番 現在はEDPと練り香水があります

 
フランス人医師兼薬剤師のテオドール・キャバネルが、地中海の要として発展したフランス植民地、アルジェリアの首都アルジェで1893年ごろ創業した香水会社ティーオ・キャバネルは、彼の地で成功後1908年には故郷のパリに凱旋進出、多くの顧客を抱えるようになり、オーダーメイドのコロンなどを処方していました。その後は実娘が二代目として継ぎ、王冠をかけた恋で知られる世紀の尻軽女・ウィンザー公爵夫人ことウォレス・シンプソンのご贔屓にまでなったオーナー調香師ブランドでしたが(シンプソンご贔屓と言われるブランドは履いて捨てるほどあるので、それがどれだけの価値とか重みがあるかはわかりませんが、一応史実としては一番の売り文句です。ちなみにこの人が最もブイブイ言わせていたのは1930年代後半~40年代で、テオドール・キャバネルの娘が後を継いだであろう時代と一致します)、2代目オーナーが逝去した2000年頃には、時代の趨勢によりすっかり商売が立ちいかなくなっていたところ、突如現在のオーナーであるキャロリーヌ・イラッカ(1981年生、フォンテーヌブロー出身)という、当時若干22歳の若い女性が2003年に「家督を継いで」復興させました。ダブリンのカレッジで国際マーケティングを学び、マーケット・リサーチャーとしてちょろっとダブリンで働いた後に帰国したばかりのイラッカさんは、150以上の処方を相続したものの、家督のフォーミュラを忠実に蘇らせるのではなく、ブランディングのひとつとしての箔づけに「歴史ある」ブランドネームを拝借する方向でティーオ・キャバネルを復興させる事にしましたが、ご本人には調香技術があるわけではありませんので、餅は餅屋に頼めと声をかけたのが、退職後ご自身のラボで細々と天然香料などを販売していたベテラン調香師、ジャン=フランソワ・ラッティ(ジャズ/YSL,1988などを調香)でした。以後ラッティ氏はティーオ・キャバネルの専属調香師として余生を送ることになり、現在もキャバネルの為に腕を振るっています。
 
キャバネルの香水は「天然香料100%で作られている」のがウリで、 本店はイラッカさんの出身地でもあるパリ近郊、フォンテーヌブローにあり、ここで全製品の販売及び完全予約制で香料ワークショップや調香体験なども定期開催しているのが、香料サプライヤー兼専属調香師を抱えるブランドならではの強みで、こちらの本店ではオリジナル版キャバネルのヴィンテージボトルにもお目にかかれるそうです。
最初の作品、オーアとジュリアが2005年に発売され、第2弾として2007年に登場したのがアライーンです。発売当初はオードパルファムと練香水、そして今回ご紹介するパルファムの3展開ありましたが、現在はEDPと練香水の2展開となっています。価格はEDP50mlが115€、100mlが155€(2018年2月現在)と、まずまず手の届きやすい価格帯での展開ですが、このブランドは、公式オンラインストアが充実しており、ボトル変更など旧パッケージ品の40%offプライベートセールを定期的に行うので、タイミングが合えばかなり値頃に入手が可能です。日本への送料は20€から、商品分のVATも引いてくれる上、全10種のサンプルキットも11€で販売(本製品購入時に値引あり)するなど、国内未発売ながら日本人にとっては相当ユーザーフレンドリーなブランドと言えましょう。
 
ティオ・キャバネルは一応ゾンビ系、すなわち復刻系ブランドのひとつですが、オーダーメイド中心だったからか、20世紀にピークタイムを迎えていながら過去のヴィジュアルやヴィンテージボトルをネット上などで見かけたことはありません。過去のアーカイヴにインスパイアされた香水作りをしている、と公式ウェブサイトには記されていますが、その処方を復刻させることはなく、現在のラインナップもすべて新作なので、これを復刻系と言ってよいものかは疑問が残ります。また、もうひとつのブランディングである「天然香料100%」というのも、天然由来の原料なら、グリセリンでも鉱物油でも何でも天然という自然化粧品レベルの解釈なのか、これも大きな疑問ですが、どちらもそういうことにしておこう、位のふんわりした気持ちで受け止めていこうと思います。

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 初出2作と同じく女性のファーストネームを冠しているアライーンは、香りとしては、 繊細で可憐、どこか懐かしい大人の少女趣味みたいな他のキャバネル作品とは、モダンクラシックという点以外は趣を大きく違えており、当時のブログ(2010年ごろ投稿)でもコメントしたとおり「ここから先は趣味の世界」な、どれもこれも、何もかもが濃ゆくてパンチの利いたアンバーオリエンタルで、これ以上過積載すると航路変更してアラブ圏に突入してしまいそうな肝の座ったシヴいアンバーに、どフランスなジャスミン・ローズ・イランイランのクラシックな王道フローラルが穏やかに香り、その上に香水の黄金時代を彷彿とさせるオリエンタルベースが幾重にも覆いかぶさってきて、両手で持っても引き上げきれないペルシャ絨毯、四方深紅のフリンジ付みたいな重厚な輝きを感じます。それでいて肌なじみはよく、肌から染み出るように香る艶姿に往年の名香さながらの貫録を感じます。パルファムもEDPもあまり香りの印象は変わらず、同じ位の迫力があり、体感的にはむしろEDPの方が滑らかに感じますので、現在パルファムは廃番という事もあり、アライーンの真価はEDPで充分味わえます。
 
発売当時はまだウードが現在ほど隆盛跋扈する前で、オリエンタルといえばまだまだアンバーノートが大流行しており、ぎりぎり寸止めでヨーロッパの香りに仕上がっているこのアライーンも欧米中の香水コミュニティで賞賛されていたのを覚えています。別ブランドの作品かと思う位個性が際立っているので、よもや廃番にはなりはしないか心配になり、テイーオ・キャバネルに問い合わせたところ「アライーンはキャロリーヌ・イラッカが大変気に入っており、当社の傑作であるといっても過言ではありませんので、処方変更並びに廃番の予定は一切ございません」と香り同様力強い回答がありましたので、是非チャンスがあったらお試しいただけると嬉しいです。ジェントルマン的には、あまりに複雑濃厚な世界観に圧倒され、人類超えるよりインコになりたい気分に陥りましたが、ブジュブジュ言っている割には高評価でしたので、オリエンタル好きの男性にもおすすめです。
 
Teo Cabanel 公式サイト 
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