La Parfumerie Tanu

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Maharanih intense (2006-2008)

2006年にEDP濃度で発売されたマハラニーが、2年後マニフィーク・シリーズで
アンタンス版として再構築されました。現在オリジナルのマハラニーは廃番で、
国内販売されているものも在庫限り販売終了になるでしょう。

レディスのボトルに収められているオリエンタル系、という事でもっとムンムンな
イメージなのかと思いきや、立ち上がりがオレンジとラベンダー系ハーバルで、
往年のメンズ臭でスタートし、つけた直後の洗面台は残り香が「お父さんの身支度後」
状態です。最初にばーっと拡散して強く香り、徐々にメンズ臭は抜けていきますが、
最後まで女性らしい雰囲気は前面に出ず、その分控えめなオリエンタル・アンバーと
なって、うっすらとしたナチュラルなバニラやサンダルウッドの膜となって消えて
いきます。香りの主軸とされているパチュリとローズも、渾然一体としてさほど主張
しません。オリエンタル系の、しかもアンタンス版という割には香り持ちも長くなく、
身支度したお父さんは、お勤め先ではあまり主張もせず午後まで働いていなくなる、
あれ、お父さんもう帰ってきたの?といった感じです。朝のやる気が夕方まで持ちません。
ただ、メンズにしては甘いし、レディスにしては女性らしさが足りないので、
そういうどっちつかずの香調をユニセックス、と言われると疑問が残ります。
肌馴染みがよく主張せず、女性らしさを売りにしないナチュラルなオリエンタル系を
お探しの方にはお勧めしますが、その選択基準はオリエンタル系という、最も豪奢で
引力の強い香りのジャンルをどこか否定しているようなものなので、個人的には
もう少し「記憶に残る」オリエンタル系の方が、生きてるって感じで好みです。
マハラニー・アンタンスは国内未発売、オリジナル版マハラニーは30mlのみ販売有、
定価8,000円。

 

 あれお父さん、もう帰ってきたの?ご飯ないわよ

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