La Parfumerie Tanu

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Interview / Lianne Tio Parfums

世界のLPTへ行こう!頼れる海外香水店紹介

 

 日本から世界に目を向けると、星の数ほど香水専門店がありますが、「頼れる」香水店はあまりありません。そこで、La Parfumerie Tanuが足で探した、海外の素敵な香水店を一挙ご紹介!オーナーインタビューをはじめ、クラシック香水・モダンクラシック香水ファン必訪の頼れるオンラインショップ及び実店舗を詳説。ぜひあなたにとって頼れる一店を見つけてくださいね!

 

Lianne Tio Parfums(オランダ)/オーナー リアンヌ・ティオさんインタビュー

 

最初にご紹介するのは、実店舗とオンラインショップの2拠点にてニッチ・フレグランスを取り扱うリアンヌ・ティオ・パルファムです。

 

オーナーのリアンヌさん

 

オランダへ最初にアニック・グタールを紹介した女性オーナー、リアンヌ・ティオさんが2000年にオープンしたリアンヌ・ティオ・パルファムは、いわば彼女の香りへの情熱がそのまま形になった香水店。アニック・グタールのオランダ旗艦店にふさわしい、白を貴重としベル・エポックの世界を再現した広い店内にはクラシック音楽が流れ、取扱ブランドは30弱と必ずしも多くはないですが、いずれも作り手と丁寧に会話をしながら一つ一つ取扱を決めていったのが良くわかる逸品揃いです。一度訪れたら必ずまた行きたくなり、気付いたら常連客となり、自分用だけでなく、大切な方へのプレゼントを選ぶのもこのお店で…ロッテルダムにある実店舗の常連客は「リアンヌさんに会えるから」と、口を揃えてそう言います。一方オンラインショップは海外通販としては驚くほど発送業務が迅速確実で、注文した数時間後には発送完了ということも。メールでの問合せにもまるで横で聞いていたかのような速さでオーナー自らレスして下さり、オンライン上にない商品も実店舗取扱品なら発送可能。日本では中々試す機会のないニッチ・フレグランスの小分けサンプルをリアンヌさんお任せで幾つも入れてくれるのも大きな魅力のひとつです。定価販売、免税非対応ながら、世界中の香水ファンの心をつかんで離さないリアンヌさんにお話を伺う事ができました。

 

LPT  本日はお忙しい中インタビューに応じてくださり、ありがとうございます。憧れの香水店オーナーというだけでなく、確かな審美眼と経営手腕を兼ね備えた女性としてLPTはリアンヌさんを尊敬しています。

リアンヌ こちらこそ、お褒め頂いて嬉しいわ。13年前、オランダのマーケットで初のニッチ・ブランド、アニック・グタールを紹介したのは私なの。厳選された天然香料をベースにしたアニック・グタールのようなニッチ・フレグランスとの出会いは衝撃だったわ。その当時の私は商業ベースのメジャーな香水に飽き飽きしていて、パリでアニック・グタールのそれは小さなショップを見つけた時は、もう一目惚れしてしまって。それでこのニッチ・フレグランスを取り扱う仕事を始めてしまった、というわけなの。

LPT すごい情熱ですね。では現在お取扱いの、アニック・グタール以外のブランド及び製品はどのように選ばれたのですか?個人的にはどのような香りがお好きですか?

リアンヌ 私はブランドの独自性、コンセプトそして哲学を第一に商品の取扱いを決めるわね。やはり香りというのは、何といっても香った時に幸せを感じなければ、と思うのよ。初めて香った時だけでなく、何ヶ月も経ってからもね。この幸せな感覚に、つける人自身の記憶や調香師の思いとが密接に結びついたなら、その香りはつけていて決して飽きることがないわ。これは、今市場に溢れている、あっという間に出ては消える合成香料だらけな大量生産型の消耗品みたいな香りでは決してかなわない話よ。後世に残る美しい香りがひとつ生まれるには、技術と集中力、そして時間が必要なの。
個人的にこれが好き、という香りはないけれど、どうもチュベローズ、ローズ、ジャスミンにうっとりしてしまうというか、ついつい手が伸びてしまうわね。その日の気分と場で全く違ってくるけれど、パルファムMDCIのペシェ・カーディナルとクライヴ・クリスチャンの'C'パフュームは凄くいいわね。あとオーモンド・ジェインのツァーリナとタイーフも外せないわ。

LPT 実店舗は2000年創業との事ですが、オンラインショップはいつオープンしたのですか?実店舗とオンラインショップではどちらの売上が大きいですか?

リアンヌ 新しい電子商取引に参入することはお客様に取り扱いブランドと私のお店両方を知っていただくのに価値ある拡大だと思ったので、2010年にリアンヌ・ティオ・パルファムのオンラインショップをオープンしたの。オンラインショップは単なる事業拡大だけでなく、これまで出会う機会のなかった、世界中の香水愛好家の方々と接する場をもたらしたわ。勿論セールス面では今でもなお実店舗のほうがはるかに上よ。だって私のお店では、お客様一人ひとりを直接このベル・エポックの空気で包んで差し上げて、世界中の香りを楽しみながら私とお客様とのパーソナルな時間を過ごせるんですもの。お客様一人ひとりの個性やお好みに合わせて、プロとして香りをお選びさせていただくことができますからね。 

ベル・エポックを基調とした明るい店内

 

LPT リアンヌさんのお店に入ったら、手ぶらで帰る人はいないんじゃないでしょうか(笑)イギリスやオーストラリアなど、諸外国で徐々に香水の航空配送が引火物として禁止される中、国際配送対応してくれるリアンヌさんのオンラインショップは心強い存在で、海外からのオンライン注文もうなぎのぼりだと思いますが、実店舗とオンラインショップでは売れ筋が違いますか?各々どのようなものが良く出ますか。

リアンヌ 確かに、オンラインショップとお店とでは売れ筋が随分違うわね。お店ではいらして下さったお客様に対し、直接色々なブランドの中からご興味のありそうな香りを選んだり新商品をじっくりご紹介できるので、お客様の「香りのワードローブ」が拡がっていくけれども、オンラインショップでは、お客様はどうしても高評価のレビューや記事、口コミに頼らざるを得ないのと、既にお持ちの香りのリピートとか、必要に迫られてお求めになっている感じかしらね。とはいえ私のオンラインショップは丁寧な対応と迅速な発送でご好評を頂いていて、リピートのお客様が多いのも信頼の証ね。

LPT 私も何度かオンラインショップのお世話になりましたが、注文から発注までのわずか数時間のやり取りに、とてつもない勢いを感じました。なんだか、オンラインショップというよりは、物凄く面倒見のいい外国の友達にものを送ってもらうよう頼んだら、間髪入れず送ってくれるような感じです。日本からの注文も多いと思いますが、日本からの注文で人気のあるものを教えて下さい。

 

オランダにおけるアニック・グタールの総本山でもあるリアンヌ・ティオ・パルファム

 

リアンヌ アニック・グタールの製品は日本のお客様に大変人気があるわ、特にプチ・シェリー、ローズ・アブソリュ、アン・マタン・ドラジュが人気ね。

LPT 日本未発売や限定の香りも色々ありますし、そして何より国内販売価格より安いので、日本のアニック・グタールファンは大感謝でしょう。日本国内で一番人気なのはプチ・シェリーで、ショップでもまず奨めています。リアンヌさんのお店で一番人気のあるアニック・グタールの香りは何ですか。

リアンヌ 私のお店で番売れているアニック・グタールは女性向けではパッション、ウール・エキスキーズ、ソーンジュ、ローズ・アブソリュ、チュベローズ、そしてプチ・シェリーよ。男性向けならサーブル、デュエル、オーデュスッドね。

LPT  殆どアニック・グタールご本人調香で、かつブランド創立期からある香りや、ボディのある香りに人気が集中していますね。プチ・シェリーやローズ・アブソリュはどこでも人気ですね。ところで、商品を購入時に、お任せで香水のサンプルを同封してくださいますが、どのように選んでいるのですか。いつも好みの香りが必ず入っていてびっくりします。

リアンヌ アハハハ、それは良かったわ(爆笑)みんな、ご注文の商品に同梱させていただくサンプルのチョイスには驚いてくださるのよ。まずシンプルにお客様からのオーダーを分析するけれど、メールのやり取りがあれば、メールを読ませていただいた時の印象だけで、どんな香りがお似合いになるかがわかるのよ。お客様がその香りをつけた時の姿を思い浮かべて選ぶのよ、ロボットみたいな選別など絶対しないわ、いつも一香入魂よ(笑)私とお客様との共同作業とも言えるわね。やはり、お客様自身で選んだ香りで幸せになって欲しいもの。私はお客様にどんどん素敵な香りに出会って欲しくて沢山お似合いのサンプルを入れて差し上げるんだけれど、その際私を信頼してお任せで選ばせていただけるのは本当にありがたいわ。とどのつまり、香水はつける人にとって「思いの水」なのよね。

LPT サンプルひとつもそんな熱い「思い」が込められていたんですね。今まで頂いたサンプル、どれも最後の一押しまで使わせていただきました。ところでLPTはクラシック香水を主に紹介していますが、お取扱いの商品で香水の黄金時代を髣髴するような、お奨めのグレート・クラシックな香りを教えて下さい。

リアンヌ グロスミスの香りは’グレート・クラシック・パフューム’としてそれは高い評価を得ているわ。MDCIの作品はどれも美しくて後世に残るオーセンティックな香りで、特に魅惑的なペシェ・カーディナルは私の大のお気に入りよ(笑)クライヴ・クリスチャンの香りもグレート・クラシックだと思うし、オーセンティックという意味では世界最古の薬局、フィレンツェのサンタマリアノヴェッラのコロンも忘れちゃいけないわね。日本のお客様にも大人気よ。そしてアニック・グタールも、アニック自身が調香した幾つかの香りは、ある意味グレート・クラシックだと言えるわ。 

「リアンヌさんに会えるから」顧客の足が遠のくことはない

 

LPT グロスミスの復刻ものは確かに重厚で、このご時世良く出してきたな、と思いました。SMNも、さすがに400年潰れていないだけあって、イタリアものではよく見かける、ある日家が洪水にあって、納屋かなんかを片付けていたら、家督のレシピがわんさか出てきて、子孫が現代に甦らせました、でもこんなきっつい芳香剤みたいな香りを田舎の修道院で作ってたのか?みたいな雨後のタケノコ系とは一線を画した品格がありますね。最後に、これまで取り扱ってきた商品で、こんなに売れるとは思わなかったものは何ですか。また、これはとても良い商品なのに、もっと人気が出ても良いと思われる商品はありますか。

リアンヌ 売れるといえばロレンツォ・ヴィロレーシのタンドネージュかしら。この香り、文字通り「飛ぶように」売れるのよ。何度仕入れても、いつも2週間で完売してしまうの。びっくりよね。逆に、これはもっと売れてもいいのに…と思うものも正直あるわ。ベロ・プロフーモはどれもとても個性的で芳醇な香りだし、プロフーミ・デル・フォルテの香りもびっくりするほど素敵だから、絶対いけると思うんだけど…スタンダードではなく「本物」を求める人たちのお眼鏡にかなうには、時間が必要ということかしらね。

LPT  オランダでも粉物は大人気なんですね。わが鼻に狂いなし、と自信が持てました。これからもお世話になります。本日はどうもありがとうございました。

 

 

Lianne Tio Parfums
オンラインショップ : www.liannetioparfums.nl
実店舗 : Weena-Zuid 144
3012 NC Rotterdam/The Netherlands
T 31(0)10 40 49 602
F 31(0)10 40 49 604

 

画像提供:リアンヌ・ティオ・パルファム

 

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