La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Chanel No.5 EDT (1960)

 ご存知の通り、シャネル5番は1921年、エルネスト・ボーが
ココ・シャネルの依頼で調香し、世界を席巻して90年となりますが、
当時は香水と言えばパルファムだけで、オーデコロンは別として
(オーデコロンは香水として勘定しないのだと思います)濃度違いが
同時発売されるようになるのはもっと後の話で、ご多分に漏れず5番も
パルファム以外の濃度は1960年、シャネル2代目調香師であるアンリ・
ロベールがオードトワレを作るまでありませんでした。その後ロベールは
19番(1971)、クリスタル(1974)と、シャネルの香りの歴史に次々と「軽さ」
をもたらしていきます。

EDT版5番は、5番の持つフレッシュネスを最大限に拡大解釈した
明るくきびきびした表情が持ち味で、しゃきっとしたアルデヒドのリフト
にフルーティなローズヤジャスミンが乗り、イランイランで円やかに
まとめられており、重さはありません。何よりパルファムに比べたら
手の届く価格であること、またギフトセットにミニサイズボトルが
ついていたり、サンプルボトルも出回っていたことから、EDTイコール
5番、と思っていた方は結構多いのではないでしょうか。1990年代に
5番の調香が一斉に見直されてからは、よりフルーティな表情に輝きが
増し使いやすくなったので、食わず嫌いの方にもまず取り掛かりとして
お試しいただきたいのがこのEDT版です。

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