La Parfumerie Tanu

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- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Le Vetiver (2009)

立ち上がり: 普段つけてるベチバと同じ系統の香りですがこちらのほうがやや甘さが強い
昼: やや苦い感じの香りが出てきました
15時位: 朝とは別の甘い感じが現れてきました
夕方: 15時位の印象のまま弱くなりました
ポラロイドに映ったのは: 見た目はノーブルなんですが実は下の毛を剃毛してるおじさん。(意味不明)
 
Tanu's Tip :
 
2016年10月「ベチバー、ベチバー、ジェントルマン」の回で、ジェントルマンが愛してやまないベチバー系メンズフレグランスをご紹介した際、何度撮影にトライしても露出不足(≒持続とイメージが弱く、印象がつかめない)のため、最後はPFMのジャケ写が念写されてしまった、カルヴェンのオリジナル版ベチバー。

ご記憶にない方のためにリンクを貼っておきましたが、その際同時に取り寄せていて「オリジナル版より良い」と既に高評価を得ていた2009年版のル・ベチバーをご紹介します。
 
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ル・ベチバー オードパルファム 100ml まだ沢山並行輸入品が出回っています
 
カルヴェンのベチバーは、世界3大ベチバーのうち最初に発売された元祖ベチバー香水ですが、2009年、わざわざ能書きに「1957年に発売された、オリジナル版ベチバーと同じ処方で作っています」というフィルメニッヒ社のお墨付きを箱裏に印刷しているのに「ル・ベチバー」と改名し、しかもあっという間に廃番となったうえ、2014年には再び「ベチバー」と冠詞の付かないオリジナルネームに出戻ったものの、処方についてはこちらもオリジナルの再発という以外情報がない…という、なんとも不可思議な変遷を遂げています。
 
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箱の裏にフィルメニッヒ社の処方証明。その前にボトルの品質保証をお願いします
 
香りとしては、確かにジェントルマンの言う通り、オードパルファム濃度なだけにオリジナル版ベチバーよりこちらのル・ベチバーの方が「根性がある」というか、ガツンとグリーンが香って逃げ足が速いオリジナル版より複雑な構成で、甘さも苦みもあり、おっさんらしい胸板もあり、ベチバーらしさも充分、香りも長持ち…と、すべてにおいてワンランク上。しかもフィルメニッヒのお墨付き。ただ一つ難を言えば、こちらのボトルもオリジナル版と同じく、スプレィヘッドの首がボッキリ折れて届いたことです、しかも液漏れ。フレグランスは正規店で買おうと通販で買おうと、百歩譲って香りの劣化が始まっている可能性があるにしても、ディスカウンター通販店で買ったから首根っこがボッキリ折れていても良い訳がなく、むしろシュリンク包装未開封のまま、余剰在庫から横流ししている通販店のボトルが、このメーカーに限りいつもスプレィヘッドが折れている(注:別々のショップで買いました)、というのは、そもそもこのメーカー(の委託先)が製造している製品の品質に問題があると思いますし、長年海外通販を有効利用し、数えきれない本数を購入してきましたが、シュリンク包装未開封品で首根っこが折れて届いたのはカルヴェンの商品だけです。
 
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首根っこ、ボキッ そして液漏れ


それとは関係なくポラロイドに映ったのは「剃毛している上品なおじさん」。何の因果でそんなおじさんが?と思った瞬間、私は数年前ジェントルマンと一緒に参加した、とある暑気払いを思い出しました。ジェントルマンの旧友10数名でちょっとこじゃれた居酒屋に集まり、長机向かい合わせで会話をしていたところ、長机の一番端にいた一人が、私とはほとんど面識のない、汗もかかなそうなうりざね顔のIT系実業家で、突如「自分は剃毛しているんだ」と言い出したところ、その人の斜め向かいに座っていた、これまた音楽系実業家が「うちも夫婦で剃ってるよ」「剃り始めたら、生えているのが不自然でね」と言い出し、二人でワイワイ剃毛話で盛り上がり始め、会話に取り残されたもう片方の端側にいた私やジェントルマンは違う意味で相当な納涼になりました。あのものすごく寒い暑気払い以来、話を切り出したIT実業家には一度も会っていません。今でもきちんと下の毛までお手入れして、スタイリッシュに生きているのか、風の噂にも聞こえてきませんが、私の印象としてはそういう人はル・ベチバーどころか「完全に無味無臭」な気がします。
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