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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

LPT Tour de Nederland : 1 Why head to the Netherlands

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- 元気、モリモ~リ!英蘭横断・オランダ二都ツアー -
 
何故オランダなのか
 
LPTでは、投稿の際にメーカーや代理店、ショップさんなど様々な香水関連の方々に資料提供や取材協力をお願いしています。通常、香水の取材なら、フランスやイタリアに集中するのが普通だと思いますが、ブログ開始より6年、何故か英国とオランダに太いご縁をいただきました。イギリスについては昨年「英国地方都市薬局特集」にてご紹介した通りですが、今回オランダへ取材を決めたのには理由があります。
 

 

lpt.hateblo.jp

 

2013年、某大手学参系出版社より、LPTを通じ香水関連の書籍について出版の話がありました。これまで書籍執筆経験のない私は、編集担当との対面での打合せや字数の指定もないまま、とにかく原稿をあげて欲しいとの依頼に沿い「架空の香水店を書籍化する」というコンセプトを企画、編集側の確認をもって国内外の関係者に取材をしながら執筆を開始、本編の一部に「世界の香水店」という特集を組みました。その際、一度も会ったことがないのにメールインタビューを快諾してくれた香水店のひとつが、何度か通販で利用したことのある、オランダはロッテルダムに店を構える、リアンヌ・ティオ・パルファムでした。特にリアンヌさんはインタビューの返信に、まるで目の前でインタビューを受けているようなご自身の写真や店内写真を何枚も添えてくださいました。こうして脱稿した原稿を期日までに提出したものの、出版社から何の連絡もなく、1か月以上経って担当編集者に連絡をしたところ、提出した原稿には目も通していないことがわかり、渋々電話対応に応じた編集者には出版する意思すら感じられなかったので、原稿一切を取り下げました。
 
せっかく快く取材に応じてくださった方々に、一人ひとり頭を下げてお詫びをしていきました。そして、海外の方へは、どう謝ればよいのだろう、特にリアンヌさんにはただ申し訳なく、恐る恐るお詫びのメールを差し上げました。すると
「出版取りやめは残念だけど、人生そんな事もあるさ、と乗り越えましょうね」
というお返事がすぐに返ってきたのです。シンプルですが、本当に心が救われました。そして、あの時書いた原稿は、LPT開設3周年企画としてブログの全面リニューアルを兼ねて連日連夜投稿、そして現在のLPTがあります。
一方2012年末、時期は前後しますが、前出のリアンヌさんから購入時のサンプルとしていただいた1本の新作が「これまでのヴィンテージコレクションは、もう整理してもいいかもしれない」と一瞬惑うほど、クラシックなバイブレーションを持つ秀逸なパウダリー・フローラルで、しかもパルファム濃度ならではの湧き出るようなふくよかな香り立ちにほれ込み、一番大きな100mlサイズを即購入。他の香りも別途試香する機会があったので、 LPTでブランド特集をしようと思いました。ボトル写真を提供していただこうと、メーカーに問い合わせたところ「気に入ってくれてありがとう、でもブログに書くならもう一度、きちんと試して欲しい。他の香りも送ってあげるよ」という返事が、その会社の社長みずから、合計数百枚という怒涛のハイレゾ画像、しかも大半は社長のキメキメ写真と共に返ってきました。それが、オランダ北部の都市、フローニンゲンの小さな香水メーカー、ピュアディスタンス社のヤン・エワルト・フォス社長との出会い、衝撃の香りはオパルドゥ(2012)でした。
ほどなくしてオランダから大きな小包が届き、開けてみると、当時発売されていたラインナップのフルボトルとサンプルセット、「お持ちでしょうけど、予備にどうぞ」と、広報担当の女性から送られてきた小包には、当時新規格として発売したばかりだったオパルドゥの60mlサイズまで入っていました。こんな市井の日本人にここまで熱く応じてくれるこの会社って、いったいどういう会社なのだろう?とさらに興味がわいてきました。やがて担当さんから折々連絡や販促資料が来るようになり、LPTはピュアディスタンスの新作が発表されるとタイアップを行う、日本で唯一のブログとなりました。
 

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古都フローニンゲンの典型的な街並み 自転車の多さに注目

 

こうして、不思議にも、LPTはオランダの方々に育てていただきました。いつか、リアンヌさんと社長に、ちゃんと会ってお礼がいいたいなあ…でも、中々オランダにだけ行く機会は作れないよな…と、脳裏をかすめることが増えてきました。しかしある日、ふと「オランダは、イギリスからは目と鼻の先」であることに気づいたのです。オランダ最大の空港はアムステルダムのスキポール空港。イギリスの主要空港からはおよそ1時間、国内線ばりにLCCも多数飛んでいます。そしてオランダ国内は陸路の移動が非常に便利で、空港からピュアディスタンス社のある北部のフローニンゲンへも、フローニンゲンからリアンヌさんのいる南部のロッテルダムへも、特急で1本。そうだ、イギリスには毎年「里帰り」で行くって、おじいちゃんと約束したっけ、だからイギリスから行けばいいのか…

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イギリスとオランダは、日本と韓国より全然近い。むしろ東京ー札幌より近いかも
 
今や「イギリスの両親」とまでの仲となったマンチェスター近郊在住の老夫婦、ウィットネル夫妻(ご夫妻の詳細は英国地方都市薬局特集を参照)に、今年も「里帰り」する際、途中1泊2日でマンチェスターからオランダへ行きたい、メーカーさんと香水店にちょっと行って来るだけだから、お昼前に出発して夕方会って…とおじいちゃんに話したところ、「是非早朝便で行きなさい、夕方オランダの訪問先に着いたって、会社もお店も終わってるよ。空港までは、わしが送ってあげるから」と、当初予定していたマンチェスター発アムステルダム行の便を早朝便に繰り上げ、夜明け前の真っ暗な中、空港まで車を出してくれました。
 

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ロッテルダム中央駅ホーム オランダでは行きかう人がたいがいアルバートハイン(スーパー)の
水色のレジ袋を持っている(写真右の女性が左手に下げている袋)

 
マンチェスター空港では、昨今のテロ対策で保安検査場はチェックがいちだんと厳しくなり、私も靴を脱がされ、はだしの状態でカバンの中身をすべて目の前でひっくり返され、20分も検査に掛かりました。おかげで余裕をもって到着したにもかかわらず、出国審査が終了したのはフライト定刻20分前。搭乗ゲートまでは15分以上かかります。ここで乗り遅れては全てが台無しと走って機内に滑り込む有様、くつろぐ余裕もなくあっという間にスキポール空港に着きました。入国審査では、審査官が二人一組でブースに入り、終わった方から次々に長い列を右に左にさばいています。私の番では、いかにも若そうな金髪の審査官が担当で、ニヤニヤしながら「コニィチワ!」と声をかけてきました。あ、日本語嬉しいな。「こんにちわ」と言いかけたところ、その審査官はいきなりガッツポーズで、
 
「元気、モリモ~リ!!」
 
…え?げ、元気…?モリ、モ~リ??
 
一瞬頭の中が真っ白になりましたが、ここで何か口ごもるとまずいことになるかもしれない、と間髪入れず「モリモ~リ!!」と答えたところ、審査官はパスポートにポン!と入国印を押し、何も聞かれず晴れて入国OKとなりました(注)。
そんなわけで、オランダで初めて交わした言葉は「元気、モリモ~リ」、一体これから何が起こるのか、期待と不安が無駄に湧き上がるスタートを切ったのでした。
 

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スキポール空港駅発フローニンゲン行き特急内で昼食。
駅のアルバートハインで調達、サイズデカすぎで完食できず

 
・次回、アムステルダムから陸路で向かったフローニンゲン、念願叶ったピュアディスタンス社のキャラ立ち社長とご対面、どころじゃすまなかった、超絶訪問記をご紹介!!
 
 
注)傍ではみな「何処から来ましたか」「オランダには何のために来ましたか」「最終目的地はどこですか」と当たり前の入国審査を普通に受けていました。
 
Special thanks to : 
Jan Ewoud Vos, Mary Gooding, Nele Tammiste, Iris Vos and all the team Puredistance (Groningen, NL)
Lianne Tio, Inge and Myth of Liannte Tio Parfums (Rotterdam, NL)
David and Jill Whitnell (Tideswell, UK)