La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Note

 

−凡 例−

 香水の濃度 

 濃度は一番香料の多いパルファムから、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンと基本的に4種類あります。大事なのは香料の多さイコール香りの強さではないことです。薄くて軽くてきつく香るオードトワレもあれば、染み出るように香り、自分にしかわからない超接近戦仕様のパルファムもあります。パルファムはきつい、オードトワレは軽いと決め付けず、体感とお好みでお選び下さい。

  • パルファム(パルファン、香水、エキストレ、文中の'P') 

賦香率(アルコールに溶かした香料の濃度)20-30%、持続時間6-7時間から終日。最も奥行きがありソフトな香り立ちで、香りが拡散しにくい。じわじわ涌くように香り、隣に座って初めて香るいい距離感を保てるのもパルファムのいいところ。

  • オードパルファム、パルファンドトワレ(文中の'EDP','PDT') 

賦香率10-20%、持続時間4-5時間から半日。メーカーによって濃度の印象が一番まちまちな濃度。多少持続はするが香りがパルファムより軽く拡散するので、香りがどれだけ拡散するかは念頭においてつけたほうがいい。最近はオードパルファム1濃度しか作らないブランドも多い。

  • オードトワレ(文中の'EDT') 

賦香率5-10%、持続時間はオードパルファムと大差ないものから、2-3時間で消えるものもある。パルファムやオードパルファムに比べると香りの厚みがないため、薄く感じるが拡散力は一番強く、薄い香りがリニアに散らばって短く終わるため、ぷんぷん香るのは案外このタイプ。

  • オーデコロン(文中の'EDC') 

賦香率3-5%程度で、持続させるというよりは目覚めや風呂上りのリフレッシュに使うためのもの。柑橘類やハーブを使用することが多い。

  • オーレジェール 

既存の香りのサマーバージョンとして、より香料の濃度を下げたり、アルコールフリーにしているもの。

 

香りのピラミッド

香りには基本的に下記3段階のノートがありますが、濃度や処方によって最初からベースノートがないもの、トップもラストもなく香りが展開しないものもあります。

  • トップノート(トップ) 

香水をつけたときの第一印象になる、爽快な最初の数分間。柑橘系やフルーティな香りが勢いよく鼻に到達して、消える。ヴィンテージ香水は経年でこの部分が失われ、爽快感が欠落している場合があるが、続くミドルノートが美しく香れば充分楽しめる。

  • ミドルノート(ミドル、ハートノート) 

トップノートが収まってから展開する香りの中心部分で、香りの分類はこの部分の印象で決まる。ミドルが長く続くのがオードパルファム。

  • ベースノート(ベース、ラストノート) 

香りの土台としてトップやミドルの香りを下支えし、やがて中心となる部分。パルファムは持続の後半がベースノートとなるため、この部分のハーモニーを大事に作るが、オードパルファムやオードトワレはベースを軽くしてあるので、結果として香りが軽い。

 

香りのファミリー

  • フローラル系 

女性向け香水で一番バリエーションの多いファミリー。様々な花をモチーフに、1種類の花を主軸にしたシングルフローラル、多種あわせたフローラル・ブーケをはじめ、グリーン・フローラル、フルーティ・フローラル、フロリエンタルなど他のファミリーとの汽水域で無限に展開する。

  • シトラス系 

かんきつ類を中心にしたフレッシュな香り。天然香料だとすぐ消えるので、昨今はいつまでも消えない合成香料のニューフレッシュノートを組み合わせるのが主流で、結果「爽やかでしつこい香り」が誕生した。

  • グリーン系 

ガルバナムやバイオレットリーフ、緑葉や青臭い果物をアクセントに用いた瑞々しい香り。一方で他の香料との併せ方によっては、人工的で冷徹無比な辛口な印象に変化する。グリーン系=ナチュラル、リラックスという思い込みは危険。

  • フルーティ系 

かんきつ類以外の果物の香りをアクセントにした香りで、ピーチ、きんもくせい、ベリー類、洋梨が多用される。殆どが調合香料もしくは合成香料。フルーツがひねりなく前面に出ると若年層限定の香りになりがちだが、シプレノートの主軸にピーチが来ると猛烈に艶が増す。下品にもなりがちなので、諸刃の刃的存在。

  • ウッディ系 

ベースノートとしても通常使われる香料を全面に出した香り。サンダルウッド、ベチバー、シダーウッド、パチュリなど、シングルノートとしても主役を張れる印象派揃いで、メンズ香水の名香もこのファミリーから数多く出ている。ユニセックス系が多いがオリエンタル系と密接な仲間なので名香のベースノートが好きならウッディ系も好きなはず。

  • シプレ系 

1917年コティが発売した「ル・シプル」の香調、ベルガモット(トップ)-ローズ、ジャスミン(ミドル)-オークモス、パチュリ、ラブダナム(ベース)という究極の組み合わせは、その後の香水に絶大な影響を及ぼした。何といってもシプレ系の主役はオークモスだが、アレルゲン問題で使用量が極度に制限されているためヴィンテージと現行品を香り比べて深みが違うのはオークモスとムスクの違いが大きい。各ファミリー中、最も引いた色香をかもし出す。

  • オリエンタル系 

アンバー、ムスク、バニラにパチュリやサンダルウッドなどのウッディ系香料やスパイスが加わった、温かみのある重厚で深い香り。日本では一番評価されず水商売風だとか香害扱いされるかわいそうなファミリー。普段爽やか系ばかりの食わず嫌いも真冬の乾燥した日にちょっとだけ試せば、香水の真骨頂とも言うべきオリエントの世界に誘われ、世界が広がるかも。

 

                          

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紹介する香水について 諸注意

・クラシック香水、日本未発売の新作香水を紹介する記事が中心のため、販売終了しているものや国内で入手困難なものが多数含まれている事をご理解・ご注意下さい。

・香調について、必ずしもブランドが公表しているものと合致しない場合がありますが、体感を優先しておりますので、ご了承下さい。

・ヴィンテージ香水にはオークモスなど現在はアレルゲン原料として厳しく使用が制限されているものが含まれているのと、経年変化により肌に刺激をもたらす場合がありますので、肌に直接使用する場合はご注意下さい。

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