La Parfumerie Tanu

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- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -


Daim Blond (2004)

立ち上がり:甘さ控えめ シトラス系の香りが強い。これはいいかも
昼:フルーツのような甘い感じと革の香りかな?変化も好ましいです
15時位:甘さが強くなってきました。
夕方:残香はかなり甘い感じですがねっとりというよりは爽やか系ですか。革の香りも微かに漂い。これは女性より男性の方が合うかもしれません。
ポラロイドに映ったのは:コーヒー飲みながらドライフルーツ頬張る枯れた伯父さん。
 
Tanu's Tip :
 
世間では熱心なファンが多い中で、個人的に殆ど興味を持たずに来たブランドの1つに、セルジュ・ルタンスがあります。仰々しいコンセプト、真っ黒なヴィジュアル、ドクロが玄関先に飾ってありそうなルタンス御本人、何度店頭で試香しても「くどい、しつこい、甘重い」の三拍子、または「やけに明るくけたたましいフローラル」に振り切れていて、いつも頭で嗅ぐみたいな難しいイメージが付きまとい、中々身近に感じる事がなかったのですが、ルタンスファンの読者に奨められじっくり試香したところ、先日レビューしたアイリスシルバーミストの他にヴィトリオールドゥイエ、ルゥーヴ、今回ご紹介するダンブロンが、それまでのルタンスに対する偏見を瓦解してくれました。今年は友人や読者の方に、沢山良い香りを教えていただき、色々嗅いできたつもりでも、まだまだ自分の知り得た世界は氷山の一角、と襟を正しました。この場を借りて御礼申し上げます。

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ダンブロン EDP 50ml 廃番

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ダンブロンは英語で言うとホワイトスウェードを指しますが、フランス語でDaimとは高級な鹿革を取るダマジカ(写真、ファロージカとも呼ばれる。学名ダマダマ)を意味し、Daim Blondで「黄金のダマジカ」という意味にもなります。ダマジカ自体が白っぽい色をしているので、取れる革を英語でホワイトスウェードと呼ぶのでしょう。調香は四半世紀の長きにわたりルタンス作品を手掛けているクリストファー・シェルドレイクです。香りの色味はそれよりもう少しサーモンピンクがかった灰色で、ダンブロンのメインをはるアプリコットと柔らかいスウェードがとにかくベストマッチ。アイリスとヘリオトロープの粉物チームも脇に徹してアプリコットとスウェードのマリア―ジュを盛り上げています。

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立ち上がりからラストまでジューシィで親しみやすい香りがふわふわと香り、ベースのムスクでしっとり肌になじみます。しかもこのアプリコット、生の果物ではなく干しあんず。崎陽軒のシウマイ弁当に埋まっている、あの干しあんずです。ただフルーティなだけでなく、しっかりと水分を飛ばし凝縮したうまみのある干しあんずの美味しさが拡がるダンブロン、さながらスウェードの手袋を脱ぐのも忘れて、袋入りの干しあんずを一心不乱にパクパク食べているような幸福感があります。自分がドライフルーツでは干しあんずが一番好きだと言うのもありますが、それにしても事前情報一切なしで実装したジェントルマンのポラロイドが、今回は非常に感度がよく、めでたく「ドライフルーツを頬張るジオッサンのコーヒータイム」にジャストピント。香りとしても高評価で、ジェントルマンもようやくボンデージだの汚いオカマだの映らないレザー系の香りに出会えました。

さて、ご存知の方も多いと思いますが、この春セルジュ・ルタンスは大々的に商品の改廃を行い、国内では定番ラインのブラック&ベージュ コレクション(国内価格50ml10,000円、税抜)をセルジュ・ルタンス コレクション・ノワールとして一新、2018年3月21日よりパッケージ・価格および容量(50ml:13,000円、新サイズ100ml:20,000円。ブラック&ベージュコレクションは50ml1サイズだった)を変え発売となりました。それにあわせ3月20日をもって下記10種の香りが販売終了になりました。 

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とはいえ、これはあくまで日本および定番ラインでの話で、ブラック&ベージュコレクション販売終了10種のうち
 
フランスではExclusive Bottleシリーズ(釣鐘型:パレロワイヤル本店専売品、ただしオンライン販売あり)に集約
・アラニュイ
・シダー
・サマジェステラローズ
・ヴィトリオールドゥイエ
 
フランスではGratte-Cielシリーズ(グラット・シエル、超高層ビル型:オンライン販売あり)に集約
・セルジュノワール
・フィーユアンエギュイユ
 
つまり本当に廃番となるのは
・アラビ
・ダンブロン
・グリクレール
・ジュドゥポー
 
の4点で、世界的に見て6勝4敗なのですが、今回ご紹介したダンブロンは、ジェントルマンからこれだけの高評価を得ておきながら、定番のブラック&ベージュコレクション廃番後、コレクション・ノワールにも残れず、販路限定シリーズにも集約とならなかった、栄えある正真正銘の廃番4点のうちの一つなので、もし入手したい方がありましたら、今ならアメリカのディスカウンターで70ドル程度、箱なし・写真のスプレーヘッド装着済のテスターボトルなら60ドル程度で入手可能ですので、お早目の入手をおすすめします。
 
価格の話で恐縮ですが、セルジュ・ルタンスは今般の改廃と価格改定前までは、国内価格が50ml1万円と、昨今のメゾンフレグランスの価格帯から言ったらむしろ割安感に溢れていて、資生堂の世界展開ブランドとして、良心的な販売をしていると感心していたのですが、それでは儲からない、よそではどうでもいい有象無象がもっと高値で販売している現状に気づいてしまい価格改定、6万円台の高級ライン、セクションドールを立ち上げるなど、しっかり儲け路線へ進路変更となりました。確かに、一例をあげるとペンハリガンのEDTが税抜50ml14,500円でルタンスのEDPが50ml10,000円、では「ルタンスは安売りし過ぎている」(実際はその逆でペンハリガンの国内価格が高すぎるのだと思いますが)と資生堂が判断したのは無理もないのですが、それでもまだ定番のコレクション・ノワールラインが50ml13,000円、100ml20,000円(ちなみにルタンスの定番ラインは国内価格の方がフランス価格より15%程安い)という価格は、輸入代理店が青田買いしては連れてくる、どこの馬の骨だからわからないような新興メゾンブランド製品よりはずっと良心的だと思います。
 
 
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