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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Fiori di Capri(1380/1948/1990) profumo

02-1. Classic A-G

ナポリより30km、南イタリアに位置し特産のレモンで別名「レモン島」とも呼ばれるカプリ島は、青の洞窟で知られ高級ブティックも立ち並ぶ風光明媚な観光地ですが、古くからカトリック修道院があり、14世紀後半に当時ナポリを支配していた領主の勅命で建立された修道院がサンジャコモ修道院、即ちカルトゥージアです。

カルトゥージアとは英語ではチャーターハウス、すなわち単に僧院の意ですが、特にイタリアのカプリ島にあるサンジャコモ修道院を指し、この修道院で「偶然」生まれたブーケの香りがカプリ島初の香水と言われています。修道院では1380年から香水製造を始めるも隠滅、それから600年近くたった1948年に修道僧が「偶然」香水の処方が記された古文書を発見し、ローマ法王の許可を得てカプリ島在住の薬剤師、ジョビーネ博士の協力で香水を復刻させ、世界最小の香水製造所として製造販売を始めました。現在も手摘みで収穫したソラーノ山に自生するカーネーションやローズマリーを用い、当時の製法を守りながら天然香料をふんだんに使い、生産量を絞ってすべて手作業で製造されているそうです。

1948年の再始動からは、ジャクリーン・ケネディ、グレース・ケリー、フランク・シナトラやフェイ・ダナウェイなどの超VIPがバカンス時に押し寄せ、近年ではジョージ・クルーニーなどの大物セレブご贔屓。ブランドとしてのカルトゥージアは2000年にスタートしましたが、それでも2002年までカプリ島以外では販売を許されていなかったそうです。そんな希少性も手伝って、高品質かつオシャレなパッケージのカルトゥージア製品はカプリ土産の決定打。日本でもそこそこ知名度があり、日本人観光客がしっかり外貨を落としている証拠としてカプリ島の小さなカルトゥージア店内には日本語表記もちゃんとあるそうです。世界最小の香水メーカーといいますが、それにしては極東の日本でも全国のデパートやセレクトショップを中心に結構たやすく手に入り、遠路はるばるカプリからやってきた割には手ごろな値段。ボトルやパッケージも商業製品として大いに洗練されているし、ビジネストレンドを掌握した良い広告代理店と組んだかなと思う反面、本当にカプリ島の天然香料で仕立て上げられているかは疑問ですが、夢は大きくそういう話にしておきましょう。
 
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フィオーリ・ディ・カプリ プロフーモ 50ml

今回ご紹介するフィオーリ・ディ・カプリはカルトゥージアブランドとしては初のフレグランスとして女性調香師ラウラ・トラットが1380年当時の処方、または1948年の復刻版を再処方したもので、現在販売されているのは1990年度版の処方でブランドスタート前から販売されています。ちなみに現在のラインナップのうち、修道院から出てきたレシピを再処方したのはフィオーリ・ディ・カプリの他に日本で一番人気のメディテラネオとイオカプリ、そしてリジェア・ラ・シレーナの全4種で、他は新作だそうです。
 
香りとしては、ジョイの流れを汲む古風なホワイトフローラルで、主人公は野生のカーネーションですが同じ位俺が俺が、私が私がと蜜のようなガーデニアやイランイラン、ヒヤシンスやローズが束となっており、主役何人集めたのか問いたい位、とにかくブーケの目力が濃ゆいです。イタリア香水特有の、女性でいったらお尻がすごく大きい金髪美人のようで、こんな美人の尻げにされたら、ああ幸せ、お願いその大きなお尻で俺に尻もち、ついて!という喘ぎ声が聞こえてきます。あとちょっとで野暮ったくなるスレスレの盛込みようで、この辺のクラシックと古臭いのギリギリが21世紀に入ってもきちんと人気があるのはイタリアならではだと思いますが、コートで言えば超軽量で暖かいダウンコートではなく、総裏で目の詰まったウールのフルレングスのようにずっしりとした重みがあり、また仕立ての良い靴が最初は革が硬く足が痛いが、馴染んでくるにつれ自分の足の皮のように歩きやすくなるように、体に馴染むまで何度か回数を重ねて経験していかないと、この香りは一度二度ではただの古臭いブーケで終わってしまいます。しかしベースのパチュリやオークモスとクリーミーなサンダルウッドを重ねたたっぷりのムスクで肌馴染みを良くしているので、ミドル以降の温かな残り香がフィオーリ・ディ・カプリの真骨頂で、見守られているような安心感に包まれる所が、くどいようで案外つけ飽きない理由かもしれません。常に人より香りが主役なジョイよりはこちらの方が使いやすいと思います。イタリアでの一番人気はこのフィオーリ・ディ・カプリとの事、やはり爽やか一番のメディテラネオよりも、お尻の大きなマンマが遠くに見える安心感が決め手でしょうか。近似値で言えば、同じイタリアもののグッチNo.1(1974)やレルボラリオのフィオーリ・ディ・スクーリとも同じ雰囲気を持っていますが、No.1よりひとまわりグラマー、フィオーリ・ディ・スクーリの「ちょっと悪徳」な部分が控えめな一方で、豊満感が増しているのは天然香料の多さゆえでしょうか。
 
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カルトゥージアで一番古い香り。お尻も大きそう
 
フィオーリ・ディ・カプリはオードトワレとプロフーモの2濃度あり、プロフーモはイタリア語でパルファムですが、日本では香水(パルファム)扱いではなくオードパルファムとして販売されているものの、体感としてはEDTで既にEDP以上の奥行きを感じ、今回ご紹介したプロフーモも3プッシュ程度で濃厚に香るので、香水感覚でお使いいただけると思います。EDTはプロフーモより若干シンプルな構成で、色々妄想する事の少ないレトロブーケで、個人的にはEDTの方がお薦めです。バスラインやルームフレグランスも豊富ですので、まずは身近にイタリア旅行へ行く方がいたら積極的に南イタリアへ行くことを勧め、南に行ってナポリで終わっちゃもったいないよカプリ島にも行って来なよとそそのかし、カプリ土産はカルトゥージアと相場が決まっているとソープ位は買ってきてもらいましょう。私の分もお願いします。
 
 
 
カルトゥージア公式オンラインショップ価格 €85.00 
日本価格 プロフーモ(EDP)50ml 18,360円(税込)
 
※カルトゥージア製品は、個人輸入サイト、Ca'Natura(カナトゥーラ)にて
ほぼ現地価格+送料で入手可能です。