- 「先を越された」は大きな思い上がり
- Store 1|Noseway : Taipei A11, Q-square
- 驚愕のメンバーシッププログラム
- Store 2|Pure by Noseway
- - store guide -
「先を越された」は大きな思い上がり
今年のお盆休みは、38年ぶりに真夏の台北へハン1さんと行ってきました。遥かなる真夏の台湾の記憶は「Hotter than Hell」でしたが、昨今の東京の獄暑を体験済みな私たちには屁でもない暑さでした。訪台自体は4年ぶりで、地元の従兄家族に会うのが主たる目的ではありましたが、それ以外の目的は①台湾随一のニッチフレグランス取扱店、Nosewayの新光三越信義新天地A11店・Q-square店を2日にわけて取材②高級品以外は割と何でもそろうバラエティストア・金興發生活百貨で爆買い③マンゴーかき氷炸食④面線暴食 でした。あいにく③と④は叶いませんでしたが、①②はミッション・アカンプリシュト!
特に①は、2019年末に訪問した際には、影も形もなかった台湾ニッチフレグランス市場が、コロナを挟んでビッグバンを起こしている事に気づいたのがつい最近で、昨年「台湾に大口取引先ができた」とピュアディスタンスから小耳に挟んではいたのですが、今年の4月からピュアディスタンスを取扱い始めた高級香水店、Nosewayのラインナップたるや、日本における「その筋の主要香水店3系列(ノ〇ズシ〇〇プ、フ〇ー〇ン、〇シヤ〇〇ュ)」を3社合体しても敵わない、骨太の面々が粒ぞろい。まあ、大半は日本にも上陸済みの、認知度の高いブランドなんですが、それ以外のどの辺が粒ぞろいかというと
- 日本撤退後に国際的評価が上がった、既に十分な評価を得ている、もしくはしっかり現在進行形な「日本市場の見る目がなかった」ブランド(Parfum d’Empire, Maître Parfumeur et Gantier, Le Galionなど)
- 国際的にプレステージを確立しているが、日本に縁のない、または日本市場アウトオブ眼中な重鎮ニッチブランド
(Parfum MDCI(仏), Ormonde Jayne(英), Fragrance Du Bois(英), Masque Milano(伊), Carner(西)など。PDは日本上陸していなかったらこのジャンルに入る) - まず日本には来そうにない「鋭い」ブランド(①Les Indemodables:レ・ザンデモダブル。アントワーヌ・リー専属、グラン・クリュ級天然香料会社ラトリエ・フランセ・マティエール直営。リー氏はピュアディスタンス作品中、ゴールドとM V2Qをここの天然香料を用いて制作している。②LengLing:ミュンヘンのブランドで、ドイツらしい色気も食い気もない、若干難解な空間演出系)
というわけで、あっという間に「台湾に先を越されていた」いやむしろ日本が先を行っていたことなど実は無く、台湾のニッチマーケット?どんなものかお手並み拝見、などと甘い気持ちで行った私が間違いで、上から目線の思い上がりだった事が、2日間の取材で本当によくわかりました。
Store 1|Noseway : Taipei A11, Q-square
メインコンセプトストアであるNosewayは、今回同じピュアディスタンスの輸入代理店という立場で日台友好取材をさせていただきました。その為、ピュアディスタンスのニュースをお届けしているPuredistance on noteでじっくりご紹介しています。また、ラインナップについては、LPTのインスタライブで解説しているので、このふたつを上記リンクからご覧ください。
LPT的には、とにかくMDCIがズラリと並ぶ棚に大興奮!取扱店でも割愛されがちな「頭付」フル・プレゼンテーションボトルも標準在庫との事で、そのかわり100mlのシルクロードボトルの扱いはないみたいです。
Noseway 取扱ブランド:Angela Ciampagna / Atelier Des Ors / Akro / Altra / BDK Parfums / BeauFort London / BOHOBOCO Perfume / Coreterno / Electimuss London /
Etat Libre d'Orange / Fragrance du Bois / Francesca Bianchi / Histoires De Parfums /
Les Indemodables / La Manufacture / Les Bains Guerbois / Le Galion / Liquides Imaginaires / Lengling / Moth and Rabbit / Masque / Maison Incens / Malbrum /
MDCI / Miller et Bertaux / MiN NEW YORK / Neela Vermeire Creations / Nicolaï /
Ormonde Jayne / Parfums Frapin / Pierre Guillaume / Parfum d'Empire / Puredistance /
ROOK Perfumes / Stora Skuggan / Sulékó / Thameen / The LAB Fragrances / Zoologist
驚愕のメンバーシッププログラム
白眉は、台湾市場がいかにビッグバンかを示す、Nosewayのメンバーシッププログラム。これには驚きました。このメンバーシッププログラムこそが、台湾でニッチブランド人気を牽引してきた原動力なのでは?一般的に、ニッチブランドは価格競争を避け、定価販売を希望し、ブランド個別のディスカウントには応じない事が多いですが、これは顧客個人の購入金額に応じた、セールとは性質の異なるディスカウントなので「うちは対象外」とブランド側も言いづらいサービスですよね。それにお高い物をお安く買える喜びは、麻薬のようなものですから、ついつい「能動的煽り購入」に陥る太客も多いのではないかと思います。
VIP会員は3ランクあり、毎年4/1からの1年間の購入金額によってステージが変わります。
VIP:初年度購入額が15,000元(≒70,000円)で、翌年以降は10%OFFとなり、年1,500元(≒7,000円)の購入で特典が維持される
VVIP:初年度購入額が50,000元(≒230,000円)で、翌年以降は15%OFF&バースデークーポン2,000元(≒9,200円)がもらえる。年5,000元(≒23,000円)の購入で特典が維持される
翡翠カード:累計購入金額が200,000元(≒920,000円)に達すると、翌年以降は15%OFF&バースデークーポン8,000元(≒37,000円)の他、毎月ディスカウントクーポン発行、年30,000元(≒138,000円)の購入で特典が維持される。
いずれのランクとも、誕生月は金額にかかわらず1回20%OFFになるディープな共通特典もある…こんな「素晴らしい」と「えげつない」の彼岸にいるようなディスカウントサービスを、もし日本の香水店が導入したら…ちなみに、ピュアディスタンス・MDCI・フレグランスドュボワは同等価格帯ブランドで、主要購買層は上記の「翡翠カード」保有者だそうです。店もお客も凄すぎです。
ちなみにNosewayの店頭テスターには、コンセプト解説や香調などの商品解説や、肝心の価格は一切表示なし。予め調べておくか、BAさんに聞くしかありません。ここも一見不親切なようで、後に引けない購買欲に水を差さない「欲しい気持ちを優先する」確固たる販売戦略を垣間見ました。
Store 2|Pure by Noseway
新光三越信義新天地A11には、上でご紹介したNosewayとコンセプトの異なるストア、Pure by Noseway もあります。チェーン展開しているNosewayのインテリアが、メリハリの効いた強い印象を与えるとしたら、Pure by Noseway は一言でいって「ナチュラルテイスト」。取扱ブランドもNosewayと比較して①ナチュラル・パフューマリー寄りのブランド②オーガニックなトイレタリー製品③香水の価格帯も3,000元(≒13,500円)程度からと、Nosewayの平均単価より低めに設定し、より親しみやすいセレクションにしているそうです。また店内中央にはSABONなどでも見かけるウォータースタンドがあり、ソープやクレンジングなどのお試しができるようになっています。
Pure by Noseway取扱ブランド:19-69 / Abel / Bastille / Björk and Berries / BOIS 1920
Carner / Frassaï / Labsolue / Mark Buxton / Maya Njie / Maître Parfumeur et Gantier /
Olibanum / Obvious / Phaedon / ROOM 1015 / Scents of Wood / Son Venïn / Uermi
取材に応じてくださったブランドマネージャー、メンディさんは、98%天然由来成分、うち60%がオーガニック原料を使用したスウェーデンのナチュラルトイレタリーブランド、Björk and Berriesのバスプロダクトをイチオシで、店頭でも一番良い場所にディスプレィしてありました。私たちはとにかくフラッサイの話が聞きたくてウズウズ。海を彷彿させる浅葱色のシェルフの前でお話を伺いました。フラッサイの販売価格は6,580元(≒30,000円)と、国内定価が28,600円(2023年8月現在)の日本より5%ほど高いですが、新光三越では、48,000元未満のお買い物なら、店内で日本の消費税に当たる営業税5%を返金*してくれるので、フラッサイは日本で買うのとほぼ同じ!日本未発売のトラベルパースセットもありました。
*返金手数料14%が差し引かれます。
LPT フラッサイは、何が一番売れ筋ですか?
メンディ そりゃもう、El Descansoね!
LPT ええっ!ダークホース!!まったく想定外でした。日本では圧倒的にTien Diが人気で、続いてA Fuego Lentoですね。新作が出ても、この二つの人気は不動です。
メンディ 台湾では、El Descansoの次は日本でも人気のA Fuego Lento, Victoriaが続くわね。
LPT フラッサイは、日本ではLPTが一番最初に紹介したんですよ。ブログで激推し後、ファンベースが出来上がり、その後日本での取扱いが決まりました。
メンディ そうなのね!じゃ紹介料をもらわなきゃ(笑)
LPT そういえばメンディさんは、毎年ヨーロッパ各国を飛び回っていますが、フラッサイのナタリア・オウテダさんには会った事がありますか?
メンディ あるわよ!ミラノのエッセンチェで会ったわ、すごい美人だったわ~♡
LPT 写真でも十分美人ですが、本物はもっとすごいんですね。ところで、Pure by Noseway での売れ筋の香水はどれですか?
メンディ Obviousの、抹茶ラテ(台湾ではMochaと呼ぶ)の香り、UN ÉTÉが一番ね。Obviousの中では次に人気なのはUN MUSCだけど、UN ÉTÉはとにかくよく売れて、今欠品中で入荷待ちなんだけど、欠品後も問い合わせが相次ぐから、一時的にテスターを外しているくらいなのよ。
LPT 売れるからテスター外す、って、日本だと、現品なくてもとりあえずテスターは置いておいて、場合によってはバックオーダー取りますよ?ていうか、むしろ人気の香りは欠品率が高くて、欲しい物に限ってない、取寄せ3か月待ちなんて香水店あるあるですよ。
メンディ だってテスターを置いておくと、入荷までお客様から問い合わせが続くじゃない?それは混乱のもとだから…
LPT なきゃないで、売らないんだ!強気!!そういえばピュアディスタンスのテスターも12種全部なかったですよね(A11店にはGoldとM V2Qのテスターがなかった)。
メンディ ピュアディスタンスも欠品しているものはテスターを外しているわね。オンラインストアの在庫は全品完売で、来週の入荷を待っているところなのよ。
LPT 全品完売…お店もすごいけど、お客さんの勢いもすごいですね。普段日本では香水店に行っても正直面白くないので、ほとんど行かないんですが、今日は物凄い刺激になりました。Nosewayも、Pure by Nosewayも、LPT読者必達香水店として絶対紹介します。メンディさん、土曜日のお休みのところ、わざわざご紹介くださり、ありがとうございました。
- store guide -
新光三越信義新天地A11 (Noseway, Pure by Noseway)
2F, No. 11, Songshou Rd, Xinyi District, Taipei City 110
phone 02-2723-8215
Q-Square (Noseway)
No. 1號, Section 1, Chengde Rd, Datong District, Taipei City, 103
phone 02-2552-7535
※営業時間などは、事前に各拠点のウェブサイト等でご確認ください。
Special thanks to : Mendy Wang, Davina (Noseway International)