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How to Wear Your Favourite Perfumes chapter 1

6.LPT流香水のまとい方

How to Wear Your Favourite Perfumes

 

香りの楽しみは人それぞれ。香りの好みも人それぞれ。

ここでは「これだけは伝えたい、後はご自由に」ほんの少し香りのアドバイスをお伝えいたします。

 

香りは、季節によって着替える大事な肌着、たった1本では暑さ寒さ、緩急をしのげない

Don't Have to Adhere to a Single Signature Perfume / Change Your Perfumes for Seasons and Conditions

香水は、嗅覚を通じ非常に体調と密接につながっており、体感温度すら変わってきます。いうなれば、香水は素肌にまとう最初の肌着で、この肌着の選択を朝ひとつ間違うだけで、一日が台無しになることはよくあります。

近年連続熱帯夜や豪雨、豪雪と、寒暖の二極化が進んでいる気もしますが、日本には四季があり、なおの事細かい調整が必要です。例えば、汗でムンムンの息苦しい時に、やたらと遠くまで香りがリニアに飛ぶ、一見さわやかでもしつこいフレッシュ系を選んでがっかり。寒風吹きすさぶ季節に、体感温度が3度も下がるような、一部のアルデヒド系香水や冷涼系フローラルを選んで気分も底冷え。また、日々の体調や活動が毎日同じという人は誰もいないと思います。

リラックスしたい時にグリーン系など、案外に神経がとがるオンタイムの香りを選んで終日くつろげなかったり、大事な商談のときに神経の弛緩を呼ぶようなアロマ系の香りを選んで気合が入らなかったり…暑い季節には通気性が良く体が楽な香り、寒い季節には気持ちも体も温まる、包み込むような香り、仕事の時は後押ししてくれる香り、オフタイムの時はくつろげる香りが欲しい…「私の香りは、これ」と一生懸命1本に絞ろうとする人がいますが、それは「私の下着は、1年中この1種類だけ」「私の人生に緩急なし」と決めるようなもので、心と体を整えるためには、いくら好きな香りでもたった1本では役不足です。さらに、同じ香りをつけ続けていると、嗅覚が麻痺して物足りなくなってきて、知らず知らずのうちにつけすぎてしまい、周りの方に迷惑をかけかねません。そのためにも、年間を通して数本、体調と気分に応じて代わる代わる違う香りを楽しみ、その中で定番が1本ある、というのがちょうど良い気がします。

私は、いわゆる巷で香水に植え付けられている敷居の高さを外したいと常々思っています。香水を楽しむのに、特別なドレスも、パーティもシチュエーションも必要ありません。脳と心と鼻だけです。
繰り返しますが、香水は、自分をよく見せるために、誰かのためにつけるものではなく、何より自分自身を大切にするために春夏秋冬、心を平たく、身体を健やかに保つために選ぶ、最良の肌着のようなものです。

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