La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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VÉTIVER EXTRÊME (2007)

A Gentleman Takes Polaroids chapter twenty four : Vetiver Gentleman in Autumn

 

立ち上がり:ベチバー!エクストリーム!と期待大でつけてみました。が。そんなエクストリームにベチバーで噎せるほどではありません。シトラス系とベチバーの香りがうまく融合しております。これからの残暑が微かに残る季節には良さそうです

昼:ちょっとスパイシーな感じが出てきました。

15時位:昼と同じ感じですがベチバーの香りが押し出し気味で出てきました。

夕方:ベチバーの残香がまだしっかり残っています。でも、元々の「ベチバー」の方が強い感じがします。こちらは全体的に上品ですね

ポラロイドに映ったのは:昔、パンクバンドで活躍してたが今はスーツ姿で部長職の初老リーマン。過去は隠してもいないが語ることもない(Z〇Z〇 T〇WNの社長じゃないよ!)

 

Tanu's Tip :

ベチバーの香りが大好きなジェントルマン。過去にも「ジェントルマンのお気に入り」や「ベチバー、ベチバー、ジェントルマン」にてそのベチバー愛を語ってくれましたが、今回はまだまだ巷にあまたあるベチバー作品を掘り下げ、行楽の秋到来でもお財布にやさしい、アフォーダブルな秋のベチバージェントルマンをお届けいたします。

ゲランの定番品は値崩れが激しくディスカウンターの常連で、しかも定番でお使いの方が多いので商品の回転が良く、常に新鮮なロットで入手できる(今夏購入で2017年ロット入手)事は、LPTでも度々ご紹介して参りましたが、2007年に登場したベチバーのドジョウ、ベチバー・エクストリームも発売から11年経った今も現行販売されており、欧米ではしっかりレギュラー陣営の一員として公式サイトに登場しています。オリジナルのベチバー(1961)は、2002年にゲランを引退後、現在はご自身のブランド、マイ・エクスクルーシヴ・コレクションの恍惚ディレクターとして活躍中のジャンポール・ゲランが手がけていますが、ベチバー・エクストリームについては、ティエリー・ワッサーが2008年に五代目ゲラン調香師に任命される以前の作品ですので、実際はどなたが調香したのかは不明です。日本では未発売ですが、国内大手通販サイトで並行輸入品の100mlEDTが7~8,000円程度で多数販売されていますし、アメリカのディスカウンターでは同サイズ約4,500円(送料込)で入手可能です。 

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ベチバー・エクストリーム EDT 100ml 国内未発売

香りとしてはオリジナルのベチバーに甘さとコクをブレンドして、よりスムーズに仕立てたアロマティック・ベチバーで、オリジナルとの違いは①トンカビーンやナツメグなど甘さ成分ましまし②主役のベチバーがメインをはるのがオリジナルより一拍遅く、後から追い上げてくる感じ③オリジナルにはないフランキンセンスやアルテミシア(ヨモギ)が加わり、より鎮静作用が高く穏やかに香る④ミドル以降がフラワリーに感じ、全体的にオリジナルより表情が豊潤…趣味嗜好が違うので雰囲気がちょっと違うけど、仲の良い兄弟で、お兄さんは若干荒削りな青年、弟は造作が細かくて表情が甘口という感じです。

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明らかにこれはゲランのベチバーだと判る香調ですが、ミドル以降のフローラル感が意外にも全体の盛り立て役となって、舞台でいったら大団円で花吹雪、といった所でしょうか。先日、ジェントルマンとそのご学友(≒バンド仲間)の飲み会に合流したのですが、神田の真っ白な蛍光灯バリバリの安居酒屋で延々とマイナーな音楽について語り倒すジェントルマンからベチバー・エクストリームが溢れんばかりに香り、店の雰囲気や話の内容は二の次で「え、ええ、えええ香りや~」と隣席成仏しました。ジェントルマンは「エクストリームは持続が弱い。秋冬ならいいのかも」と、汗をかく時期でも負けずに香るオリジナルのベチバーに軍配をあげていますが、個人的には、勿論オリジナルのベチバーも好きですしジェントルマンにもお似合いな一方で、このベチバー・エクストリームも「ジェントルマンにつけて欲しい香り、高スコア」にランクインしています。問題はこの香りにエクストリームな部分がどこにもない事(ベチバー度はむしろ控えめ)と、ジェントルマンのポラロイドに映ったリーマンの喩えがまったく伏字になっていない事ですね。それ以外はバッチリです。

 

 

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