La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Le 3 Homme de CARON (1985)

立ち上がり:むー上品な甘い香り。私には勿体ない感じ。ヒゲ&ハゲお断り!って感じがする
 
昼:香りが殆ど目立たなくなりました。よーく嗅ぐと微かに甘いけど。なんというか女性バンドの中に漢一人ギターで参加させられたような居心地の悪さが
 
15時位:粉っぽい香りが強くなってきます。昼よりパワーアップした感じが。
 
夕方:粉っぽくて甘いニュアンスは最後まで持続。自分には合わんなあ…これ。というかどういうタイプの男なら合うんだろうこれ?
 
ポラロイドに映ったのは:子供の頃、戯れに母の化粧品をつけてみた時に感じた未知の世界への恐れ
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Tanu's Tip :
 
キャロンが低迷期に突入した(と言ったら失礼ですが)1980年代に発売した香りは少なく、オードキャロン(1980)、ノクチューン(1984、のち2013年にEDPとしてリニューアル)、今回ご紹介するル・トロワシエム・オム(1985、ザ・サードマンとも)、モンテーニュ(1987)の4作だけで、キャロン100年の歴史の中でも現行品として公式にリニューアルを謳わず残っているのはこのル・トロワシエム・オムだけになります。発売当時の日本ではフランスのブランドにも拘わらず日本人で、しかも女性の調香師・亀井明子(ルージュエルメス(1984)、ミュールエムスクコロン(2003)などを担当)が手掛け、当時欧米では認知度の低い日本原産の柑橘類、ゆずの香りを取り入れたという事で話題が独り歩きしました。
 
さてどういう香りなのかというと、これが案外つかみどころのない、妙に埃っぽい香りが上がってくる不思議な香りで、男らしいかというとそうでもない、かといって女性もつけやすいかというとこれまたそうでもない、中性的とでもいうのが適格か、いや無性的とまではいかないまでも、80年代の男にしては脈打つ血潮感ゼロの低体温系シトラスアロマティックです。ここでジェントルマンが「粉っぽい」と表現しているのは、アビルージュのようなバニラアンバーからくるパウダリー感ではなく、むしろ処方にはないイモーテルでも過積載したのではないかと錯覚する、ベチバーやラベンダー、オークモスとクローブやコリアンダーのようなスパイスのバッドバランスからくる埃っぽい粉っぽさで、しかも持続が弱いので、何だかわからないうちに輪の中からいなくなってしまった中性的な細面の青年、というのが近似値でしょうか。男性の中では「なよなよしてるな、あいつ」、女性の中では「なんか男の子みたいだけどどっちなの、あの子」という、お母さんのお化粧品イタズラしたってダメ的雰囲気が、ジェントルマンのいう「女性バンドのヘルプで突っ込まれた男性ギタリスト、きっと長続きしない」居心地の悪さにも通じます。
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キャロンの名香の数々は流れ星のように消えて、たまに別人となって戻ってきたりしていますが、この香りや、恐ろしいヤタガンが大した変化もなく何十年も廃番にならないのは、キャロンは売り上げの大半をたった数本のメンズフレグランスで支えているので、これ1本外すとパワーバランスが崩れて大変なことになるのか、できるだけメンズのラインナップは「触らぬ神に祟りなし」で本当にダメな奴以外は見直しを先送りにしているのかもしれません。せいぜい、この3月にプールアンノムのパルファムが新発売になったくらいで、種類が増える分にはいいのでしょう。春だから、キャロンから何か一つ、と買っておいたル・トロワシエム・オムを選びましたが、個人的にはあまりお勧めしません。キャロンなら、男は黙ってプールアンノムだと思います。
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