Y (1964)
2008年、多くの人々に惜しまれながら世を去ったクチュリエ、イヴ・サンローランが初めて発表した香り、Y(イグレック)のオードトワレです。数年前まではカウンターにこそ陳列されてはいませんが、全国のイヴ・サンローランにて取り扱いがあり、BAさんに伺い、カウンターに出していただいた時、日本も捨てたものではないと感激しました(価格は100ml/12,600円)が、その後廃番、しかしすぐに2011年秋、ラ・コレクションと称して過去の名香8選を復刻したシリーズにて再発されました。日本ではYSLボーテの個数限定・Web限定で発売中(80ml、10,500円)。ボトルは他コレクションと統一の四角いベージュでYが一番このボトルのイメージにあっています。
1964年にサンローラン初の香水として世に出たジャン・アミック調香のイグレックは、サンローランがその後発表するオピウム、パリ、ベビードールなどからは想像もつかないほど淡く、羽衣のように透明感のある淡麗なグリーンシプレです。濃厚な香りが主体だったそれまでの香水の流れを変えたとまで言われており、「香水のいい香り」というよりは「いい香りのするあの女性」と思われるような、控えめな存在感が誰からも好まれる所以だと思います。普段、個性の強い濃厚な香りをお使いの方も、サマーフレグランスとして極上の涼やかさをお楽しみ下さい。勿論、爽やかな中にもぬくもりのある香りなので、通年を持ってお楽しみいただけます。
並行輸入品や海外のディスカウンターでは、未だにデッドストックが普通に流通していますが、コレクション版Yを入手し、旧品との違いをつけ比べてみましたが、特段の変化は感じられませんでした。
しいて言えば、コレクション版の方が若干シアーだったような気もしますが、ロットの差程度だと思います。日本のYSLボーテ・オンラインでも徐々に人気が出てきたのか、Web限定・個数限定ですが一時は「売上ベスト14」という微妙なランクインを果たしていました。別段、現行流通している旧品より丁寧に作り直されたという訳ではなさそうなので、もしストック用にお探しでしたら、国内の香水通販でも普通に見かける、長方形で頭に金のスプレィヘッドがついている、ピエール・ディナン型ボトル(写真)で充分だと思います。
パルファム 7.5ml