La Parfumerie Tanu

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BOIS DE VETIVER (2017)

立ち上がり:ベチバーと名乗りながら最初に香るのは柑橘系だ!すぐにミント系甘さが強めに出てくる。ベチバーどこ?

昼:香りの持続力が弱いかな。だいぶ薄くなってきましたがここにきて微かにベチバー感が出てきましたあとローズかな?

15時位:むーん ほとんど消えてしまった男ものにありがちな最後に残るのはムスク系という感じ

夕方:15時位と同じですな

ポラロイドに映ったのは:大学入ったばかりの頃、一見取っつきにくそうだったが話してみると気が合い仲良くなったにも関わらず、夏休み開けたら姿が学内から消えて以後音信不通&中退した彼。


Tanu's Tip :

ベチバー・エクストリームもアフォーダブルだけれど、毎日気負わずつけられる、もっとお財布にやさしいベチバーが欲しい。そんな読者の為にブラインドバイして連れてきたのが、このボワ・ド・ベチバーです。カール・ラガーフェルドのフレグランスラインといえば、ディスカウンターが公式オンラインサイトなのではないかと思う程の充実ぶりでLPTではお馴染みのインター・パルファムがライセンス販売をしており「物凄く酷い品質のものも出してこない代わりに物凄く秀逸なものもない、究極の平均点」という漠然とした位置づけが私の中ではあり、よって発売1年で実売100ml3,200円程度に暴落したボワ・ド・ベチバーも、さほど躊躇せず我が家へご招待しました。ちなみに多くのインター・パルファム製品は国内ではブルーベルジャパンが輸入代理店になっていますが、カール・ラガーフェルド製品は国内未発売です。

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ボワ・ド・ベチバー EDT 100ml 日本未発売

調香はクリストフ・レイノーで、メインストリーム系のドジョウ作品が多いのですが、有名どころでは何といってもパコラバンヌ21世紀のメガヒット、ワンミリオン(2008)でしょう。一方でゲランのラブ・イズ・オール(2005)やマイ・アンソレンス(2007)と、専属調香師が居なかったゲランの端境期(2002-2008)を支えた一人でもあります。ペンハリガンのどうぶつ頭シリーズのひとつ「誰からも愛されるローズ公爵夫人(The Coveted Duchess Rose)」もこの方の作品です。

香りとしては、毒にも薬にもならないシトラスウッディムスクで、ジェントルマンの言う通り「ベチバー不在」。それよりも真っ先に目に浮かんだのが、安い居酒屋で生グレープフルーツサワーを頼むと、こぼれ落ちそうな氷だらけの凍結ジョッキと一緒に出てくる、白い絞り器にかぶせられた半切のグレープフルーツ。ジョッキには気を利かせたつもりか、飾りに双葉のミントが乗っていて、絞り器で絞ったグレープフルーツをジョッキに入れると、ハラヒラと氷の隙間へ追いやられ、そのうちガラスに張り付きます。やっぱ生グレチューは美味しいね、あれえ?ベチバーは?

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ベチバーという香料は絶滅危惧種の樹木からとるわけでもないし、IFRAによる制限が非常に厳しいわけでもないのに、香りがしないほどケチらなくても良い気もしますが、まあそれは依頼者のさじ加減で「誰でも使えるように、毒にも薬にもならないように作ってくれ」と調香師に頼んでいたのかもしれません。どんどん使えるように残香性も抑えたのでしょうか。これがベチバーの香りだと、ねばならない的正論をぶつけず、ただのいい香りのコロンだと思えば、決して出来は悪くないですし、香水が苦手な方でもデイリーに使える仕上がりですので、今迄香水をつかいつけなかったパートナーへのファーストフレグランスとしてプレゼントしても、お財布もさほど傷まず、貰った相手も初めてのワンプッシュで後方に吹っ飛ぶような香水デビューになる危険性もゼロですので安心です。ボトルはなかなか高級感があって、記事用に写真を撮る際も、光を当てると自然に水色がグラデーションに映るなど「随分写真映えのするボトルだなあ」と思いました。

ちなみにこのBois de Vetiverとは直訳すると「ベチバーの木」ですが、ご存じのとおりベチバーはイネ科の多年草で、香料は根っこから抽出しますので、もしベチバーの木というものがあれば、遠くにベチバーの香りがする、シトラスの利いた木の香りなんだなー位にふんわり受け止めておけば、何分この価格ですし、毎日浴びるように使ってワンシーズンで使い切ってサッサと次へ行くのもよい消費の仕方だと思います。ジェントルマンのポラロイドに映ったのも、初めての夏が終わったらキャンパスから蒸発していた友達の姿。あいつ、今頃どうしているんだろう。大学生になった初めての夏を越せなかった友達の、ちょっとほろ苦い思い出が蘇ったのも、グレープフルーツのほろ苦さがトリガーだったのかもしれません。

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